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「あなたみたいなひよっこに」8歳年上の美女へ“がむしゃらに押した”実力派俳優。役の中と外で育てた夫婦観

  • 2026.8.1
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2010年11月、映画『ノルウェイの森』で取材に応じる松山ケンイチ(C)SANKEI

「あなたみたいなひよっこに」

俳優・松山ケンイチが、8歳年上の俳優・小雪との交際を望んだ際、返されたという言葉だ。映画『デスノート』のL役などですでに注目を集めていた松山だが、小雪は映画『ラスト サムライ』にも出演した先輩俳優。年齢だけでなく、積み重ねてきた経験にも差があった。

交際は、すんなりとは始まらなかった。それでも松山は、自分にとって大切で必要な相手だと思ったからこそ、「がむしゃらに押していました」と結婚会見で振り返っている。

二人が出会った映画と、松山が結婚後に演じたドラマの夫。その役柄をたどると、年の差を消すのではなく、違いを抱えたまま歩いてきた夫婦の姿が見えてくる。

初共演では信じてよいかを見極める

二人は2009年公開の映画『カムイ外伝』で初共演。松山が演じたのは、忍びの世界から逃げ、追っ手に命を狙われるカムイ。小雪が演じたスガルもまた、過去を隠して暮らす抜け忍だった。

ただし、二人は夫婦役ではない。スガルは漁師・半兵衛の妻であり、カムイは半兵衛に助けられ、その一家へ迎え入れられる立場だ。突然現れたカムイを、スガルは追っ手ではないかと疑い、簡単には心を許さない。恋人同士を演じたことから恋が始まったわけではなかった。むしろ二人が向き合ったのは、相手を信じてよいのかを慎重に見極める役柄だった。

過酷な撮影を共にするなか、松山は小雪のまっすぐで裏表がなく、ストレートに言葉を伝えるところに引かれていったという。その率直さは、松山へ向けられる言葉にも表れた。「ひよっこ」と言われ、交際もすんなりとは受け入れてもらえない。それでも松山は、相手に認められるように振る舞うのではなく、正面から向き合い続けた。

年齢よりも価値観の違いに驚いた

松山は結婚会見で、8歳という年齢差について、特に気にならなかったと話している。

一方、経験してきたことや価値観の違いには驚いたという。自分にないものを小雪が持ち、小雪にないものを自分が持っている。松山はその違いを、どちらかが我慢して埋めるものではなく、互いに補い合えるものとして受け止めていた。

松山の熱意の末に二人は交際を始め、2011年4月に結婚。当時、松山は26歳、小雪は34歳だった。松山は交際を申し込んだ時点から、結婚を前提に考えていたという。俳優としての尊敬だけではなく、生活を共にする相手として小雪を見ていたのだろう。

結婚会見で語られたのも、華やかな口説き文句ではない。大切な人だから、向き合った。必要な人だから、がむしゃらに押した。その不器用な言葉に、役柄によって外見も話し方も大きく変える一方、本人として語るときには飾らない松山らしさが表れていた。

結婚後に演じた妻の痛みへ近づく夫

結婚から約7年後の2018年、松山はフジテレビ系ドラマ『隣の家族は青く見える』で、深田恭子演じる妻・奈々と妊活に向き合う夫・五十嵐大器を演じた。

大器は妻を愛しているが、最初から理想的な夫ではない。少し無神経な言葉を口にし、奈々が抱える痛みを十分に理解できないこともある。それでも、分からないからと背を向けるのではなく、妻が何を感じているのかを知ろうとする。子どもを持つことだけを夫婦のゴールにせず、二人にとっての幸せを探していく人物だった。

当時の松山は、実生活ではすでに3人の子どもの父親だった。そのため、子どもを望みながら授からない夫婦を、自分の経験だけで分かったつもりにはなれなかったという。松山は、自分が持つ“家族のいる感覚”と、当時独身だった深田の感覚を足して割ることで、大器と奈々をつくろうとした。意見が違えば話し合い、自分とは異なる感覚も役へ取り入れる。その姿勢は、小雪との結婚生活にも通じて見える。

“理想の夫”ではないから夫婦は続いていく

松山は夫婦のバランスについて、片方が落ち込んでいたら、もう片方が楽しい方向へ連れていくという趣旨の考えを語ったことがある。どちらか一方が常に支えるのではない。状況によって役割が入れ替わりながら、二人でバランスを取っていく。

もっとも、実生活はドラマのように美しい場面だけでは続かない。2026年、小雪はテレビ番組で、松山が家事を「ほとんど」しないと笑いを交えて明かし、「ゴミは生きていたら必ず出ます」と現実的な要望も口にした。“がむしゃらに押した”末に結婚したからといって、自動的に理想の夫になれるわけではない。家事の分担に不満も出れば、価値観の違いも何度となく現れる。

だからこそ、二人の歩みは単純な年の差婚の美談では終わらない。結婚後は3人の子どもを育て、東京と自然に近い場所を行き来する暮らしも選んできた。互いに俳優として仕事を続けながら、それぞれの時間と家族の生活を調整してきたのである。

『カムイ外伝』で出会った二人は、夫婦役ではなかった。しかし、その作品で演じたのは、簡単には相手を信じられない状況でも、同じ危機へ立ち向かう者たちだった。『隣の家族は青く見える』で松山が演じたのは、妻の気持ちを完全には理解できなくても、その隣に立とうとする夫だった。そして役の外では、8歳の年齢差も、異なる価値観も消えないまま、夫婦として15年を重ねている。

年の差を乗り越えたから続いたのではない。違いが現れるたび、相手へ向き直ってきた。その繰り返しこそが、松山ケンイチと小雪の夫婦道なのかもしれない。


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