1. トップ
  2. カルチャー・教養
  3. 愛に溢れる絵画とデッサン。オルセー美術館でふたつの『ルノワール展』。

愛に溢れる絵画とデッサン。オルセー美術館でふたつの『ルノワール展』。

  • 2026.6.12

1986年に開館したオルセー美術館が40周年の記念展に選んだ印象派の画家は、オーギュスト・ルノワール(1841~1919年)。彼のキャリアの初期である1865年から1885年の20年間に制作した色彩と喜びにあふれる絵画を集めて、『Renoir et l’amour(ルノワールと愛情)』と題した展覧会を7月19日まで開催中だ。

Auguste Renoir『自画像』(1875年ごろ)。34歳のオーギュスト・ルノワール。photography: Mariko Omura
有名な『Bal du Moulin de la Galette(ムーラン・ド・ラ・ギャレット)』(1876年)の展示は、モデルとなった人々の紹介や当時のモンマルトルの様子などを読みながら鑑賞できる。photography: Mariko Omura

60点近く展示されている絵画は、肖像画や風景画ではなく当時の人々の日常生活の情景である。彼は喜びに溢れるシーンを好んで描き、作品の中で大勢が生き生きとした表情を見せている。マネやモネたちと共に、ボードレールが呼ぶところの“近代生活の画家”の一人であるルノワール。タイトルにある愛は、友情であり、男女間であり、また家族の愛でもある。それらはボヘミアンな暮らし、自由なカップル、屋外のパーティ、街の出会い、田舎の遊び……と、その時代を物語るテーマの中に見出せる。これまでとは異なる視点で、ルノワールの作品を集めた展覧会だ。代表作のひとつでオルセー美術館が所蔵する傑作『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』はもちろんだがストックホルム国立美術館の『La Grenouillère(ラ・グルヌイエール)』(1869年)、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの『Les parapluies(雨傘)』(1881年)、ロサンゼルスのポール・ゲティ美術館の『La promenade(散歩)』(1870年)、さらにワシントンのフィリップス・コレクションの『Le déjeuner des canotiers(舟遊びをする人々の昼食)』(1880~81年)など世界各地からの作品の愛がこのテーマのもと一堂に会し、ルノワール再発見の貴重な機会となっている。

左:『舟遊びをする人々の昼食』(1880〜81年)。この作品についてもモデルなどが紹介されている。 右:大勢の食事らしく少し散らかった食卓や犬の存在が食事の喜びや活気を与えている。ルノワールの優しい視線で描かれた犬は多くの作品に登場。photography: Mariko Omura
『昼食後』(1879年)。こちらは食後のコーヒーと葉巻の時間だ。photography: Mariko Omura
『田舎のダンス』(1883年)。画面を占める踊る男女にまず目が奪われる。そして女性が持つ扇子へと。これはルノワールが扇子職人だったことを思い出させるディテールだ。よく見るとダンスの直前まで二人が食事をしていたと思わせる食卓が右奥に、左脇には階下の食事客が描かれてストーリーを感じさせる。photography: Mariko Omura
『ポール・デュラン=リュエルの娘たち(マリー・テレーズとジャンヌ)』(1882年)。素朴な花束が作品に優しさを添えている。photography: Mariko Omura
『雨傘』(1881〜86年)。仕立て屋の息子だったルノワール。女性の衣類、帽子、靴などにも関心あったのだろうか、ディテールが美しい。photography: Mariko Omura

もうひとつの会場で開催されている『Renoir dessinateur(ドローイング画家ルノワール)』は、タイトルの通りルノワールのデッサン展である。100点近い展示の中には初公開の作品も少なくない。こちらも併せて鑑賞を。

photography: ⒸMusée d’Orsay Laetitia Striffling-Marcu
ルノワールによるデッサンがこれほどまとまって展示されるのは珍しい。photography: ⒸMusée d’Orsay Laetitia Striffling-Marcu
元記事で読む
の記事をもっとみる