1. トップ
  2. 住まい
  3. 「夏休みで子どもが一日家にいるのに…」隣の空き家が解体工事開始→朝から騒音に耐える30代夫婦がとった“対策”【一級建築士は見た】

「夏休みで子どもが一日家にいるのに…」隣の空き家が解体工事開始→朝から騒音に耐える30代夫婦がとった“対策”【一級建築士は見た】

  • 2026.7.30
undefined
出典元:photoAC(画像はイメージです)

「長く空き家だったお隣が、この夏、解体工事に。ありがたい話のはずが、朝から重機の音とほこりで窓を開けられなくて…。子どもは夏休みで一日家にいるし、いつまで続くのか、どこまでが『普通の工事』なのか分からないんです」

そう話すのは、4年前、郊外の住宅地に中古の一戸建て(築14年・4LDK・延床約109㎡/土地約180㎡、約3,300万円)を買ったKさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。窓を開けて風を通したい季節に、隣地で始まった解体工事。この数週間と、どう付き合えばいいのでしょうか。

解体工事は「ルールの中」で行われている

まず知っておきたいのは、解体工事は無制限にできるものではない、ということです。

重機による取り壊しなど、大きな音や振動の出る作業は、騒音規制法・振動規制法の「特定建設作業」にあたり、住宅地などでは自治体(市区町村)への事前の届出が必要です。そして作業には基準があります。住宅地では原則として、作業は午前7時から午後7時までの間で1日10時間以内、同じ場所での連続作業は6日以内、そして日曜・休日は行わない。音や振動の大きさにも、敷地境界での上限が定められています。これは法律の基準で、自治体の条例によって、対象となる作業や時間帯がさらに厳しく定められている地域もあります。細かなルールは、お住まいの市区町村のウェブサイトで確かめられます。

つまり、早朝と夜、そして日曜には、静けさが戻ってくる設計なのです。

現場の「お知らせ看板」が、情報の宝庫

見落とされがちなのが、現場の入り口に立っている看板です。

解体工事の現場には、法律で施工業者の標識の掲示が義務づけられ、多くの現場では、工事の期間や連絡先を記した「お知らせ看板」もあわせて立てられています。石綿(アスベスト)についても、すべての解体工事で事前調査が義務づけられており、その結果を現場の見やすい場所に掲示することまで決められています。含まれている場合も、飛散を防ぐ手順が法律で定められたうえで作業が行われます。

工事の不安の多くは、「いつまで・誰が・何を」が分からないことから生まれます。看板を見れば、ゴール(工期)と窓口(連絡先)が分かるのです。振動が心配なら、工事が本格化する前に、わが家の外壁や基礎まわりを日付入りの写真で記録しておくのがおすすめです。万一、ヒビ割れなどのトラブルが起きたとき、前後を比べられると話が早く進みます。

Kさん夫婦はどう対応したのか

Kさん夫婦は、まず看板を見に行きました。工期は重機を使わない作業も含めて約1か月で、石綿は「含まれず」という調査結果も掲示されていました。あわせて市のウェブサイトで、地域の作業時間の基準も確かめました。「終わりの日が分かっただけで、ずいぶん気持ちが楽になりました」とKさんは話します。

暮らしのほうは、時間割で工夫しました。窓を開けて風を通すのは、作業前の朝と、作業が終わる夕方以降、そして工事の休みの日曜日に。洗濯物は工事のあいだは室内干しを中心にして、外にたっぷり干したいものは日曜にまとめました。音の大きい日中は、子どもと図書館や児童館へ出かける日もつくりました。家の外まわりの写真も、日付入りでひととおり撮影。数分で終わる、無料の備えです。

ほこりっぽい日が続いたときは、看板にあった施工会社の連絡先に、「洗濯物の時間だけでも、少し配慮してもらえませんか」と困りごととして伝えました。責める形にしなかったこともあってか、水のまき方を増やすなど、ていねいに対応してもらえたそうです。なお、夜間や日曜の作業が続くなど基準から外れた状態が改まらないときは、市の環境担当の窓口に相談できます。

隣の解体工事は「終わりのある付き合い」

空き家の解体は、心配の種だった建物が片付く、地域にとって前向きな変化でもあります。更地になれば、防犯や火事の心配も減っていきます。一方で、工事のあいだは、音やほこりとの付き合いが避けられません。この数週間を落ち着いて過ごすために、以下を確かめてみてください。

・現場の看板で、工期・施工会社・連絡先・石綿の調査結果を確かめる
・作業のない朝・夜・日曜に、窓開けや外干しの時間を寄せる
・工事が本格化する前に、わが家の外まわりを日付入りの写真で記録しておく
・困りごとは、まず看板の連絡先へ穏やかに。改まらなければ市の窓口へ

解体工事は「終わりのある、ルールの中の出来事」だと知って、ゴールと窓口さえ押さえれば、夏の数週間は乗り切れます。

参考:
規制対象となる作業の種類(特定建設作業・指定建設作業)と勧告基準(目黒区)
建設工事に係る騒音・振動の規制(東京都環境局)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