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Bリーグ10年を終えて。代々木の一夜は、沖縄の日常へ。次の幕開けは9月22日から【Pick Up B.LEAGUE】

  • 2026.7.20

2016年秋、国立代々木競技場第一体育館で動き出した「バスケットボール新時代の幕開け」。世界初の全面LEDコートがこれまでにない景色をつくりだし、やがて沖縄に誕生した夢のアリーナは、地元クラブの成長と日本のバスケ界の躍進を後押ししてきた。
数々のスター選手がBリーグのコートを彩り、10年の節目を経て、いよいよ次のステージへ。あの代々木の一夜限りだった特別な観戦体験が、この秋から「日常」となるクラブが現れる。新たなる歴史の幕開けとなる2026年9月22日は、もう目の前だ。

10年前、代々木に“2日間限定”のLEDコートが出現

2016年9月22日、Bリーグは「バスケットボール新時代の幕開け」と銘打ち、華々しいスタートを切った。

開幕戦のカードは、アルバルク東京vs.琉球ゴールデンキングス。会場の国立代々木競技場第一体育館には、世界で初めて公式戦用の全面LEDコートが採用された。オープニング演出はもちろん、ダンクや3ポイントシュートなど選手のプレーに連動する映像演出は、これまでにない衝撃をバスケ界に与えた。現地で、地上波で、あるいは当時スポーツ配信の先駆けだった「スポナビライブ」で、その興奮を目にした人も多いはずだ。

画像: バスケBリーグ開幕=2016年09月22日、国立代々木競技場

アリーナの力。沖アリがキングス、日本バスケを後押し

開幕戦という大役を務めた琉球は、その後、日本のバスケ界をリードする存在へと急成長を遂げる。

競技面では、2022-23シーズンのBリーグ制覇を筆頭に、2021-22シーズンから5季連続のファイナルへ進出。2025年3月には、天皇杯で沖縄県勢初の戴冠を果たした。

事業面での成長も目覚ましい。売上高は2016-17シーズンの約8億1,052万円から、2024-25シーズンには約35億6,687万円へと約4.4倍に伸長。入場料収入も約2億2,875万円から約13億4,402万円へと約5.9倍に跳ね上がった。2025-26シーズンの平均入場者数は8,322人を数え、リーグ4位の規模を誇る。

この爆発的な成長のエンジンとなったのが、2021年に竣工した「沖縄サントリーアリーナ」(沖縄アリーナ)だ。

収容人数は約8,000人。NBAを彷彿とさせるすり鉢状のアリーナは、Bリーグが掲げた「夢のアリーナ」を具現化した先駆けとなった。キングスの新ホームとして、昨今のBリーグ人気を決定づけるきっかけとなった場所でもある。

画像: 沖縄アリーナ=2023年8月24日、沖縄県沖縄市

このアリーナの熱気は、日本代表の躍進ともシンクロしていく。

2023年夏。日本、フィリピン、インドネシアが共催した「FIBA バスケットボールワールドカップ 2023」が開催され、沖縄アリーナはその舞台となった。日本代表はフィンランド、ベネズエラ、カーボベルデを破って歴史的な3勝を挙げ、アジア最上位としてパリオリンピック2024の出場権を獲得。48年ぶりに自力で五輪切符をつかみとる快挙を成し遂げたこの熱狂がそのままBリーグへと還流し、さらに観客動員を生み出していく。

2023-24シーズンのB1・B2の観客動員数は、過去最高だった前シーズンを上回る450万を突破。開幕シーズンと比較して約2倍に膨れ上がった。さらにリーグは、2026-27シーズンから昇降格制度を廃止し、平均入場者数や売上、アリーナ基準などの「経営力」を指標に再編する「B.革新」へと舵を切る。

最高峰のカテゴリ「B.プレミア」のライセンス要件を満たすため、多くのクラブが大規模会場でのホーム開催に挑戦するなど、リーグの裾野は一気に拡大した。その後も「IGアリーナ」や「TOYOTA ARENA TOKYO」など大型アリーナの新規開業が相次ぎ、昨シーズンの総入場者数は過去最高の548万168人を記録。10年間の成長の軌跡をまざまざと証明している。

画像: トヨタアリーナ東京 ©B.LEAGUE

富樫、河村、そして次世代へ。リーグを彩った選手たち

Bリーグの盛り上がりを支えた最大の主役は、コート上で輝く選手たちだ。

その筆頭である富樫勇樹(千葉ジェッツ)は、常にスポットライトを浴び続けてきた。レギュラーシーズンベスト5には8季連続で選出され、2018-19シーズンにはMVPを獲得。2019年6月には、Bリーグの日本人選手として初となる“1億円プレーヤー”となった。

