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長続きする幸福を得るための「5つの生活習慣」とは

  • 2026.7.15
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

幸せな人生を送るには、なにが必要でしょうか?

多くの人は「収入が増える」「欲しいものが手に入る」「悩みのない生活を送る」ことなどを思い浮かべるかもしれません。

しかし、これまでの心理学研究が示しているのは「幸福は突然やってくる一時的な感情ではない」ということです。

長く続く幸福は、毎日の時間の使い方や人との関わり方、暮らしている環境といった、生活習慣から育まれていくのです。

では、どのような生活を送れば、目の前の楽しさだけではない、長続きする幸福を得られるのでしょうか。

これまでの心理学や行動科学の研究から、特に重要と考えられている「5つの生活習慣」を見ていきます。

目次

  • その1:欲しい物より「自由時間」を買う
  • その2:快適さから一歩外に踏み出してみる
  • その3:人間関係をたいせつに育む
  • その4:自分だけでなく、他者に投資する
  • その5:週に合計120分、自然の中で過ごしてみる

その1:欲しい物より「自由時間」を買う

「やることが多すぎて、いつも時間に追われている」

このような感覚は、現代人にとって珍しいものではありません。

行動科学では、自分に必要な時間が足りず、毎日の時間を自由に管理できない状態を「時間貧困」と呼ぶことがあります。

ハーバード・ビジネス・スクールの研究では、慢性的に時間が足りないと感じている人ほど、生活満足度やポジティブな感情、メンタルヘルスの指標が低い傾向にあることが報告されています。

大切なのは、単純に暇な時間が多ければよいということではありません。

「自分には十分な時間があり、その時間の使い方を自由に決められる」という感覚が重要です。

Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

興味深いことに、お金を物の購入ではなく、時間を取り戻すために使うことも、幸福度の向上と関連しています。

たとえば、家事を外部のサービスに任せたり、移動時間を短縮するために便利な交通手段を使ったり、負担の大きな作業を簡略化したりする方法です。

先行研究では、物を買うことよりも時間を買うことを優先する人ほど、生活満足度が高い傾向にありました。

しかし実際には、時間を取り戻すためにお金を使う人は、それほど多くなかったとされています。

私たちは買い物をするとき、商品の価格には敏感ですが、その選択によって失われる時間については、十分に考えないことがあります。

仕事や収入に関する大きな決断をするときも、「いくら稼げるか」だけで判断するのでは不十分です。

その選択によって、自分の時間や生活を自分で決める権利がどれほど失われるのかも考える必要があります。

お金は幸福を直接買うことはできません。

しかし、使い方によっては、幸福に必要な時間と自由を取り戻す手段になるのです。

その2:快適さから一歩外に踏み出してみる

幸福な人生というと、できるだけ苦労が少なく、快適で楽しい毎日を想像するかもしれません。

しかし、すべての不快感や困難を避けることが、必ずしも充実した人生につながるわけではありません。

2022年に『Psychological Review』に掲載された研究では、よい人生を構成する要素として、幸福や人生の意味に加えて「心理的豊かさ」という考え方が示されました。

心理的に豊かな人生とは、新しい出来事や複雑な経験に触れ、自分の考え方や世界の見方が変化していく人生です。

それは、必ずしも穏やかで快適な人生とは限りません。

知らない土地への旅行、新しい技術の習得、難しい創作活動、これまで避けてきたことへの挑戦などには、緊張や失敗、不快感が伴います。

しかし、そのような経験は、後から人生を振り返ったときに、深みや多様性を感じさせてくれます。

Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

複数の国を対象とした研究では、「自分がどのような人生を生きたかったと思うか」を尋ねられた際、幸福な人生や意味のある人生ではなく、心理的に豊かな人生を選ぶ人も一定数いました。

これは、心理的豊かさが幸福や意味とは異なる、人間の独立した願いである可能性を示しています。

常にその場の快適さを優先しようとする人は、何年もたってから振り返ると、自分の記憶が薄く、どれも似通っていることに気づく場合があります。

一方で、挑戦や困難、新しさを受け入れた人は、より豊かな内面の記憶を蓄積していきます。

月に一度でも、少し不慣れなことや、緊張や不安を強いるような挑戦、自分の考え方を揺さぶる経験を取り入れてみるとよいでしょう。

そのとき感じる一時的な不快感は、後から振り返ったときに「豊かな人生だった」と感じるための代価なのかもしれません。

その3:人間関係をたいせつに育む

長く幸せに生きるうえで、特に重要だと考えられているのが、友人や家族などとの良好な人間関係です。

成人の人生を追跡した有名な「ハーバード成人発達研究」は、参加者たちの生活を80年以上にわたって調べてきました。

この研究で示されたのは、良好な人間関係を持っている人ほど、幸福度だけでなく、身体的健康や認知機能、長寿の面でも良好な傾向があるということです。

その影響は、財産や仕事上の成功、知能の高さだけでは説明できないほど大きいとされています。

筋力や体力を維持するうえで定期的な運動が必要なように、人間関係も何もしなければ自然に良好な状態が続くとは限りません。

連絡を取る、相手の話を聞く、食事をともにする、困ったときに助け合うといった小さな行動を、意識的に続ける必要があります。

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過去のメタ分析では、社会的孤立による健康上のリスクは、1日にたばこを15本吸うことに匹敵するほど大きいと示されました。

