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「シャツが汗でびっしょり…」駅徒歩10分の築浅アパートに入居した30代会社員が、夏の通勤で直面した過酷な現実

  • 2026.7.31
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

賃貸物件を探す際、「駅徒歩10分以内」を条件の一つにしている方は多いのではないでしょうか。徒歩10分であれば毎日の通勤もそれほど負担にならないと考え、契約を決める方も少なくありません。

しかし、不動産広告に表示される「徒歩10分」は、実際に歩いたときの負担や歩きやすさまで反映しているわけではありません。

今日は、駅徒歩10分という条件に惹かれて入居したものの、毎日の坂道が想像以上に大変だったAさんのエピソードをご紹介します。

「駅徒歩10分なら十分近い」と思って入居を決めた

これは、私が所有するアパートに入居された30代会社員のAさんの話です。夏休み前の引越しを考えていたAさんは、仕事帰りでも無理なく通える物件を探していました。

「駅徒歩10分以内で、できれば築浅がいいですね」

そう希望され、いくつか物件をご案内した中で目に留まったのが、駅徒歩10分、築浅にもかかわらず家賃が周辺相場より少し抑えられた賃貸アパート。外観もきれいで室内の状態も良く、その場で気に入ったご様子でした。

「この条件でこの家賃なら、かなりいいですね」

私は「駅までの道のりは勾配のある坂が続きますので、実際に歩いて確認されることをおすすめします」とお伝えしました。

しかし、内見当日は車で現地まで向かったこともあり、Aさんは室内や駐車場、周辺環境を一通り見終えると「駅徒歩10分なら近いですし、実際に歩かなくても大丈夫でしょう」と話され、駅までの道のりを確認することなく、そのまま契約手続きへ進まれました。

徒歩分数(駅などの施設まで徒歩でかかる時間の目安)だけでは実際の歩きやすさまでは分からないこともお伝えしましたが、Aさんは「徒歩10分なら問題ないだろう」と受け止めていたようでした。

毎日の通勤で分かった「徒歩10分」の現実

入居後、最初の出勤日。駅へ向かって歩き始めたAさんは、アパートを出てすぐに足を止めました。

「えっ…ずっと坂道なの?」

目の前には駅へ向かって続く上り坂。その先には階段もあり、平坦な道を想像していたAさんは、唖然としたそうです。歩き始めて数分で息が上がり、駅へ着く頃には額から汗が流れていました。

さらに夏になると状況はもっと過酷でした。朝から強い日差しが照りつける中、坂道を一歩ずつ上って駅へ向かうため、

「まだ会社にも着いていないのに、シャツが汗でびっしょり…」

という日が続くようになったそうです。

雨の日は路面が滑りやすく、足元を気にしながら慎重に歩かなければなりません。仕事帰りに飲み物や日用品を買った日は、重くなった買い物袋が腕に食い込み、坂道を上るたびに何度も持ち替えていたといいます。

「これを毎回繰り返すのは想像以上に大変だな…」

そう感じるようになり自転車も試してみましたが、急坂では結局降りて押して歩く場面が多く、思っていたほど便利には使えませんでした。

近所の人の一言で初めて理由を知った

そんな生活が数週間続いたある日、Aさんはアパートの駐輪場で近所の住民と話す機会がありました。

「駅までは10分なんですけど、この坂が大変でしょう。だから、このあたりは原付バイクを使っている人が結構多いんですよ」

さらに別の住民も、

「私は毎朝バスです。夏は駅へ着く頃には汗だくになりますから」

と笑いながら話してくれたそうです。

実は、不動産広告の徒歩分数は「不動産の表示に関する公正競争規約」に基づき、道路距離80mにつき1分(80m未満の端数は1分に切り上げ)として算出されています。

そのため、坂道・階段・高低差・信号待ち・踏切待ちなどに要する時間は反映されません。つまり、平坦な道を歩く10分も、急な坂道や階段が続く10分も、広告では同じ「徒歩10分」と表示されるのです。

結局Aさんは、毎日の負担を減らすため駅までバスを利用するようになりました。しかし、その分バス代が毎月かかるようになり、家賃が少し安かったメリットは次第に薄れていきました。

徒歩分数だけではなく「歩きやすさ」まで確認することが大切

駅徒歩〇分という表示は、物件を比較する際の分かりやすい目安の一つです。

しかし、実際の暮らしやすさは、坂道や階段の有無、道路幅、歩道の整備状況などによって大きく変わります。同じ「徒歩10分」の物件でも、毎日感じる負担には想像以上の差が生まれることがあります。

そのため、駅を日常的に利用する方は、内見の際に実際の駅まで歩いてみることをおすすめします。

その際は「急な坂道や階段がないか」「雨の日でも歩きやすい道路状況か」「通勤時間帯の人通りや交通量はどうか」といった点に加え、スーパーで買い物をした荷物を持って歩く場面や、夏場の日差し・日陰の状況まで確認しておくと安心です。

毎日歩く道には、休日に一度歩くだけでは気付きにくい負担が隠れていることもあります。「駅徒歩10分」という数字だけで判断するのではなく、実際の生活をイメージしながら現地を歩いてみることが重要です。

参考:徒歩所要時間について(首都圏不動産公正取引協議会)



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。

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