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「バン!」夏の高速道路で突然の破裂音…「タイヤの溝はあるから」と過信した40代男性の後悔

  • 2026.8.5
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「タイヤの溝はまだ残っているから大丈夫」

そう思って、夏休みの帰省や旅行前の点検を省略していませんか?

タイヤは、溝の深さだけで安全性を判断できるものではありません。空気圧不足や経年劣化、ひび割れなどが重なった状態で、猛暑のなか高速道路を長時間走行すると、タイヤに大きな負荷がかかります。

今回は、以前私が自動車関連の仕事をしていたときに修理で関わったお客様、Aさん(40代男性)のケースをご紹介します。Aさんは家族との夏休み旅行中、高速道路で突然タイヤがバースト。旅行そのものが中止になってしまいました。

「溝は残っているから大丈夫」と旅行前の点検を省略

ある夏、Aさんは家族で遠方へ旅行する予定がありました。車には家族4人分の荷物を積み込み、早朝から高速道路を使って目的地へ向かう計画だったそうです。普段から大切に車を使っていたAさんですが、旅行を前にしても、特別な点検は行いませんでした。

「タイヤの溝はまだ残っていますし、普段の運転でも特に問題はありませんでしたから。今回も大丈夫だと思っていました」

Aさんがそう考えてしまったのも、無理のないことかもしれません。タイヤの溝がしっかり残っていれば、まだ十分使えるように感じるものです。

しかし、タイヤの安全性は溝の深さだけで決まるわけではありません。空気圧が適正か、ゴムが経年劣化していないか、ひび割れが発生していないかなど、さまざまな要素を確認する必要があります。Aさんの車は、旅行当日には大人4人が乗車し、さらにトランクには家族分の荷物が満載。ところが、タイヤの空気圧は適正値より低い状態になっていました。

猛暑の高速道路で突然「バン!」という音が

出発後しばらくは何事もなく走行していたAさん。しかし、高速道路をしばらく走ったところで、突然「バン!」という大きな音が響きました。

「何かにぶつかったのかと思いました。でも、車が急にガタガタと振動し始めて」

Aさんが車を安全な場所へ移動させて確認すると、タイヤは大きく損傷。いわゆるバーストを起こしており、そのまま走行できる状態ではありませんでした。夏の猛暑のなか、高速道路を連続走行すると、タイヤ内部の温度は上昇しやすくなります。そこへ空気圧不足や多くの荷物を積んだ状態での走行が重なると、タイヤにかかる負担はさらに大きくなります。

特に空気圧が不足したタイヤは、走行中にタイヤの側面がたわみやすくなります。その結果、タイヤ内部が発熱し、劣化した部分などにダメージが集中して、最悪の場合はバーストにつながることがあります。Aさんはロードサービスに連絡し、レッカー搬送を依頼することになりました。

「家族には申し訳ないし、旅行も全部キャンセルです。まさかタイヤでこんなことになるとは思いませんでした」

さらに確認すると、バーストしたタイヤだけでなく、ホイールにも損傷が発生していました。バーストの状況や車両の状態によっては、衝撃によって足回りやボディにまでダメージが及び、タイヤ交換だけでは修理が終わらないケースもあります。

「溝がある」だけでは不十分!出発前に確認したいポイント

タイヤの安全性を確認するとき、まずチェックしたいのが空気圧です。空気圧は自然に少しずつ低下するため、前回調整した時期が分からない場合は、旅行前に確認しておきましょう。特に夏休みの帰省や旅行では、普段より多くの荷物を積むことがあります。車両の指定空気圧を確認し、荷物を積んだ状態に適した空気圧になっているか確認することが大切です。

また、タイヤの側面や溝にひび割れがないか、異物が刺さっていないかもチェックしてください。溝が十分に残っていても、長期間使用したタイヤはゴムが経年劣化している可能性があります。「溝があるから大丈夫」ではなく、空気圧・ひび割れ・製造からの年数・タイヤ全体の状態を総合的に確認することが重要です。

旅行や帰省の前には、ガソリンスタンドなどで空気圧を点検してもらうのもよいでしょう。点検自体は短時間で済むことが多く、出発前にタイヤの状態を確認することで、トラブルを防ぐきっかけになります。高速道路では一般道よりもタイヤへの負荷が大きく、猛暑の時期はさらに過酷な条件が重なります。もし走行中に異常な振動や音を感じた場合は、無理に走り続けず、安全な場所へ移動してロードサービスを利用しましょう。

Aさんの場合、結果的に旅行は中止となり、タイヤ交換だけでなくホイールの修理も必要になりました。

「出発前に空気圧まで確認しておけばよかったです。溝しか見ていなかったのが失敗でした」

夏の旅行を楽しい思い出にするためにも、出発前のわずかな点検を「溝が残っているから大丈夫」と省略しないこと。タイヤは、溝だけでは分からない危険が潜んでいることを覚えておきたいところです。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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