1. トップ
  2. エンタメ
  3. 治療キス、バックハグ、不意打ちキス。人気俳優が何度キスしても飽きられなかったワケ

治療キス、バックハグ、不意打ちキス。人気俳優が何度キスしても飽きられなかったワケ

  • 2026.7.31
undefined
2016年7月、「第42回放送文化基金賞」の番組部門で演技賞を受賞した佐藤健(C)SANKEI

「またキスした…!」

2020年放送のTBS系ドラマ『恋はつづくよどこまでも』では、そんな驚きの声が毎週のようにSNSを駆け巡った。

佐藤健演じる天堂浬と、上白石萌音演じる佐倉七瀬は、恋愛ドラマとしては異例ともいえるほど多くのキスシーンを重ねる。そのたびに「治療キス」「バックハグからのキス」「不意打ちキス」など、それぞれの場面が切り取られ、大きな話題となった。

後に佐藤健自身も、「こんなにキスシーンがあるドラマは初めて」と振り返っている。だが、『恋つづ』が今なお恋愛ドラマの代表作として語られる理由は、単純にキスの回数が多かったからではない。実は、一つひとつのキスに、それぞれ違う感情が込められていたのである。

キスが「イベント」ではなく「感情」になっていた

恋愛ドラマでは、キスシーンは物語の大きな見せ場になる。しかし、同じ作品の中で何度も繰り返されれば、どうしても特別感は薄れてしまう。視聴者も「またキスか」と受け止めてしまいがちだ。ところが、『恋つづ』は違った。

初めて心を許したキス。離れたくない気持ちを伝えるキス。不安を安心へ変えるキス。命と向き合う医師だからこそ生まれた"治療キス"。

同じ「キス」という行為でありながら、その意味は毎回まったく異なっていた。だから視聴者は回数を数えるのではなく、「今回は天堂先生がどんな気持ちでキスをしたのか」を見届けていたのである。

無口だからこそ、キスが言葉になった

天堂浬という人物は、決して甘い言葉を並べるタイプではない。笑わない。褒めない。愛情表現も苦手。だからこそ、少し距離を縮めるだけで空気が変わる。

肩に触れる。名前を呼ぶ。そしてキスをする。その一つひとつが、天堂にとっては「好き」という言葉以上の意味を持っていた。

佐藤健は以前から、視線や間で感情を伝える芝居に定評のある俳優だった。『恋つづ』では、その長所が恋愛ドラマというジャンルで最大限に生かされる。セリフではなく、沈黙。説明ではなく、距離感。その延長線上にあるキスだからこそ、視聴者は胸を打たれたのである。

「胸キュン」を更新し続けたドラマ

『恋つづ』で印象的なのは、キスシーンが毎回同じ演出にならなかったことだ。不意打ちのように訪れるものもあれば、長く積み重ねた感情の末にたどり着くものもある。照れや戸惑いが見える場面もあれば、お互いを支え合う覚悟を感じさせる場面もある。

つまり、『恋つづ』はキスを"恋愛ドラマのお約束"として使わなかった。主人公二人の関係性が変わるたびに、その意味も変化していく。だから放送が進んでも新鮮さは失われず、「次はどんな胸キュンが待っているのか」という期待が最後まで続いた。

恋愛ドラマでは珍しいほど、一つひとつのキスが物語そのものを動かしていたのである。

キスの数ではなく、キスの意味が記憶に残った

佐藤健はこれまで、『るろうに剣心』シリーズや『天皇の料理番』、『義母と娘のブルース』、『First Love 初恋』など、多彩な作品で存在感を示してきた。その中でも『恋はつづくよどこまでも』が特別なのは、「恋愛」を真正面から背負った作品だったからだ。

しかも、天堂浬は最初から優しい男性ではない。冷たく、近寄りがたく、感情を表に出さない。だからこそ、その人物が少しずつ心を開き、キスという形で想いを伝えていく過程が、多くの視聴者の心をつかんだ。

恋愛ドラマには名キスシーンが数多く存在する。しかし、『恋つづ』は一つの名場面ではなく、何度も記憶に残るキスシーンを生み出した稀有な作品だった。キスシーンが多かったから愛されたのではない。

その一つひとつが、天堂浬という人物の感情そのものだったからこそ、放送から年月が経った今も、多くの人の記憶に残り続けているのである。


※記事は執筆時点の情報です

の記事をもっとみる

注目コンテンツ