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創業の地、ドイツ・ケルンで触れるリモワの歴史とものづくりへの真摯な姿勢。

  • 2026.6.30

旅の最高のパートナーとして、まず頭に浮かぶのがリモワのスーツケースではないだろうか。ブランドアイコンのグルーブ(溝)デザインと、控えめに輝くアルミニウムの質感。旅をするたびに刻まれていく表面の傷や凹みさえも思い出とともに愛着となり、いい感じに育っていると、心が躍る。

そのスーツケースが生み出されるファクトリーを、創業の地ドイツ・ケルンで、特別に見学させてもらう機会を得た。1898年にリモワの歴史が始まった場所にほど近い地に、新たなフラッグシップストアがオープン。ケルンの街には、120年以上にわたって受け継がれてきた、リモワのものづくりへの真摯な姿勢が息づいていた。

広々とした工場。ケルンの工場で、すべてのクラシックコレクションスーツケースが造られている。photography: Matthias Grund

職人の手で、1枚の薄い板が見るまにスーツケースに。リモワの工場に潜入!

ケルン市の中心部から車で約20分。リモワのファクトリーは溝の入ったシルバーの外壁に覆われた、スーツケースそっくりの印象的な建物だった。ここで、世界中の旅人に愛されるアルミニウム製のスーツケースが作られていると聞くと感慨深い。工場内に足を踏み入れると、想像以上に多くの工程が人の手によって支えられていることに驚かされた。

リモワのスーツケースを模した印象的な建築は、1986年に完成。見た目だけでなく、自然光を多く取り入れ、高い断熱・遮音効果を備えている。

まずは、厚さわずか0.8ミリのアルミ板をカットすることからスタートする。この板は高い耐久性を持たせるため、陽極酸化処理、いわゆるアルマイト加工を施しており、独特の質感を持つ。薄い1枚板の状態ではまだかなり柔らかいが、職人たちがハンマーを使って立体的で堅牢な構造体へと仕上げていくのだ。

特徴的なグルーヴ(溝)加工、表面処理を施した薄い板を専門の機械でカット。photography: Matthias Grund

職人は皆、防音用のイヤーマフをつけている。それくらい大きな音でガンガン叩きながら、成形していくのだ。無駄のない動きで瞬く間に私たちが知っているスーツケースの形が出来上がっていく。いとも簡単そうに腕をふるう職人たちだが、ハンマーでの作業は力の入れ加減やどこを叩くかなど、手に伝わる感覚が頼りの、経験がものをいう繊細な作業なのだそうだ。何度もハンマーを使って微細な歪みや、無駄な緊張をとっていく作業を行っていく。

耐久性の確認は、遮音室の中で行う。数人の職人たちがかわるがわるテストを行う。photography: Matthias Grund

ヒンジ(蝶番)やロックパーツなどを固定するリベットやネジ、中敷などのパーツも、一つひとつ職人の手で取り付けられている。工場の一角では、若いスタッフが熟練の職人に教わりながら成形を練習していた。ドイツの工業技術と職人が支えるクラフトマンシップ。リモワが掲げる「Ingenieurskunst(エンジニアリングの芸術)」という言葉が、工場を見て改めて実感できた。

立体的に折り曲げて、枠に手作業でネジ止め。堅牢なシェルが出来上がる。photography: Matthias Grund

リモワのものづくりのへの軌跡とアーカイブ、そして素材への挑戦。

リモワの創業は1898年のこと。ケルン大聖堂にほど近い小道に、創業者パウル・モルシェックが開いた馬具工房が始まりである。その後皮革加工の技術を生かして、オーダーメイドのスーツケースを作るようになった。

創業者のパウル・モルシェック。息子のリヒャルトが1930年代に工房を引き継ぎ、リヒャルト・モルシェック・ヴァーレンツァイヒェン(商標)、略称RIMOWAと改名した。
1912年頃の工房。

20世紀になると旅のスタイルが変化していく。自動車が一般に広く普及し、荷物は車の外側のラックに乗せられるようになったため、より軽く頑丈なスーツケースが求められるようになったのだ。そこでアルミニウムという新素材に注目したのが、1920年代に入社したパウルの息子、リヒャルト・モルシェックである。彼は1937年、金属製の海外旅行用スーツケースを市場に発表した。

