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「これ、作りすぎたから食べて!」手作り品を押し付けてきた隣人→ゴミの日にピタリと止まった理由

  • 2026.6.12

玄関先で差し出されるタッパー

その隣人は、料理が好きで世話好きな人だった。問題は、その量が多すぎることだ。

「作りすぎたから」

玄関のチャイムが鳴るのは、たいてい夕方だった。そう言って手渡されるのは、和え物だったり、浅漬けだったりする。どれも火を通さずにそのまま食べるものばかりだ。

「いつもすみません、ありがとうございます」

笑顔で受け取りながら、私の心はいつも少しだけ重かった。誰がどんなふうに作ったのか分からない加熱しない食べ物を、正直、口に入れるのは怖い。けれど、すぐ隣に住む人だ。

「お口に合うといいんだけど」

「きっとおいしいです」

そう返すのが精一杯で、要らないとはとても言えなかった。受け取らなければ角が立つ。この先もずっと隣で暮らすのだから、と自分に言い聞かせていた。

捨てるたびに胸が痛んだ

結局、いただいた手作り品は、こっそりゴミの日に出すしかなかった。

封も開けないまま袋に入れる手が、毎回ためらう。

もらっておいて捨てるなんて、自分はなんてひどいことをしているんだろう。そう思うと、胸の奥がちくりと痛んだ。

「あの人、悪い人じゃないんだよね」

夫にそうこぼしたこともある。善意なのは分かっている。だからこそ断れず、捨てることでしか自分を守れない。

その後ろめたさが、ずっと喉の奥に引っかかっていた。

「正直に話せたら一番いいんだけどね」

そう言われても、あの笑顔を前にすると、衛生面が不安だなんて言葉は飲み込むしかなかった。

要らないと伝えて傷つけるくらいなら、黙って受け取って捨てるほうがましだと、その頃の私は思い込んでいた。

ある収集日を境に

転機は、思いがけない形で訪れた。

あるゴミ収集日のことだ。手作り品をくれていた隣人が、集積所の前で立ち尽くしていたという。

誰かが出したゴミ袋の口から、自分があげたものとよく似た料理が、手つかずのまま見えていたらしい。

誰の袋かは分からない。私のではなかった。

それでも、自分の作ったものが封も開けられずに捨てられている。その光景は、相当こたえたようだった。

それからだ。ぴたりと、あの夕方のチャイムが鳴らなくなったのは。

道で会えば、今までどおり笑顔で話してくれる。

「こんにちは、いいお天気ね」

「ほんとですね」

ただ、もう手作りのタッパーが差し出されることはなかった。

誰も傷つける言葉を言わずに、あの気まずいやり取りだけがそっと消えていた。ゴミの日に手を止めることも、もうない。玄関のチャイムにびくりとしなくなった夕方、私は久しぶりに肩の力が抜けていくのを感じていた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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