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25年前、超アイドル3人で刻まれた「チュッ!」 エモすぎて可愛すぎる伝説の夏シャッフルユニット

  • 2026.7.25
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三人祭のメンバーのひとり、石川梨華。写真は映画『17才旅立ちのふたり』『青春ばかちん料理塾』完成試写会より-2003年7月撮影(C)SANKEI

アイドルの歴史には、ときどき豪気すぎる企画が残っている。グループの垣根をいったん取り払い、総勢20人をバラして3つのユニットに組み直し、同じ日にシングルを3枚出す。ハロー!プロジェクトが仕掛けた、夏のシャッフルユニットだ。

そのなかでいちばん人数が少ない3人組が、いちばん浮かれた曲名を背負っていた。

三人祭『チュッ!夏パ〜ティ』(作詞・作曲:つんく♂)ーー2001年7月4日発売

タイトルからして、もう全開だ。「チュッ!」と弾けて、「パ〜ティ」と波打つ。夏休み前の教室のそわそわを、そのまま看板にしたような一曲だ。

発売日前の相談から始まっていた祝祭

2001年の夏、ハロプロは前年に続くシャッフルユニット企画の第2弾を打ち上げた。モーニング娘。やカントリー娘。、メロン記念日などからメンバー計20人を集め、3人・7人・10人の3組に再編成する。

そして三人祭『チュッ!夏パ〜ティ』、7人祭『サマーれげぇ!レインボー』、10人祭『ダンシング!夏祭り』が、同じ日にCDショップの棚へ並んだ。

いま思い返しても、このお祭り感は規格外だ。ふだんは別々で活動する顔ぶれが「夏だけのユニット」を組む。しかも3組そろって、名前に「祭」の字が入っている。れげぇで揺れるか、夏祭りで踊るか、パーティーで騒ぐか。夏のはしゃぎ方を3方向から用意して、どうぞお好きなものをという大盤振る舞いだった。

当時、教室の話題の中心にはいつもハロプロがいた。新メンバーは誰か、次の曲はどんな曲か。その熱の高さを知っていれば、20人シャッフルという企画がどれだけ大きな事件だったかは説明がいらない。

どれを買うか、友達とどう手分けするか。発売日の前から、その相談自体が楽しかった。企画そのものがひと夏のイベントとして設計されていたところに、当時のハロプロの勢いを感じる。

人気者を選び抜いた夏限定の贅沢

三人祭のメンバーは、モーニング娘。の石川梨華と加護亜依、そしてソロの松浦亜弥。この組み合わせの妙がユニットの豪華さの正体だ。

まっすぐな笑顔の石川、天真爛漫を絵に描いたような加護、ソロで堂々と歌える松浦。タイプの違う人気者を3人だけ選び抜いて、夏限定のユニットにする。この並びを眺めるだけで、シャッフルという企画の贅沢さがわかる。

シャッフルの面白さは、ふだん見られない組み合わせの化学変化にある。同じモーニング娘。にいても石川と加護はキャラクターの持ち場が違うし、そこにソロの松浦が横に並ぶ光景は、この企画がなければ生まれなかった。3人が同じ衣装で同じ曲をやる。その画そのものが、あの夏だけのご褒美だった。

そして3人という最少人数は、ごまかしの利かない人数でもある。ひとりひとりの声と表情が、ずっと画面の真ん中にいる。それぞれのファンにとって「うちの子が主役の夏」になる編成だった。

耳より先に目から夏が届く

この曲の記憶と切り離せないのが、キュートで華やかなビジュアルだ。夏らしい衣装をまとった3人が並ぶだけで、画面の温度が2度くらい上がる。耳から届く前に、目から先に夏が届く。そういう作りになっていた。

テレビからは印象的なミュージックビデオが繰り返し流れてきた。ふだんCDショップに足を運ばない層の目にも、この夏色の3人はしっかり届いていた。レコード店で手に取るかどうかに関係なく、テレビの前で覚えて、口ずさんで、真似をする。そういう届き方をした曲だった。

大人の音楽ファンに向けた気取りは、ここにはひとつもない。テレビの前の視聴者から当時からのファンまで、見た人を等しく浮かれさせる。ビジュアルまで含めて曲の一部という設計の徹底ぶりを、あの画面に感じる。

全力の能天気を照れずに通す職人芸

作詞・作曲はつんく♂。編曲は、ハロプロ楽曲を数多く手がける高橋諭一だ。この曲のにぎやかさを土台で支えているのは、高橋のアレンジの仕事だ。

この曲のいちばん素晴らしいところは、能天気であることに少しも照れていない点にある。恋の駆け引きも、夏の終わりの切なさも、ほとんど混ぜない。「夏は楽しい」をど真ん中に置いて、最初から最後まで騒ぎ切る。

簡単そうに見えて、これがいちばん難しい。全力の能天気は、作り手が一瞬でも照れたら嘘になるからだ。ハロプロに膨大な数の曲を書いてきたつんく♂が、夏限定のユニットには夏限定の振り切り方があると知り抜いていて、その割り切りを最後まで通した。ここに作家としての凄みを感じる。

タイトルの言葉選びにも、つんく♂の職人ぶりが出ている。「チュッ!」という破裂音の可愛さ、「パ〜ティ」と波打つ表記の間の抜けた愛嬌。意味より先に、口に出したときの気持ちよさで言葉を決めているように映る。曲を聴く前から、タイトルの字面だけで曲調の予告が済んでいる。

そこに、3人のはじけた声が乗る。歌のうまさを競うのではなく、楽しさの温度を競う。パーティーソングの本領は、聴き手を客席に置かないことにある。この曲は最初のひと声から、こちらを輪の真ん中へ引っ張り込む。観賞用ではなく、参加型の音楽だ。

そして夏限定のユニットが歌う夏の曲は、その夏と運命共同体になる。だからこの曲は古びない。夏が来るたびに現役へ戻ってきて、また輪の中へ誘ってくる。

はしゃぎ方ごと保存されたひと夏

大人になると、夏は「暑い」の一言で片付きがちだ。予定を立てるのも億劫で、はしゃぐのには体力がいる。

でも『チュッ!夏パ〜ティ』を聴くと、夏休み初日の朝の気分が体のどこかから戻ってくるのを感じる。理屈はいらない。「チュッ!」のひと言で夏が始まる、くらいの単純さでいい。

20人をシャッフルしてまで夏を祝った企画と、まっすぐ騒ぎ切った3人の声。あの夏のはしゃぎ方は、この曲のなかにそのまま保存されている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

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