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ドラマの役作りで「国家試験」に合格した“元アイドル女優”。一級小型船舶操縦士免許を持つ「美女」とは?

  • 2026.7.28
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2022年4月、ビタミン剤「チョコラBB」のCMに出演した山下美月(C)SANKEI

役作りといえば、髪型や体重、話し方を寄せていくのがイメージされる。山下美月がやったのは、その一段先だった。2025年、フジテレビ系ドラマ『新東京水上警察』で海技職員を演じるにあたり、彼女は一級小型船舶操縦士免許を取得している。しかも、この人はほぼ同じ時期に自動車の運転免許も取っていて、順番としては船のほうが先に乗れるようになった。

清楚なモデルの顔で知られる女優が、車より先にハンドルならぬ舵を握る。役に必要なら国家試験まで受けにいく。その実践のかたちが、いまの山下美月をいちばんよく表している。

アイドルの中央で場を引き受ける技術

いきなり船を操れる女優が生まれたわけではない。土台は、アイドルとして人前に立ち続けた歳月にある。

山下は2016年、17歳で乃木坂46の3期生オーディションに合格した。グループの中で徐々に前へ出ていき、2021年発売の26thシングル『僕は僕を好きになる』で初めて表題曲の単独センターに立つ。2023年の32ndシングル『人は夢を二度見る』ではダブルセンターを、2024年の35thシングル『チャンスは平等』では卒業シングルの単独センターを務めた。表題センターを三度背負うというのは、グループの顔として選ばれ続けたということだ。

そして2024年5月、東京ドームで卒業コンサートを開いて、約7年半の活動を締めくくった。大きな器の真ん中で、何万人もの視線を受けて立つ。この期間に蓄えたのは歌やダンスだけではない。緊張の中で崩れずに立ち、場を引き受ける技術そのものだった。それが、次の現場で効いてくる。

役のために国家試験まで受けにいく

俳優としての山下がわかりやすく表れたのが、資格の取り方だ。在籍中の2022年、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』で、ヒロインの幼なじみ・望月久留美を演じた。乃木坂46の現役メンバーとして朝ドラにレギュラー出演するのは初めてで、アイドルの肩書きを抱えたまま連続ドラマの現場に立った経験は、卒業後の足場になった。

その延長線上で受けたのが、『新東京水上警察』の海技職員役だった。ここで山下は、演じるふりで済ませなかった。オファーを受けてすぐに一級小型船舶操縦士免許の取得を決め、講習に通い、国家試験に合格している。しかも本番では警備艇を自分で操縦した。共演者を後ろに乗せて船を出すというのは、演技である以前に人命を預かる仕事だ。

役に説得力を持たせる方法はいくらでもある。その中で、山下は免許という外部の基準を通す道を選んだ。自分の技術を、資格という誰にでも見える形に変えてから現場に立つ。護身術やキックボクシングへの関心も同じ線の上にあって、誰かに守ってもらうより自分の身は自分で守れるようにしておく。この人の実践は、いつも他人の目に見える確かさへ向かっている。

話題や評判のように現場が終われば薄れていくものと違って、身につけた技術は次の役へそのまま持ち越せる。他人の許可を待たずに自分で握れる確かさを、一つずつ増やしている。

一人で舞台の中心を背負う

土台と実践が結実した地点に、いまの山下美月はいる。2026年、舞台『成瀬は天下を取りにいく』で、山下は成瀬あかり役の単独主演を務める。グループの中央から、一人で舞台の中心を背負う場所へ。三度センターを務めた人が、今度は誰かと分け合うのではなく、単独で一本の作品を立たせる側に回った。

今年は映画『キングダム 魂の決戦』に宮女・陽役で出演し、ABEMAオリジナルドラマ『バカンスの法則』にも名を連ねる。舞台、映画、配信と、活動の場は横にも広がっている。器の大きさや形が変わっても、真ん中で崩れずに立てる。乃木坂46で蓄えた技術が、そのまま俳優の芯になっている。

自分の力で舵を握る女優

清楚なモデルとして親しまれてきた印象と、船を操り免許を重ねる姿。この二つは矛盾しない。人前に立つ技術を長く磨き、役のためなら国家試験まで受けにいく。その積み重ねが、いまの山下美月を一人で立てる女優にした。

舞台の単独主演から映画へ、配信へ。自分の力で舵を握った女優が、これからどんな現場へ船を出していくのか。順番を気にせず、必要なものから取りにいくこの人なら、次に何を握っても驚かない。


※記事は執筆時点の情報です

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