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【MEGUMI×賀来賢人 対談】プロデューサーとして世界に映画を発信すること

  • 2026.6.6
CHISATO HIKITA

海外の映画界では俳優がプロデューサーを兼ねたり、製作会社を立ち上げたりすることが当然の流れに変化しているなかで、日本の映像界でも俳優が作品に対して能動的に関わる動きが少しずつ増えてきている。映画『零落』('22年、プロデュース・出演)、Netflixリアリティシリーズ『ラヴ上等』('25年、企画・プロデュース)など話題作を世に送り出し、新作映画『FUJIKO』(企画・プロデュース・出演)が公開したMEGUMI。Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』('24年、原案・プロデュース・出演)の成功を経て、デイヴ・ボイル監督(『忍びの家~』監督・脚本)と共同設立した映像製作会社「SIGNAL181」の第一弾長編映画『Never After Dark/ネバーアフターダーク』(企画・プロデュース・出演)をお披露目したばかりの賀来賢人。世界の映画界の最前線にも果敢にチャレンジする行動力ある2人が、映画への情熱を語る。

社交の場としてのカンヌ国際映画祭

MEGUMI/ブラウス¥108,900 スカート¥179,850/共にトーテム(<a href="https://toteme.com/en-jp" target="_blank">トーテム クライアントサービス</a>) ピアス¥18,150 リング(左手)¥21,450 (右手)¥19,360/すべてアフェクト(<a href="https://affect-official.jp/" target="_blank">ラッキーアンドカンパニー</a>) 賀来賢人/ジャケット¥646,800 ニット¥224,400 中に着たTシャツ¥95,700 パンツ¥233,200/以上ザ・ロウ(<a href="https://www.therow.com/ja-jp/" target="_blank">ザ・ロウ・ジャパン</a>) “C ドゥ カルティエ”ピンブローチ¥361,900/カルティエ(<a href="https://www.cartier.com/ja-jp" target="_blank">カルティエ カスタマー サービスセンター</a>) その他/本人私物 CHISATO HIKITA

ELLE 閉幕したばかりの第79回カンヌ国際映画祭で、MEGUMIさんは今年も日本映画や日本文化の魅力を世界へ発信する国際文化交流イベント「Japanese Night」を開催されていました。賀来さんも2025年にこのイベントで英語で堂々とプレゼンテーションを行われましたね。

MEGUMI(以下、M) 今年も1000名以上の方に来場いただいて、昨年までとは比べものにならないほど熱気に包まれました。日本がこれほどまでに世界から注目されていること、「Japanese Night」がその発信の一翼を担っていることを実感しました。日本の作品や文化、人が世界へ出ていくきっかけとなる場として、さらに価値を高めながら継続していく使命を感じています。今回はこれまでの「Japan Night」から「Japanese Night」に名称を変えたので、映画を作る“人”、ワインを作る“人”のように、“人”にフォーカスしながら、会場を日本らしい映像でプロジェクションマッピングする演出、食やお酒などもあり、五感に“ネオ・ジャパン”を刺激する時間になったと思います。

賀来賢人(以下、K) 僕は昨年参加させてもらいましたが、正直社交の場っていうのは、俳優だけをやってきたので機会もあまりなかったですし、得意ではないんですよ(笑)。ただ、「行きたくないな」と思いながらも実際に行ってみると、社交の場の大事さに気づかされて、実りしかないと思います。人に会って、映画という共通言語を通してコミュニケーションを取っていく。日本の映画界にとっても大事なことだとあらためて実感しました。

ブラウス¥108,900 スカート¥179,850/共にトーテム(<a href="https://toteme.com/en-jp" target="_blank">トーテム クライアントサービス</a>) ピアス¥18,150/アフェクト(<a href="https://affect-official.jp/" target="_blank">ラッキーアンドカンパニー</a>) CHISATO HIKITA

M “賀来賢人 Night”やったほうがいいんじゃないですか?(笑)

