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「30円安いから、3軒目まで行こう」そこまでして節約していた彼。だが、最後にレジで迷わず入れた瞬間に漏れた本音

  • 2026.7.25

卵のために車を出す人

付き合って1年になる彼と、休みの日にスーパーへ行くのが習慣になっていました。ただし、行くのは1軒ではありません。

その日も、1軒目の駐車場でチラシと棚の値札を見比べた彼が、卵のケースの前で足を止めました。

「卵、ここのは高いわ」

「そんなに違う?」

「30円安いから、3軒目まで行こう」

牛乳は1軒目、肉は2軒目、卵は3軒目。彼の頭のなかには、店ごとの底値が全部入っています。カゴを持つ手つきは、いつも真剣そのものでした。

財布から出てくるのも、いつも1円単位でぴったりの金額です。小銭を数えているあいだ、レジの列が少しだけ止まります。後ろに並んでいる人には、私が代わりに会釈をしていました。

レジ横の棚で手が伸びた

3軒目に着いたのは、家を出てから1時間半後でした。卵のパックをレジのベルトに載せて、彼がようやく満足そうな顔になります。

「ほら、30円」

「……3軒回って、30円ね」

そこまでは、いつもどおりでした。おかしくなったのは、そのあとです。レジ横の棚に、小さな保冷ボトルが積んでありました。値札は300円です。

彼の手が、迷いなく伸びました。

「それ、家に2本あるよね」

「夏やし、もう1本あってもええやん」

ボトルがカゴに入るまで、5秒もかかっていません。そのあと電池のパックにも手を伸ばしかけて、私に見られていることに気づいて引っ込めていました。

レシート3枚を並べた車の中

会計を終えて車に戻り、レシートを3枚、ダッシュボードに並べました。卵で30円、牛乳で20円。3軒はしごして浮いたのは、合わせて50円です。

「1時間半かけて50円で、レジの5分で300円」

「……言い方が意地悪や」

彼はシートに沈み込んで、しばらく前を見ていました。それから急に体を起こして、こちらを向きます。

「安く買うのは好きやけど、欲しいもんは欲しいねん」

あんまり堂々と言うので、返す言葉が出てきませんでした。気づいたら声を出して笑っていて、彼も釣られて笑い出しました。

助手席の足元では、買ったばかりのボトルが転がっています。家に着いてから麦茶を入れて渡すと、彼はひとくち飲んで、また満足そうな顔をしていました。

次の休みも、たぶん私は3軒目までついていきます。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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