また、孤独は単に寂しい気分を生じさせるだけでなく、全身の炎症や病気に関わる生理的な経路と関連する可能性も指摘されています。

私たちが人とのつながりを必要とするのは、気持ちの問題だけではありません。

人間の心と体は、他者と関わりながら生きることを前提として形づくられているのです。

その4:自分だけでなく、他者に投資する

自分を幸せにするためには、自分の欲しいものを買い、自分の楽しみのためにお金を使うのが最も効果的だと思われがちです。

しかし研究では、他者のためにお金や時間を使うことも、幸福度を高める可能性があると報告されています。

先行研究でも、他者のためにお金を使う行動は、主観的なウェルビーイングに好ましい影響を与える傾向が確認されているのです。

寄付をする場合だけでなく、友人に贈り物を買ったり、誰かを食事に誘ったり、ボランティアとして時間を提供したりする場合にも、同様の効果が期待されます。

人間は、長い進化の歴史の中で、他者と協力し、助け合うことで生き延びてきました。

そのため、誰かの役に立つ行動は、脳の報酬系に働きかけ、人との絆を強めると考えられています。

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また、自分の行動によって相手の状況が良くなったと感じることは、「自分には周囲に働きかける力がある」という主体性や、自分の存在には意味があるという感覚にもつながります。

これは物を受け取ったり消費したりするだけでは得にくいものです。

ただし、無理をして大金を寄付したり、自分を犠牲にして他者に尽くしたりする必要はありません。

小さな親切や短時間の手助けでも、継続すれば人間関係と幸福感を支える習慣になります。

人間は、受け取ることによってだけでなく、与えることによっても満たされる生き物なのです。

その5:週に合計120分、自然の中で過ごしてみる

幸福のために必要な最後の習慣は、自然と触れ合うことです。

2019年に『Scientific Reports』に掲載された研究では、約2万人のデータを用いて、自然の中で過ごす時間と健康や心理的ウェルビーイングとの関係が調べられました。

その結果、自然環境の中で週に合計120分以上過ごした人は、自然の中でまったく時間を過ごさなかった人に比べて、自身の健康状態やウェルビーイングを良好だと評価する傾向がありました。

この120分は、一度にまとめて確保する必要はありません。

週末に2時間の散歩をする方法でも、1日に20分ほどの外出を数回積み重ねる方法でもよいとされています。

自然と触れ合うことが心身に影響する仕組みとしては、生理的なストレス反応の軽減、同じ悩みを何度も考え続ける反すう思考の減少、疲れた注意力の回復などが考えられています。

Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

仕事や勉強では、一つの対象に意識を集中させ続ける必要があります。

しかし、このような集中力には限界があり、使い続けると消耗します。

自然の中では、風の音や木々の動き、鳥の声などに注意が自然に引きつけられます。

このような刺激は、都市の騒音や広告のように強く注意を奪うものではないため、疲れた認知機能を回復させる可能性があります。

自然の中で過ごすことの利点は、特別な知識や高額な費用を必要としないことです。

遠くの森林や山に出かけなくても、公園を歩く、川辺で過ごす、木々のある場所で休憩するといった方法があります。

自然との接触は、単なる娯楽ではなく、睡眠や運動と同じように、人間の心身が正常に働くために必要な生活要素なのかもしれません。

まとめ

長続きする幸福を得るための5つの習慣に共通しているのは、特別な才能や大きな成功を必要としないことです。

人とのつながりを育て、自分で使える時間を守り、新しい経験を受け入れ、他者に何かを与え、自然の中で過ごすことです。

どれも、一度実行すれば人生が劇的に変わる魔法の方法ではありません。

また、これらの習慣を守れば、必ず幸福になれると証明されているわけでもありません。

しかし、小さな選択を繰り返すことで、幸福が生まれやすい生活環境をつくることはできます。

幸福とは、気分が良くなる瞬間だけを集めることではありません。

長い時間をかけて、自分の人生をどのように組み立てていくかという問題なのです。

参考文献

5 Habits to Build Lasting Happiness Into Your Life
https://www.psychologytoday.com/us/blog/social-instincts/202607/5-habits-to-build-lasting-happiness-into-your-life

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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