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48歳で18歳下モデルと結婚した国際派スター。妻と同じドラマに名を連ねる結婚のかたち

  • 2026.7.20
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2017年4月、日産自動車「スカイライン」誕生60周年記念イベントに出席した浅野忠信(C)SANKEI

結婚という言葉を聞いて思い浮かべる風景は、人によってまるで違う。壊れていく関係を思う人もいれば、失って初めて気づく絆を思う人もいる。

浅野忠信というひとりの俳優のフィルモグラフィーには、その違いがそのまま刻まれている。彼はスクリーンの上で、何度も夫になってきた。しかも、そのたびに別の顔をした夫である。この俳優が生きてきた結婚のかたちを、順にたどってみたい。

支えられながら壊れていく夫から始まる

最初に語りたいのは『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』(2009年)である。浅野が演じたのは、借金と浮気を重ねる小説家・大谷。夫を支える妻・佐知との、破綻寸前の夫婦の物語だ。

この役の奇妙さは、支えられることと壊れることが同時に進む点にある。妻が支えれば支えるほど、大谷という男の駄目さは輪郭を濃くしていく。愛される資格を、自分の手で少しずつ手放していくような夫である。この作品を含む演技で、浅野は2010年、第33回日本アカデミー賞優秀主演男優賞に選ばれた。

死者となって妻のもとへ帰る

『岸辺の旅』(2015年)で演じた優介は、3年間失踪した末に、死者として妻のもとへ帰ってくる夫だ。深津絵里との夫婦役で、ふたりは失われた時間をたどる旅に出る。

破綻の正反対に置かれているのが、この物語だろう。もう取り返しがつかないはずの関係が、旅というかたちでほどかれ、結び直されていく。生きているあいだに確かめられなかったものを、死んでからようやく夫婦でたどり直すのである。

作品は2015年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で黒沢清監督が監督賞を受け、浅野自身も同作で2016年のアジア・フィルム・アワード助演男優賞と日本映画批評家大賞主演男優賞を得ている。壊れる夫を演じた俳優が、今度は終わったあとに続く夫婦を演じた。この振れ幅が、すでにただごとではない。

再婚家族の食卓に座り続ける

『幼な子われらに生まれ』(2017年)で演じた信は、離婚を経て、連れ子のいる女性と再婚した男だ。離婚、再婚、連れ子、妊娠。複数の事情が折り重なる家族のなかで、夫であり続けることの難しさが描かれる。

ここでの結婚は、破綻でも喪失でもなく、再出発である。ただしその再出発は、まっさらな地面からは始まらない。過去を抱えた者同士が同じ食卓につき、それでも家族をやろうとする。

『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』の大谷のように壊れず、『岸辺の旅』の優介のように失わず、それでも簡単にはうまくいかない。三つ目の顔は、いちばん地味で、いちばん粘り強い。

恋も裏切りも同じフレームに収まる

そして『レイブンズ』(2025年)である。浅野が演じたのは写真家・深瀬昌久。妻でありミューズである洋子との、恋、結婚、創作、裏切り、修羅場、別離、そして写真集の誕生までが絡み合う物語だ。

この夫婦において、結婚と創作は切り分けられない。愛することが撮ることであり、撮ることが関係を軋ませもする。四つの顔のうち、もっとも複雑な結婚がここにある。浅野は深瀬役について「僕が経験してきたことが全て活かせた役」と語った。

同じ物語のなかに、ふたりの名前がある

浅野忠信と結婚という点で1つ忘れてはならない作品がある。日本テレビ系ドラマ『ブラッシュアップライフ』(2023年)だ。

浅野は私生活では、2022年8月に俳優・モデルの中田クルミと結婚した。当時、浅野は48歳、中田は30歳。その中田は、このドラマに主人公が通う保育園の保育士・洋子先生役として登場。一方、浅野は主人公が人生5周目となる終盤に、重要な役どころ「謎の男」役で登場した。出演した回は重なっていないが、夫婦が同じドラマに出演したというのは、なかなか見逃せない。

数々の夫を演じてきた俳優と、その妻が、同じひとつの物語の登場人物として記録されている。番組の公式サイトにある相関図では心なしか近い位置に配置されているのも、スタッフたちの遊び心なのかと思えてしまう。

次はどんな夫としてスクリーンに立つのか

振り返れば、浅野忠信が演じてきた夫にはいくつもの顔があった。支えられながら壊れていく夫。死者となって妻と旅をする夫。再婚家族のなかで踏みとどまる夫。創作と結婚が溶け合った夫。同じ言葉の下に、これだけ違う人間を立ち上げてきたこと自体が、この俳優の幅を物語っている。

私生活の結婚が役を変えたのかどうか、それは誰にもわからない。確かなのはただひとつ。次に浅野忠信がどんな夫をスクリーンで生きるのか、それが楽しみだということだ。


※記事は執筆時点の情報です

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