日本代表としても、比江島慎(宇都宮ブレックス)や馬場雄大(長崎ヴェルカ)らとともに長年に日の丸を背負う。NBA挑戦に区切りをつけた渡邊雄太が千葉Jへの加入を決めた際にも、富樫の存在が大きな決め手としてクローズアップされた。

画像: 富樫勇樹 ©B.LEAGUE

また、もう一人の“YUKI”である河村勇輝も、リーグ人気を爆発させたキーマンだ。福岡第一高校在学中の2020年1月に特別指定選手として、三遠ネオフェニックスに加入。東海大学進学後も、横浜ビー・コルセアーズで同制度を活用してプレーし、2022年の大学中退に伴い横浜BC入り。2022-23シーズンにはレギュラーシーズンMVP、新人賞、アシスト王など主要タイトルを独占。2023年のワールドカップでは、帰化選手のジョシュ・ホーキンソン(東京サンロッカーズ)らとともに日本代表躍進の原動力となった。2024年夏からはNBAに挑戦。Bリーグから世界最高峰の舞台へと羽ばたく新たなキャリアモデルを築いている。

画像: 河村勇輝©B.LEAGUE

河村が切り開いた「高校生Bリーガー」の系譜は、次世代へと受け継がれている。2025年1月には、東山高で活躍した司令塔・瀬川琉久が、特別指定選手(プロ契約)として千葉Jに加入。さらに今年1月には、同校から同じく司令塔の佐藤凪(176cm)が横浜BCに特別指定選手として加わった。

画像: 瀬川琉久 ©B.LEAGUE

佐藤はもともとビーコルのユース出身であり、逞しく成長して古巣に戻るというエモーショナルなストーリーでファンを沸かせた。彼は今夏から「スラムダンク奨学金」を得てアメリカへ留学し、夢のNBA挑戦へと一歩を踏み出す。

画像: 佐藤凪 ©B.LEAGUE

LEDコートを常設するクラブ。バスケは次の新時代へ

Bリーグの10年間には、数え切れないほどのドラマがあった。しかし確かなことは、日本のバスケットボール熱が最高潮に達し、人々の「観戦体験」が劇的に変わったということだ。

そして今秋、Bリーグはさらなる大変革を迎える。「B.革新」によってリーグは「B.プレミア」「B.ワン」「B.ネクスト」の新体制へと移行。週末の2連戦が中心だったスケジュールから平日開催が大幅に増加する。夜9時を過ぎれば、ニュース番組のスポーツコーナーでプロ野球の結果と並んでバスケが報じられるシーンも、日常の一コマになるはずだ。

この新シーズンに向けて、ファンを驚かせる発表を行ったのが琉球。今秋から、ホームの沖縄サントリーアリーナに「LED搭載のVISIONフロア」を常設導入するという。プロスポーツのホームアリーナにおいて、シーズンを通してLEDコートを使用するのはアジア初の試みだ。10年前の代々木で「2日間限定」だったあの夢のような光景が、これからはホーム30試合の「日常」へと変わる。巨額の設備投資を伴う決断だが、これこそが「B.革新」がもたらした大きな果実の一つと言えるだろう。

画像: 沖縄サントリーアリーナ ©B.LEAGUE

現在、アリーナ整備の波は全国各地に広がっており、バスケを核とした地方創生への期待も高まる。魅力的なアリーナの誕生は、選手にとっても最高のモチベーションだ。

新アリーナ「IGアリーナ」への移転を機に、BリーグNo.1の動員力を誇るチームとなった名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。その司令塔である齋藤拓実は、こう手応えを語る。

「新規のお客さんがすごく増えて、ファンの方の声でも“今シーズン、IGアリーナで初めて(ドルフィンズを)見に行って応援するようになりました”という声も増えています。僕ら選手としては見てくれたファンの方に、もう一回見てもらえるような魅力的なバスケットを見せていくしかないと思っています。そういうファンの方たちをどんどん増やしていけるよう、頑張りたい」

画像: IGアリーナ ©B.LEAGUE

この10年で大きく広がった日本バスケの裾野。今秋からアリーナを起点にどんな新しい光景が生まれるのか、胸が高鳴る。週末だけでなく、暮らしのすぐ隣にバスケがある1年が始まる。

待望の「B.プレミア」開幕戦は、9月22日。TOYOTA ARENA TOKYOを舞台に、アルバルク東京vs.琉球ゴールデンキングスという、あの10年前と同じ至高のマッチアップで幕を開ける。

画像: LEDコートを常設するクラブ。バスケは次の新時代へ

文=大橋裕之

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