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鉄道会社社員が明かす「乗車証」の実態…家族の通学まで無料になる会社がある一方で?

  • 2026.8.1
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役鉄道会社社員の福本明文です。

私たちが日常的に利用する小売店やサービス業などの多くの企業では、自社の商品やサービスを安く利用できる社員割引(社割)の制度が導入されています。では、自社の商品が鉄道サービスである鉄道会社の場合、社員にはどのような制度が用意されているのでしょうか。

実は鉄道会社においても同様に、自社線を無料で利用できたり、割引料金で乗車できたりする乗車証の制度が存在します。しかし、その運用ルールは会社ごとに異なります。今回は、鉄道会社の社員乗車の制度と、その違いについて解説します。

民間鉄道会社の乗車証

多くの民営鉄道会社では、業務遂行や福利厚生の一環として、自社線内を利用できる乗車証が社員に支給されています(会社によって「乗車証」や「職務乗車証」など名称は異なります)。

現在、特に都市部の鉄道ではこの乗車証が交通系ICカードと一体化しているケースが主流です。社員証として駅やオフィスのセキュリティゲートの入退館に使用すると同時に、改札機にタッチすることで自社の電車を利用できるというシステムが広く定着しています。

ただし、この乗車証の対象は、あくまで基本となる乗車券(運賃)の部分のみに限定されるのが一般的です。新幹線や特急列車、指定席、グリーン車、特別車両などを利用する場合に必要となる料金については無料の対象外となり、社員自身が実費で別途購入しなければなりません。

また、鉄道だけでなくグループが運営する路線バスのネットワークも利用範囲に含まれるなど、企業ごとに適用範囲の細かな規定が設けられています。

家族向け乗車証など福利厚生としての側面

民間鉄道会社においては、社員本人以外にも乗車証が発行されていることがあります。

一部の鉄道会社では、福利厚生の一環として利用範囲や条件を定めたうえで、社員の家族向けの乗車証や、学校に通う子どものために通学用乗車証を支給しています。家族が頻繁に鉄道を利用していたり、子どもが沿線で鉄道を使って通学しているような社員にとっては大きな魅力に感じる制度で、鉄道サービスを提供する企業ならではの福利厚生といえます。

公営地下鉄・第三セクターにおける運用

一方で、すべての鉄道会社の社員が乗車証を自由に利用できるわけではありません。特に行政が運営に関わる公営地下鉄や、自治体が出資している第三セクターの鉄道会社など、一部の事業者では乗車証の運用について厳格なルールが徹底されています。

こうした鉄道会社では、乗車証は業務上の利用などに限定されています。公営地下鉄などの事業者では、日々の通勤については乗車証を使用することはできず、別途支給される通勤手当を利用して、一般の利用者と全く同じように定期券を購入しなければなりません。

また、過去には、一部の交通局で職務乗車証を通勤などの福利厚生目的で職員に配布していたことが、不当な利益供与にあたるとして指摘を受けたことがあります。この時の監査結果では、経費の返還請求自体は棄却されたものの、制度のあり方について厳しい意見が付され、最終的に運用方法の抜本的な見直しや厳格化が図られました。

行政が運営に関わる鉄道でのこうした厳しい乗車証のルールは、市民や監査機関の目から見ても妥当であるかが重視された結果だといえるでしょう。このように、同じ鉄道会社であっても、会社によって乗車証の扱いには違いがあります。

人材確保の「ウリ」としての社員乗車制度

会社によって制度やルールは異なりますが、鉄道を自由に利用できることを魅力に感じる人は少なくないのではないでしょうか。

乗車証制度は、本来の業務利用の延長線上にあるものですが、自社沿線に住む社員にとっては福利厚生の一つとして機能しています。近年、あらゆる業界で人手不足が叫ばれ、人材獲得競争が激しくなる中、こうした制度を求職者向けの大きな「ウリ」として積極的にアピールする企業も少なくありません。

鉄道沿線での生活を考えている方や、これから鉄道会社への入社を志す求職者の方は、企業研究の一環として、各社がどのような乗車制度を設けているのか、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。


参考:
職務乗車証について(西日本旅客鉄道労働組合)
東京急行電鉄株式会社に対する業務監査の実施結果(国土交通省)
交通局の局職員等に対する職務乗車証等の作成・配付は利益供与であり当該行為に伴う経費の支出を違法・不当としてその返還を求める住民監査請求監査結果(東京都監査事務局)


ライター:福本明文
大学卒業後、鉄道会社に総合職として入社し、同業界に15年以上従事。鉄道部門だけでなく、タクシーやバス、小売りといった関連事業にも幅広く携わる。現在はWebライターとしても、広報を担当した経験を活かし、コラム記事の執筆からSNSへのコンテンツ提供まで多岐にわたって活動中。


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