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タワマンの駐車場に「想像と違いました」30代夫婦が“真夏は本当につらくて”と語ったワケ【一級建築士は見た】

  • 2026.7.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「車で出かけるたび、駐車場で待つんです。機械に呼び出しをかけて数分、朝の混む時間は前に何台も並んで10分以上。真夏は、子どもと一緒に待つのが本当につらくて。マンションに駐車場があるから便利だと思っていたのに、想像と違いました」

そう話すのは、2年前に都市部でタワーマンションの一室(3LDK・71平方メートル、約7,500万円)を買ったAさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

敷地内に駐車場があることも決め手のひとつでしたが、割り当てられたのは機械式駐車場でした。当時はあまり気に留めていませんでしたが、いざ暮らし始めてから、平置きの駐車場とはまったく勝手が違うことに気づきました。

なぜ機械式駐車場は、待つのか

機械式駐車場で待ち時間が生まれるのには、はっきりした理由があります。

機械式駐車場は、車をパレットという台に載せ、機械で立体的に格納する仕組みです。車を出すときは、操作盤で自分のパレットを呼び出し、機械が車を運んでくるのを待ちます。この呼び出しに、1回あたり数分かかります。

そして、装置は1台ずつしか動かせません。前の人の操作が終わるまで、次の人は操作すら始められないのです。朝の出勤や休日の外出で利用が重なると順番待ちの列ができ、自分の番が来るまで10分以上かかることもあります。

都市部は土地が限られ、タワーマンションは戸数が多い。限られた敷地で駐車台数を確保するには、立体的に車を収める機械式が合理的なのです。ただその分、「乗りたいときにすぐ乗れる」平置きの感覚とは、大きく違います。

待ち時間の負担は真夏に重くなる

見落とされがちなのが、この待ち時間による負担が、季節と家族構成によってぐっと重くなることです。

数分の待ち時間も、真夏の炎天下では長く感じます。操作盤のまわりに日かげがなければ、照り返しの中で立って待つことになり、小さな子どもを連れていればなおさらです。ぐずる子どもをなだめながら、前の人の操作が終わるのを待つ。Aさんが「つらい」と感じたのは、まさにこの場面でした。

そして、待ち時間には安全確保の意味もあります。機械式駐車場は大きな力で動く装置です。近年はセンサーの設置など装置側の安全対策も進んでいますが、国土交通省が公表した「機械式立体駐車場の事故情報」によると、2007年度から2016年度の10年間に、利用者などが挟まれるなどして死亡・重傷を負う事故が少なくとも32件(うち死亡12件)発生。半数はマンションの駐車場で起きており、子どもが亡くなる事故も3件含まれます。

これを受けて国は2014年、「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」を定めました。「運転者以外は装置の外で乗り降りする」「子どもを装置に近づけない」。これらはガイドラインが利用者に求める、急いでいても省けない手順です。

Aさん夫婦はどう対応したのか

そこでAさん夫婦は、まず出かける時間を見直しました。朝の混み合う時間帯を少し外すだけで、順番待ちはぐっと減ります。真夏の外出は、混雑が始まる前の涼しい時間に出るようにしました。

あわせて、待ち時間を前提にした段取りに変えました。先に家で子どもの支度と荷物をすませてから駐車場へ向かい、呼び出し操作をしたら、待つ間は日かげで子どもと待機。乗り降りは装置の外で、子どもの手を離さない。これを家族のルールにしました。

「待つのは変えられませんが、待ち方と段取りは変えられます。仕組みが分かって、いらいらしなくなりました」とAさんは振り返ります。

機械式駐車場のマンションは「出庫の時間」も考えて

敷地内に駐車場のあるマンションは、車のある暮らしに心強い存在です。外で月極駐車場を探す手間がいらないのも利点です。一方で、それが機械式なら、平置きとは使い勝手が大きく違います。選ぶときは、駐車場の「有無」だけでなく、以下の点もあわせて確かめておくと安心です。

・平置きか機械式か、出し入れに何分くらいかかるか
・朝など混み合う時間帯に、順番待ちがどの程度起きるか
・待つ場所に日かげや屋根があるか
・子どもを装置に近づけない、乗り降りは装置の外で、という安全ルールを守れるか

機械式駐車場は「呼び出して待つ」駐車場だと知ったうえで、時間と段取りを仕組みに合わせれば、都市部の限られた敷地でも、車のある暮らしを快適に続けられます。

参考:
機械式立体駐車場の安全対策(国土交通省)
取扱説明ガイド・安全のための注意事項(新明和工業)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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