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自分の価値観や料理の表現を育てるチェア。料理研究家・冷水希三子と椅子

  • 2026.7.10

インスピレーションの源となったり、長時間の作業を支えたり。豊かな表現が生まれる現場には、必ずクリエイターが信頼を寄せる椅子がある。料理研究家、フードコーディネーター・冷水希三子さんの自宅を訪ね、日々腰をかける一脚について話を聞いた。

photo: Kiyoko Eto / text: Shiori Fujii / edit: Yuriko Kobayashi

料理研究家・冷水希三子
BRUTUS

自分の価値観や料理の表現を育てるチェア

旬の食材を使った繊細で美しい料理に定評がある料理家、冷水希三子さん。主な仕事はキッチンで行うが、レシピを文字に起こしたり、掲載記事を校正したりという事務作業も多い。デスクとしているのは窓辺の造り付け棚で、それに合わせる椅子をずっと探していた。

「リビングの一角なので、機能性重視のオフィスチェアではだめ。外の景色を眺めながらリラックスする場所でもあり、1人掛けソファのようにくつろげる椅子を置きたいと思っていました」

そんなある日、ふらりと訪れた〈ヤエカ ホーム ストア〉で、入荷したばかりのアンティークのウィンザーチェアと出会う。

「一目惚れしたものの即決できる価格ではなく、帰宅してじっくり考えました。考えるほどに、黒っぽい色合いも、農家が手作りしたような素朴さも、うちの空間にきっと合うだろうなと確信できて」

余計な飾り気がなく、素材そのものの印象が残ること。見て、触れて、気持ちがいいこと。それは日々の器選びや料理にも共通している冷水さんの美学である。

「友人にも買い物の思い切りがいいと言われるんですが、納得したものはちょっと無理をしてでも買うことで、仕事に生きてくると思っているんです。デザインにも使い勝手にも妥協せずに選んだ器や家具は、料理の表現にも良さが表れるし、その逆もしかりですよね」

料理研究家・冷水希三子
ブランドものでも作家ものでもない、名もなき椅子。100年以上もの長い年月を経た佇まいに惚れたが、使い込むほどに良さを実感。

profile

冷水希三子(料理研究家、フードコーディネーター)

ひやみず・きみこ/雑誌や書籍、広告などでの料理作り、スタイリングを中心に、飲食店のディレクションも手がける。朝日新聞デジタルマガジン「&」で料理連載を担当中。

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