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彼女の手をいつも写真から消していた僕。よかれと思って続けたことが、彼女を一番傷つけていた

  • 2026.6.18
ハウコレ

彼女が傷ついていることに、僕はずっと気づいていませんでした。彼女のためを思って続けていた習慣が、いちばん伝えたくなかった誤解を、彼女に与えていたのです。

撮ったばかりの二人の写真を開いて、いつものように指先で写真の端を調整しました。彼女の手が写り込んだ部分を、枠の外へ追いやるためです。深い意味はない。自分では、ずっとそう思っていました。

彼女が手を隠す理由

僕は彼女とのデートのたびに、二人の写真をSNSに投稿しています。一緒に過ごした時間を残しておきたかったし、誰かに見てもらえるのも嬉しかったのです。

ただ、付き合い始めた頃から、ひとつ気になっていたことがありました。写真を撮ろうとすると、彼女はいつも手を引っ込めて、指先を隠すような仕草をするのです。あるとき彼女が、ふとこぼしました。

「私、爪きれいじゃないから」

そのひとことで、彼女が自分の手を気にしているのだと、僕はようやく気づきました。

よかれと思っての習慣

それからの僕は、投稿する写真を選ぶとき、彼女の手が目立つものを避けるようになりました。どうしても写り込んでいるときは、その部分を切り取ってから載せていたのです。

彼女は写真を投稿されるのを喜んでくれていました。だから投稿はやめたくない。でも、彼女が気にしている手を、わざわざ人目にさらす必要もない。そう考えた末の方法でした。

気にしていることには触れないほうが、彼女のためになる。僕はそう信じて疑いませんでした。困りごとを口に出さず、自分の中で片づけてしまうのは、昔からの僕の癖だったのかもしれません。

「なんとなく」と答えた瞬間

ある日、彼女が投稿された写真を見せながら、僕に聞いてきました。

「どうしていつも私の手だけ切れてるの?」

本当のことを言うべきだと、頭ではわかっていました。でも、君が爪を気にしているのを知っていたから、と伝えれば、彼女が恥ずかしく思っていることを、僕が認めることになってしまいます。それだけは避けたくて、僕は一瞬、目をそらしました。そして口から出たのは、別の言葉でした。

「ああ、それは、なんとなくだよ」

その瞬間、彼女の表情がくもったのが見えました。違う、そうじゃないんだ。心の中でそう繰り返しながら、僕はただ、手元の画面を閉じました。

そして...

あの「なんとなく」のひとことが、どれだけ彼女を傷つけたのか。あとになって、ようやく想像が及びました。僕が手を消していたのは、彼女がきらいだからではありません。むしろ逆で、彼女が気にしていることを、守ったつもりでいたのです。

でも、黙って気をつかうことは、ときに相手を置き去りにします。よかれと思って僕が続けたことは、彼女に、恥じられていると思わせるばかりでした。

今度は、自分の口で伝えようと思います。あの手も全部、僕は好きなんだと。黙って守るより、ちゃんと言葉にすることのほうが、ずっと難しくて、ずっと大事なのだと、ようやく気づいたのです。

次に二人で写真を撮るときは、その手ごと、僕は残しておきたいと思います。

(20代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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