1. トップ
  2. エンタメ
  3. 男を選ぶ条件は「健康、お金、仕事」20年前、人気グラドルが語った“シビアすぎる本音” 直木賞作家と小説を書いた素顔

男を選ぶ条件は「健康、お金、仕事」20年前、人気グラドルが語った“シビアすぎる本音” 直木賞作家と小説を書いた素顔

  • 2026.10.3
undefined
2006年9月、男性誌「KING」創刊記者会見に出席した佐藤江梨子(C)SANKEI

20年前の2006年9月、都内で行われた講談社の雑誌『KING』の創刊記者会見。20代から30代前半の男性に向けて、男性のカッコいい生き方を伝えると標榜したこの月刊誌の門出に、当時24歳の佐藤江梨子の姿があった。

彼女が招かれた役回りは、読者の文章を選ぶ側だ。誌上の投稿企画『キング文章王』の選定者として、リリー・フランキー、吉田豪、銀杏BOYZの峯田和伸、そして児玉清といった、あまりに濃厚で多彩な面々のなかに名を連ねていた。

会見で「この企画で天才を見つけ出して、ぜひ結婚したい」と気合十分にぶち上げてみせた佐藤だったが、司会から“オトコを選ぶ三か条”を問われると、口をついて出たのは「健康、お金、仕事」という極めてシビアな現実だった。これにはリリー・フランキーも、雑誌のテレビCMでロック調の曲を歌うつんく♂も、「現実的だなぁ~」と苦笑いするしかない。

文章の天才というロマンを語った直後に、健康とお金と仕事という生活の生々しい三拍子を差し出す。夢と現実、奔放さと冷静さが、ひとつの会見の受け答えに同居している。そして何より、そのどちらもが嘘のない本音として響く。

書く人として選考の席に座る

『キング文章王』は、年齢や性別はもちろん、文章の形式すら問わない投稿企画だった。投稿者が自分の原稿を読んでほしい選定者を指名できる、ユニークな制度もあった。本業の物書きや表現者たちが並ぶなか、佐藤もまた“指名される側”に座っていた。

彼女をこの席に引き入れたのはリリー・フランキーだ。当時、グラビアやドラマで人気を集めていた佐藤だが、自身でも言葉を紡ぐ書き手であり、その才能を認めていたのがリリーだった。

実際、彼女はその3年前、2003年9月に処女作となる詩&エッセー集『気遣い喫茶』を上梓している。約1年かけて書きためた62編を収めた一冊だ。

発売記念サイン会では、自分のペースと視野で表現できるのがすごく楽しいから、書く仕事はこれからも続けたいと語った。賞への欲は見せず、「賞もいいけどそれ以前にもっと勉強して書きたい」と控えめに、けれどはっきり口にしている。好きな作家として挙げたのは、安部公房。世間が抱く華やかなサトエリのイメージの裏側で、彼女は確実に言葉の世界に根を張っていた。

怒涛の夏と散文詩のようなブログの始まり

会見が行われた2006年の秋、佐藤はまさに表現者として疾走していた。その夏は、NHK土曜ドラマ『新・人間交差点』、日本テレビ系の連ドラ『CAとお呼びっ!』、さらに吉田大八監督の主演映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の撮影が怒涛のごとく重なった。夏休みは取れなかったと、会見の翌週のブログに書いている。

会見のわずか2日後には『CAとお呼びっ!』の最終回と打ち上げが控えているという、息つく暇もないスケジュールの中に彼女はいた。

会見の翌日、『KING』の創刊日に、佐藤の公式ブログ「SATOERI TIMES」が産声をあげる。

最初の更新こそ、ブログが始まるのでよろしくという短い挨拶のみだったが、1週間も経つと、その文面は単なるタレント日記の枠を飛び越え、繊細な散文詩の様相を帯び始める。

秋の空に呼び止められ、今日の私はかわいくないかと空に聞かれて、しぶしぶ携帯のカメラを向ける。そんな詩的な筆致で撮影続きだった夏をさらりと振り返っていた。

10月にはNHK BSの『週刊ブックレビュー』に出演。人と同じ本を読んで読書の話をするのは高校生以来かもしれない、めちゃめちゃ楽しかったとブログに書き、本を読むことは一生続けていきたい習慣の一つだと綴っている。

リレー小説とヨコハマ映画祭の栄冠

翌2007年には、佐藤は『KING』の誌面に自らの連載ページを持っていた。原稿を選ぶ側として会見に臨んだ雑誌に、今度は自分のページを構えたのだ。9月に出た号では、スクール水着姿で古川日出男の本を読むという、彼女にしか成立させ得ない強烈な誌面を披露し、ブログで読者にアピールした。

それに先立つ同年7月には、恋愛小説誌『Feel Love』創刊号において、石田衣良、唯川恵という錚々たる直木賞作家とのリレー小説『トロワ』をスタートさせる。3人がそれぞれ登場人物を受け持つなか、佐藤が筆を執ったのは歌手志望の女性・エリカだった。

そして同じ月、あの過酷を極めた夏に撮影された主演映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』が劇場公開される。女優を目指して上京したわがままな姉・和合澄伽を演じた佐藤は、第29回ヨコハマ映画祭で主演女優賞を受賞した。

雑誌の創刊から20年を経て

2026年春、佐藤はテレビ朝日のドラマ『ターミネーターと恋しちゃったら』に出演した。演じた役どころは、ヒロインと同期入社のファッション誌編集部員・富野美晴。出演発表時のコメントで彼女は「編集の方って個性的な人が多いと思うので、そこを誇張しながら演じています」と語っていた。

20年前、雑誌の創刊会見で読者の原稿を選ぶ側に座っていた彼女が、今度は画面の中で雑誌をつくる側を演じた。

天才と結婚したいと夢を語った直後に、男を選ぶ条件の最後に置いた「仕事」。あの眩しい2006年の秋、24歳だった佐藤江梨子にとって、その言葉の中には、カメラの前で演じることと同じくらい、言葉を読み、言葉を自らの手で紡ぐことへの強い自負が含まれていたのではないだろうか。


※記事は執筆時点の情報です

の記事をもっとみる

注目コンテンツ