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「株価は絶好調」ニュースを見て“1,750万円”を株式に投入→数週間、50代男性を襲った事態に“血の気が引いたワケ”【FPは見た】

  • 2026.8.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

「あのとき、なぜあんなに焦ってしまったんでしょうね」そう力なく笑うのは、会社員のAさん(54歳・男性)。半年前、コツコツ貯めてきた資産の大半を、一気に株式へ投じてしまったといいます。

きっかけは、連日の「株価は絶好調」というニュースと、SNSで流れてくる「資産が増えた」という景気のいい投稿でした。

「絶好調だから買う」が、いちばん危ない

株価が絶好調だと連日報じられている中、自分だけ株を持っていないと、「このままでいいのかな」と焦ってしまいますよね。その気持ち、とてもよくわかります。筆者も「株を買おうかな~」と思っていたのに、様子を見ていたら上がってしまって乗り遅れた、という悔しい経験があるのでAさんの気持ちはよくわかります。

Aさんはもともと、堅実なタイプでした。総資産2,500万円(退職金の一部を含む)のうち預金をメインとし、投資は全体の2割にあたる500万円ほど。50代に入り、「老後資金を減らすわけにはいかない」と慎重に構えていたはずでした。

ところが相場の高揚感が、その慎重さを溶かしていきます。気づけば、資産の約7割にあたる1,750万円を株式へ。「みんな儲かっているのに、自分だけ取り残されたくない」という気持ちが、判断を曇らせていたのです。

この「取り残される不安」は、投資の世界でFOMO(フォーモ/Fear of Missing Out)と呼ばれます。これがやっかいなのは、冷静なときなら絶対に取らないリスクを、平気で取らせてしまう点です。Aさんも後から「自分の年齢や性格を、あのときだけ完全に忘れていた」と振り返っています。

直後に来た「調整」で、血の気が引いた

ところが、投資から数週間。相場は一転して下落に転じました。いわゆる「調整」です。高く買い進められた相場の後には、利益を確定する売りが出て価格が下がる。これは決して珍しいことではなく、むしろ自然な動きです。

しかしAさんにとっては、初めて経験する大幅な下落でした。「画面の数字が、見るたびに減っていく。1日で30万円、40万円と消えていくこともありました」。夜も眠れなくなり、ついには「これ以上耐えられない」と、底値に近いところで大半を売却してしまったのです。結果、わずか数週間で約400万円という決して小さくない損失が確定しました。

ここでの問題は、下落そのものではありません。自分のリスク許容度を超えた金額を持っていたために、下落に耐えられず狼狽(ろうばい)売りをしてしまったことです。もし投資が資産の2割のままなら、Aさんは慌てずに持ち続けられたかもしれません。

「リスク許容度」を自分の言葉で決めておく

リスク許容度とは、ひと言でいえば「どれくらいの値動きまでなら、冷静でいられるか」の度合いです。これは年齢、資産の状況、家族構成、そして性格によって、人それぞれ違います。

そもそも、なぜ私たちは焦って買ってしまうのでしょうか。その背景には、じっくり論理で考えるより、その場の勢いで直感的に決めてしまう心のクセが関係しています。こうした思考のショートカットは「ヒューリスティック」と呼ばれ、「みんなが買っているのだから、自分も買わなきゃ」と反射的に思わせてしまうのです。けれど、よく考えてみてください。たとえ株を持っていない間に相場が上がったとしても、無理をして後を追いかける必要は、本当はどこにもないのです。

特に50代は、現役で稼げる期間が残り少なくなり、損を取り返す時間も限られてきます。だからこそ、若い世代と同じ感覚で大きなリスクを取るのは危険です。ニュースやSNSが「絶好調」と騒いでいるときこそ、いったん立ち止まり、「もしこれが3割下がっても、自分は平気でいられるか」と自問してほしいのです。

投資で大切なのは、相場の温度ではなく、自分の軸です。市場が熱狂しているときほど、その熱に飲まれず、あらかじめ決めた配分を淡々と守る。これが、結果的に資産を守ることにつながります。

まとめ

「乗り遅れたくない」という気持ちは、誰にでも芽生えるものです。けれど、その焦りに従って買ったものは、本当に投資の成果でしょうか。

Aさんの場合、買っていたのは株そのものというより、「自分も波に乗れている」という安心感だったのかもしれません。そして安心感を買うために払った代償は、決して安くありませんでした。

ニュースが「今が絶好調」と告げるとき。それは「買い時」のサインであると同時に、「冷静さを試される時」でもあるのです。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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