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「へえ、普通の名前じゃん」我が子の名前を笑った従兄弟。だが、伯母が返した正論に絶句

  • 2026.7.25

数年ぶりの座敷

子どもたちを連れて親戚の集まりに顔を出したのは、数年ぶりでした。

座敷には大皿が並んで、出前の焼き鳥が湯気を立てています。

「まあ、大きくなったねえ」

伯母が上の子の頭に手を置いて、下の子には座布団を足してくれました。

私は湯呑みを配りながら、輪の端に座ります。

二人の名前を聞かれて、上の子から順に答えました。

どちらも、初めての人でも一度で読んでもらえる字です。

役所でも病院でも、聞き返されたことはありません。

そのとき、久しぶりに会う従兄弟が大皿へ手を伸ばしました。

「へえ、普通の名前じゃん」

串を一本抜きながら、ついでのようにそう言って笑ったのです。

湯呑みを持ったまま

座敷の笑い声は、そこだけ半拍おくれて元に戻りました。

私は湯呑みを持ったまま、返す言葉を探します。

「そうなんです、普通で」

出てきたのは、それだけでした。

子どもたちは隣の部屋でおもちゃを広げていて、こちらの話は届いていません。それだけが救いでした。

名前を決めた夜のことは、よく覚えています。

夫と二人で紙に何度も書いて、声に出して呼んでみました。一生名乗るものだから、どこへ出しても困らない名前にしよう。

そう話して決めたのです。

従兄弟は焼き鳥をかじりながら、もう別の話を始めていました。

伯母が置いた箸

伯母が箸を置いたのは、その少しあとです。

「なに笑ってんだい」

さっきの従兄弟を、仕草ごとそのまま口に出したのです。

従兄弟の手が、串を持ったまま止まりました。

「町内会の名簿はね、毎年わたしが作るのよ」

「読み方の分からない名前は、その都度お宅まで確かめに行くのよ」

従兄弟が何か言いかけて、それを飲み込みます。

「何度でもちゃんと読んでもらえる名前をつけてもらった子は、それだけで一生ぶん得をしてるの。笑うところじゃないでしょう」

座卓のあちこちで、うなずく気配がしました。

「うちの子も、電話では毎回聞き返されるのよねえ」

叔母がそう言うと、隣の従姉も小さく笑って続きます。従兄弟は目を伏せて、皿の上に串を置きました。

「伯母さん、そう言ってもらえて、うれしいです」

下手に出るのはやめて、それだけを返しました。

帰り際、玄関で靴を履いていると、従兄弟が子どもたちのほうを見て名前を呼びました。ひとりずつ、きちんと。

「じゃあな、また」

その日いちばん、まっすぐな声でした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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