K 3人くらいしか来ないですよ(笑)。でもそれ以来そういう社交の場にはなるべく参加するようにしています。日本では仕事が決まってから人に会って、現場で互いを知っていくことが多いと思うのですが、欧米の文化だとまず人を知ることから始める。先日、LAで「ジェネラル・ミーティング」というのをしてきたのですが(今年、米大手マネージメント「Artists First」と俳優、プロデューサーとして契約締結)、具体的なプランがなくても、まずその人がどんな人なのかを知ることが先というのが常識らしくて、カルチャーショックを受けました。会話が盛り上がれば、「今こういうの作ってる」「面白そう、今ちょっと見せて」となり、面白ければ「これやろうよ」って企画が進んでいく。一日5~6件のミーティングで、ハリウッドのトップスタジオの全エグゼクティブに会わせてもらえた貴重な経験でしたが、ものすごく面白くて有意義な時間でした。

M 日本だと目的がないとミーティングも行われないし、むしろ無駄な時間って削られてしまうようなコミュニケーションが重要視されているのは全然違いますよね。私も今回のカンヌには新しい企画を用意していったのですが、フランス映画界の重鎮のような女性の方に相談すると、「明日このプロデューサーと会ったほうがいい」とキーパーソンを紹介してもらえたり、フランスで国際共同制作している人とディスカッションしたり、台湾の製作者の方にアドバイスを受けたり・・・現実になるかは別として、私のプロジェクトを知ってもらって、いろいろな可能性を探れる機会がたくさんありました。

俳優業では気づかなかった映画製作の大変さ

ジャケット¥646,800 ニット¥224,400 中に着たTシャツ¥95,700/以上ザ・ロウ(<a href="https://www.therow.com/ja-jp/" target="_blank">ザ・ロウ・ジャパン</a>) “C ドゥ カルティエ”ピンブローチ¥361,900/カルティエ(<a href="https://www.cartier.com/ja-jp" target="_blank">カルティエ カスタマー サービスセンター</a>) その他/本人私物 CHISATO HIKITA

ELLE プロデュース業では、プロジェクトすべてにおける責任や問題解決なども担わなければならないと思いますが、俳優業では気づかなかったことや成長したことなどはありますか?

K いろいろな立場の人を今まで以上にすごく尊敬するようになりました。今までは自分のパフォーマンスや作品の成果だけを考えていればよかったけれど、今はどれだけプリプロダクション(撮影前の準備)の時間があって、スタッフや制作部の仕事、撮影後の編集やプロモーションなど、予想以上に多くの方々の働きで成り立っていることを知って、もう頭が上がりません! 映画は本当に総合芸術だと思います。俳優のときは全然見えていなかったと言っても過言ではないです。

M 私もお恥ずかしながら、俳優のときはまったく見えていなかったですね。あとプロデューサーになって感じるのは、制作過程で次から次へと問題が起こること。ジャッジするのが自分なので、ときに1対50とかになるわけじゃないですか。船頭的な役割だから、やるやらないとか、ダメですとか、苦しいときもあります。賀来くんも最終ジャッジする立場ですよね?

K そうです。ダメです、それはできませんとか。誰かを傷つけてしまうかもしれないと思うこともあります。

M 胸が痛いときもあるけれど、いいものを作りたい気持ちは全員同じなので、説明したら理解してくれるということもわかってきたので、だんだん一喜一憂することが減ってきた。人としてはどうかと思うんですけど(笑)。

K 前に比べたら小事だなみたいな(笑)。俳優だけをやっていたら経験しなかったことですし、また別の脳みそを使っている感覚ですね。

海外映画祭で受賞した『FUJIKO』と『Never After Dark/ネバーアフターダーク』

『FUJIKO』6月5日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。 © 2026 FUJIKO Film Partners

ELLE お二人それぞれがプロデュースする『FUJIKO』と『Never After Dark/ネバーアフターダーク』が公開されました。 『FUJIKO』は1970~80年代の静岡を舞台に、シングルマザーの富士子が不遇や困難に遭いながらも人生を切り開いていく、たくましい女性の物語です。イタリアで開催された第28回ウディネ・ファーイースト映画祭では、最高賞の「ゴールデン・マルベリー賞」 と、「ブラック・ドラゴン・特別観客賞」を受賞する快挙でした。

