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「1年間だけなら…」軽い気持ちでタワマン理事長になった50代男性を襲った“終わらない苦痛”

  • 2026.7.30
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※ChatGPTにて作成(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

マンションを購入するとき、間取り・眺望・管理費・修繕積立金は気にしていても「将来自分が管理組合の役員になるかもしれない」という点まで意識する方は、それほど多くありません。特に大規模マンションやタワーマンションでは、管理組合(マンションの維持・管理を住民で行う組織)の役員を輪番制で担当するケースもあります。

今日は「1年間だけだから大丈夫だろう」と理事長を引き受けたことで、休日まで住民対応に追われ、精神的な負担から住み替えまで考えることになった50代男性のお話をご紹介します。

「1年間だけなら」と軽い気持ちで理事長を引き受けた

これは、会社員時代からお付き合いのある会社経営者Aさん(50代男性)から伺ったお話です。Aさんは約300世帯が暮らすタワーマンションを購入し、家族とともに穏やかな生活を送っていました。

入居から数年が経ったある日、自宅の郵便受けに管理組合から一通の封筒が届きます。開封すると「次期役員就任のお願い」という通知が入っていました。

このマンションでは管理組合の役員を輪番制で務める仕組みとなっており、順番が回ってきた住民は原則として理事に就任するルールだったのです。

後日開かれた理事会では、新しい役員同士で理事長を決めることになりました。

「どなたかお願いできますか」

静まり返った会議室。誰も手を挙げないまま時間だけが過ぎていきます。すると、一人の役員が口を開きました。

「Aさん、お願いできませんか?」

地域では会社経営者として知られていたAさん。周囲の視線もあり、その場で断ることはできなかったといいます。

「1年間だけなら何とかなるだろう…」

仕事も以前ほど忙しくなく、「みんなで協力すれば何とかなるはず」という気持ちもあり、理事長を引き受けることにしました。

しかし、この決断が休日や仕事終わりまでマンション運営に追われる生活の始まりになるとは、このときのAさんは思ってもいなかったそうです。

毎日のように届く苦情と休日まで続く理事会

理事長に就任すると、Aさんの生活は一変しました。仕事中、スマートフォンには管理会社から着信が入ります。

「住民から騒音の相談が来ていまして…」

帰宅後にはメールで資料が届き、夜は理事会で話し合う議題の確認。休日になればマンションの集会室へ向かい、理事会や管理会社との打ち合わせが予定されていました。

住民から寄せられる相談内容もさまざまです。

  • 上の階の足音が毎晩うるさい
  • 共用廊下に私物が置かれている
  • ペットを抱えずにエレベーターへ乗せている人がいる
  • 来客用駐車場を同じ人が何日も使っている

管理会社だけで対応できる内容もありますが、管理規約の解釈が必要なケースや、住民同士の意見が対立する問題は理事会で協議し、管理組合として判断を示さなければなりません。

休日の午後は議案書や総会資料に目を通し、気が付けば数時間が過ぎていることも珍しくありませんでした。家族がリビングでくつろいでいる横で、一人パソコンに向かい続ける日も多かったそうです。

「家に帰っても仕事が終わらない感覚でした。理事長になってからは、マンションのことが頭から離れませんでした」

Aさんは、当時をそう振り返っていました。

板挟みの日々で心が折れ、住み替えまで考えるように

Aさんが最も苦しかったと振り返るのは、住民同士の意見が真っ向からぶつかる理事会でした。ある日の議題は、大規模修繕工事の実施についてです。

「建物の資産価値を維持するためにも、予定どおり工事を進めるべきです」

そう発言する住民がいる一方で、別の住民はすぐに反論しました。

「修繕積立金(将来の大規模修繕に備えて毎月積み立てる費用)が上がるなら賛成できません」

会議室の空気は一気に重くなり、あちこちから意見が飛び交います。さらに、共用施設の利用ルールやペット飼育のマナーなどでも住民の考えはまとまらず、理事長であるAさんへ判断や説明を求める視線が集まりました。

どちらか一方の意見を尊重すれば、もう一方からは不満や苦情が寄せられます。

理事会が終わって帰宅しても気持ちを切り替えることができず、管理会社から電話が鳴るたびに「また何かトラブルだろうか」と身構えるようになったそうです。

任期を終える頃には心身ともに疲れ切っていました。

「もう二度と理事長はやりたくありません。マンション自体は気に入っていましたが、このまま住み続けるのもしんどくて、売却して住み替えることまで本気で考えました」

そう語るAさんの表情からは、当時の精神的な負担の大きさが伝わってきました。

タワーマンションでは管理組合の運営状況まで確認したい

もちろん、すべてのタワーマンションで、Aさんのように理事長が大きな負担を抱えるケースばかりではありません。役員報酬制度を設けていたり、管理会社のサポートが充実していたり、専門委員会が役割を分担していたりすることで、役員の負担を軽減しているマンションも数多くあります。

一方で、住戸数が多い大規模マンションほど、騒音やペット、駐車場、修繕計画など、管理組合が判断しなければならない案件も増えやすい傾向があります。

マンションの購入を検討する際は、管理規約で役員の選任方法や任期を確認することも大切です。

あわせて「管理会社がどこまでサポートしてくれるのか」「管理組合が円滑に運営されているか」など、総会議事録などで過去の運営状況を確認しておくことで、購入後に管理組合の運営実態を知って戸惑うリスクを減らしやすくなります。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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