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「妻の保険が使えるなんて」0:10のもらい事故で特約なしのAさんが自己負担ゼロになった"意外な抜け道"

  • 2026.8.1
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「弁護士費用特約、付けていなかったんです」

0:10の交通事故の被害者となったAさん(30代・男性)は、電話口でこう打ち明けました。

過失ゼロの事故では、自分側の保険会社は相手との示談交渉を代行できません。相手の保険会社と自分ひとりで向き合わなければならず、その対応にも納得できない。頼みの綱の特約もない。Aさんは行き詰まっていました。

しかしこの後、Aさんは自己負担ゼロで弁護士に依頼できることになります。鍵は、意外なところにありました。夏休みの帰省や旅行など、車に乗る機会が増えるこの季節。もらい事故は決して他人事ではありません。

今回は、損害保険会社で事故対応をしてきた私が受けた相談案件についてのお話です。

「弁護士を紹介してもらえませんか?」

私が相談案件として対応したAさんは、奥様とお子さんの3人暮らし。Aさんが遭った追突事故の過失割合は0:10、いわゆる「もらい事故」の被害者で、相手方から賠償を受ける立場です。

事故当初、Aさんは自身で相手の保険会社とやり取りをしていました。そんなAさんから、ある日連絡が入ります。

「相手の保険会社の対応に、どうしても納得できないんです。弁護士を紹介してもらえませんか?」

特約は未加入。それでも弁護士を入れたい

冒頭にお伝えした通り、Aさんは弁護士費用特約に加入しておらず、Aさん本人もそれを認識していました。つまり弁護士に依頼するなら、費用は全額自己負担となります。

弁護士費用としては、相談料や着手金、示談後の成功報酬に加え、書類を取り寄せるために必要な交通費や通信費などの実費が乗ってきます。場合によっては、弁護士を入れたことで増えた金額よりも弁護士費用の方が高くつく、いわゆる「費用倒れ」になりかねません。

私はAさんに弁護士費用のおおよその相場をお伝えし、まずは無料の弁護士相談窓口への連絡を勧めました。

「費用のことは分かりました。それでも、このまま相手の言い分どおりに進めるのは、どうしても納得がいかないんです」

それだけのリスクと費用を承知の上でもなお、Aさんは弁護士に依頼したいとのことでした。そこで、私は一つの質問をしたのです。

「同居されている奥様は、自動車を個別でお持ちですか?」

電話口のAさんは、ややあって返答します。

「はい、妻は自動車を持っています。自動車保険も別にかけていますが、それが何か関係あるんでしょうか?」

私はAさんに、こう案内しました。

「奥様の自動車保険に弁護士費用特約が付いていないか、確認してみてください。保険会社が違っても、条件さえ合えば使用できるはずです」

Aさんが確認した結果は、その日のうちに電話で報告がありました。奥様の自動車保険に、弁護士費用特約が付帯されていたのです。

なぜ家族の特約が使えるのか

弁護士費用特約は、自動車保険の契約に付帯する特約です。ただし、補償を受けられる人の範囲は、契約者本人にとどまりません。多くの場合、契約の中心となる記名被保険者(主にその車を運転する人)に加えて、その配偶者、同居の親族、別居の未婚の子までが約款(保険契約の内容を細かく定めた規定)で定められています。

また、補償の対象となる事故も、契約しているその車に乗っていたときだけとは限りません。弁護士費用特約には、対象を自動車事故に限定した型と、日常生活の事故まで広くカバーする型があり、いずれの型でも、家族が別の車で遭った自動車事故は対象となり得ます。保険会社が異なっていても関係ありません。

今回のAさんは、奥様の契約から見ると「記名被保険者の配偶者」。まさにこの範囲に該当していました。

奥様の保険で、自己負担ゼロに

確認後、Aさんはまず奥様の保険会社へ事故の連絡を入れ、弁護士費用特約を使いたい旨を申し出ました。補償対象の条件を満たしていることが確認でき、問題なく使用できることに。なお、弁護士費用特約のみの使用は「ノーカウント事故」として扱われるのが一般的で、奥様の保険の等級が下がることもありませんでした。

結果としてAさんは、弁護士費用特約の補償範囲内で、自己負担なく弁護士への相談・委任ができたのです。

「妻の保険が使えるなんて、まったく考えていませんでした。助かりました」

「家族の保険」まで確認していますか?

事故に遭って「弁護士費用特約を付けていなかった」というときは、諦める前にご家族の保険を確認してみてください。その際には、弁護士に依頼する前に保険会社へ連絡し、特約が使えるかを確認してから進めましょう。

そして、家族の特約が使えるということは、裏を返せば、家族間で同じ特約が「重複」している可能性もあるということ。

弁護士費用特約は自動車保険や火災保険に、個人賠償責任特約は自動車保険や火災保険、クレジットカード付帯の保険にも付いていることがあります。補償の細かな範囲は契約内容によって異なるため、約款や保険会社への確認は必要ですが、重複をチェックして取捨選択すれば、無駄な保険料の節約にもつながります。

特約は「付けたら安心」で終わりではありません。「誰が対象なのか」「家族の分と重複していないか」まで知っておくことで、いざという時に活用でき、無駄なく備えられるのです。


ライター:スライカズヤ
保険・自動車分野を専門とするライター。損害保険会社で事案担当者として10年間、示談交渉・損害査定・自動車修理の協定業務に携わり、数多くの事故対応の現場に立ってきた。初級技術アジャスター、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険事業総合研究所 本科講座修了。専門性の高い知識を、正確に、分かりやすく伝えることを信条とし、「当事者にならないとわからない」事故と保険のリアルを読者に届ける。


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