アルミニウム製の海外旅行用のワードローブトランク。まだあの特徴的なグルーブデザインは登場していない。

その後、さらなる強度と軽量化を求めて研究を重ねていたリヒャルトは、世界初の全金属製民間用航空機「ユンカースF13」の存在を知り、薄い金属板を波型構造にすることで強度を与えるという発想にインスピレーションを受ける。今日に至るまでリモワの象徴となっている、特徴的なグルーヴ(溝)デザインの誕生だ。

リモワの素材やものづくりへの探究精神は続き、2000年には業界に先駆けてポリカーボネート素材を採用。さらなる耐久性と軽量化を実現させた。2022年には、同年7月25日以降に購入された全てのスーツケースに生涯保証をつけている。時代が変わり、素材や技術が進化しても、長く愛することができる旅のパートナーを作るという、創業以来の思いは変わっていないからだ。

業界初の試み。軽くて堅牢なポリカーボネート素材を採用。
リヒャルトの息子、ディーターが入社。祖父と父のマインドを受け継ぎ、新たな試みにも取り組む彼は、1978年に完全防水のカメラケースを作成。プロのカメラマンたちの間で話題を呼んだ。
ポリカーボネートとアルミを組み合わせたプロトタイプ。チャリティイベントのために2009年に作成。

進化するリモワのサービスを、生誕の地ケルンのストアで体感。

リモワは、ケルンに新たなフラッグシップストアをオープンした。大きなショーウィンドウからは世界遺産でもあるケルン大聖堂が見える。まさにブランドの原点への帰還だ。店内には歴代の名作を展示する「ヘリテージ・ウォール」が設置され、初期のアルミニウム製の海外旅行用トランクから、最新のコラボレーション作品までがずらりと並ぶ。ブランドの120年以上の歩みを一望できる空間だ。

伝統ある5つ星ホテルに隣接するストア。外は歴史的な建築のディティールが生かされ、内部にはケルンの街のランドマーク的存在の橋のグリーンをアクセントとして取り入れている。
店内には、遊び心あふれるコラボレーション作品も展示。

螺旋階段を登り、2階のフロアに上がると 、ケルン戦艦店限定、リモワ発のオーダーメイドサービス「クラフテッド・フォー・ユー」のサロンがある。ここでは、顧客がクラシックシリーズのサイズやプロポーション、仕様などを細かくカスタマイズして注文することが可能だ。19世紀末の創業当初、オーダーメイド工房だった時代を彷彿とさせる。使い込まれたスーツケースのリペアができる工房もあり、職人たちが忙しく働いていた。長い旅を経たスーツケースがここで輝きを取り戻し、また新しい場所へと旅立っていくのだ。

ケルン戦艦店のオープニングには、リモワのグローバルアンバサダーであるルイス・ハミルトンが登場。F1史上最多のワールドチャンピオンでもあるハミルトンは、仕事ではあるが、1年に26,7か国ほどを訪れるという。実際リモワのスーツケースを愛用し、昨年のバカンスにはリモワを持ってアフリカの5つの国を訪れたそうだ。旅で異なる文化を知り、人に会うのが本当に楽しいというハミルトン。旅には枕とスピーカーを必ず携帯するなどの逸話も披露。軽妙なトークで、場を盛り上げていた。

自宅にスタジオを持つほど音楽好きなことでも知られているハミルトンのために、リモワはクラフテッド・フォー・ユーで、一点もののレコードケースを作成してプレゼントした。鮮やかな朱色のグリップが目をひくシルバーのケース。旅はもちろんのこと、家に置いても美しいデザインにハミルトンも嬉しそうだ。

リモワのアンバサダー、F1史上最多チャンピオンのルイス・ハミルトン。ショップのオープニングに登場。クラフテッド・フォー・ユーで、一点もののレコードケースを作ってもらい、嬉しそうだ。

120年以上の歴史とクラフトマンシップの粋を集結し、長く愛される旅の相棒を作り続けたい――。ケルンの街から発信されるリモワの創造への旅路に今後もますます注目したい。

問い合わせ先

リモワ クライアントサービス
03-6733-9850
https://www.rimowa.com/jp/ja/home

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