1. トップ
  2. エピソード
  3. 母「あなたの好きにすればいいわよ」→「なぜそうしたの?」と後になってダメ出しばかりしてくる母にぶつけた本音とは

母「あなたの好きにすればいいわよ」→「なぜそうしたの?」と後になってダメ出しばかりしてくる母にぶつけた本音とは

  • 2026.7.10

先に歩けば後から「あっちが良かった」

母は、いつも後出しでダメ出しをする人だった。

二人で出かけるとき、私が先に立って目的地まで歩く。無事にたどり着くと、決まって母がこう言うのだ。

「本当はあっちの道のほうが良かったのに」

そう言われても、もう着いてしまったあとだ。行きの道で教えてくれれば、いくらでも変えられたのに。

知人に渡すメモを私が書けば、書き終えたあとで必ず口を出す。

「なぜこう書かないの?」

もっと違う書き方があったはずだと、母は畳みかけてくる。

先に言ってくれれば、その通りにするのに。母の意見は、いつも私が動き終わってから飛んでくる。

買い物でも同じだった。私が選んだ品をレジに通したあとで、「あっちの色のほうが良かったんじゃない」と言う。

何を選んでも、決まったあとに水を差されるのだ。

はじめのうちは、私も先に意見を求めていた。

「お母さん、どっちの道がいい?」

「あなたの好きにすればいいわよ」

そう言うから任せると、あとになって「やっぱり違うほうが」と蒸し返される。それが何年も続いた。

先に言えば「好きにして」、任せれば「なぜそうしたの?」。どちらを選んでも、母の中の正解には決してたどり着けなかった。

「なら最初に言って」で止まった母の口

(何を言っても、結局あとで否定されるんだ)

そう思った私は、いつしか自分の意見を口にするのをやめた。母に「好きにすれば」と言われたら、黙って自分のやり方で進めるようにした。

ところが、それはそれで母の気に入らないらしい。

「どうして今回は何も考えないの?相談くらいしなさいよ」

相談すれば「好きにして」、任せれば「なぜこうしないの」。二十年、ずっとこの繰り返しだった。私はある日、静かに母へ向き直った。

「なら最初に言って」

母が、きょとんとした顔をする。

「任せると言ったのは、お母さんのほうだよね。全部終わってからダメ出しされても、私はどうしようもないよ」

いつもなら、すかさず二の句が継がれるはずだった。それが、ない。

母は何か言い返そうとして、口を開けたまま黙り込んだ。二十年ぶりに、母が言葉に詰まった瞬間だった。

「……そうね。私、後から言いすぎていたのかもね」

ぽつりと、母がそうこぼす。

それから母の後出しは、少しずつ減っていった。何かを決めるとき、母は前より先に「私はこう思う」と言ってくれるようになったのだ。

たった一言、線を引いただけ。もっと早く言えばよかったと、今は思っている。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる