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隣人「風で飛んだだけでしょ!」ベランダに溜めたゴミがうちに転がる。だが、台風前に届いた一枚の通告で状況が一変

  • 2026.6.12
隣人「風で飛んだだけでしょ!」ベランダに溜めたゴミがうちに転がる。だが、台風前に届いた一枚の通告で状況が一変

風の強い日に転がってくるもの

隣の部屋のベランダには、空のペットボトルがいつも山積みになっていた。

風の強い日になると、それがうちのベランダへ転がってくる。からん、と乾いた音がするたびに、外に出て拾うのが日課になっていた。

一度だけ、廊下で会ったときに思い切って声をかけた。

「すみません、うちにペットボトルが飛んでくるみたいで」

「風で飛んだだけでしょ!」

「こっちのせいにされても困るんだけど」

「いえ、責めてるわけじゃなくて……」

「飛ばないようにしてって言われても、無理なものは無理」

取りつく島もなかった。これ以上、直接やり合っても角が立つだけだ。

仕方なく、私は管理人さんに相談した。

「特定の方を名指しはできませんが、全体に注意は出しますね」

「お願いします。風の日が、本当にこわくて」

数日後、掲示板に「ベランダに物を置かないでください」という張り紙が出た。

けれど、隣のベランダのボトルは一向に減らない。風が吹くたび、うちには小さなストレスが転がり込んできた。

台風前に届いた一枚の通告

大型の台風が近づく、という予報が出た週。

私は飛んできたボトルを拾うたび、日付を入れて写真に撮りためていった。

何日に、何個。記録は淡々と積み上がっていく。

その写真をまとめて、管理会社に提出した。

「これだけ繰り返し飛んできています。台風で割れたら、下に人もいますし」

「記録、助かります。これなら個別にご連絡できます」

全体への注意では動かなかったので、今回は具体的な記録ごと渡したのだ。

数日後、管理会社が動いた。共用部分にあたるベランダの保管物は撤去の対象になる、という文書が、隣の部屋に個別に届けられたらしい。

台風の前日の夜だった。

壁の向こうから、かたかたと物を片付ける音が聞こえてきた。

あれだけ「無理」と言い張っていた人が、黙々とボトルを運んでいる。途中で手が止まり、長いため息が壁越しに伝わってきた。

そして、音は静かに止んだ。

「ねえ、あそこ、ずっと気になってたのよね」

翌朝、同じ階の住人が共用廊下で小声で言った。気にしていたのは、私だけではなかったらしい。

台風が過ぎた朝、うちのベランダには何も転がっていなかった。隣のベランダも、きれいに空になっている。廊下ですれ違った隣人は、ばつが悪そうに目を逸らし、小さく会釈だけして部屋へ消えた。からん、というあの音は、もう二度と聞こえなくなった。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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