M ありがとうございます。この作品の一番大事な部分は、富士子が“何者でもない”ところだと思うんです。夢があって、それに向かっていく人の物語はたくさんありますよね。でも、富士子は目的意識もないし、人生どうしたいかもわからない。「なんだかわからないけれど今が嫌だ!」って、いろんな人に頼って、ぶつかって、転がるように生きて、最後に意志を持っていくお話。誰にでも当てはまるような話をドラマチックに描いています。今って、SNSとかで何者かになりたい人たちが多いですよね。じゃあどうするか、何者かにならなければいけないのか?っていうことを、時代は全然違うけれど、少し似ている感覚やヒントがあるんじゃないかと思います。富士子の周りの人たちの温かさも今の時代にはなかなかないことなんですけど、実はそういう感覚って持っててもいいのかなと感じてもらえたら。

ELLE 疾走感もあって、目が離せない展開でした。

M 木村太一監督はミュージックビデオやドキュメンタリーでキャリアを積んできた方なので、音楽の香りが漂うパート、テンポ感、ユーモアとか、これまでの日本映画になかった新しい形が作れたと思っています。

『Never After Dark/ネバーアフターダーク』6月5日より、全国公開。 © 2025 Signal181, Inc. All rights reserved.

M 賀来くんの『Never After Dark/ネバーアフターダーク』もアメリカの「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」ミッドナイター部門で、観客賞を受賞されましたね!

K ありがとうございます。「SXSW」はカルチャーの祭典ですが、映画祭とかってフォーマルなイメージがあったんです。でも「SXSW」がアメリカだからか、観客はピザやポップコーンを食べたり、ビールを飲みながら鑑賞していて、上映中も笑うだけじゃなくて「オーマイガー!」とか叫んだりしていて。上映後に僕が登壇すると、みんな近くに寄ってきて“生トークセッション”が始まるっていう。そのラフさがめちゃくちゃ面白かったです。

M ヨーロッパと全然違いますね。そっちも楽しそう!

ELLE 『Never After Dark/ネバーアフターダーク』は死者の姉と生者の妹による霊媒師コンビが、人里離れた洋館で亡霊に立ち向かう物語。ミニマルな世界観と意外なストーリー展開、スタイリッシュな映像など、日本と洋画が混ざったような新感覚のホラーでした。

K 今回、僕とデイヴ(・ボイル監督)が立ち上げた製作会社「SIGNAL181」で1作目を作るにあたり、デイヴはホラーファンでしたが撮ったことはなく、僕自身はホラー好きではなかったのですが、ジャンルとして可能性を感じていたので、第1作目はホラーで遊べるだけ遊ぼうっていうのが2人の間で必然的に決まっていきました。デイヴはもともと黒沢清監督の大ファンで、ジャパニーズホラーも日本文化も大好き。今回は日本のホラーの定型を逆手に取った部分もありますし、日本と海外のスタッフの混合チームだったこともあって、映画自体、無国籍なムードを醸し出すことができたと思います。

ELLE 今後も日本的な要素、アメリカ的な要素が入り交じるような作品を手掛けていく予定ですか?

K そうだと思います。デイヴと話していて感じるのが、僕ら日本人が当たり前だと思っていることが彼らからするとすごく不思議だったりするみたいで。今まで海外から見る日本って、サムライ、ラーメンとかステレオタイプなイメージが強かったと思うのですが、現代の日本のカルチャーも海外の人からすると面白い要素がたくさんあるので、そういった視点を取り入れたものを作りつつ、IPや原作ものにも着手し始めています。僕らの製作会社が翻訳機のような、いいフィルターになればいいなと思っています。

オリジナル作品で製作資金を集めていきたい!

ELLE 『FUJIKO』も『Never After Dark/ネバーアフターダーク』もオリジナル作品です。日本でも海外でも、一定のファンがいる原作ものの映画化よりも、オリジナル作品は資金調達が難しいのも現実ですが、プロデューサーとしてどのように向き合っていますか?

K シンプルに僕はオリジナル作品が最強だと思います。誰も知らないストーリーを映画館で初めて観賞できる体験は何事にも代えがたい。

M 映画製作って2~3年かかる旅のようなものなので、「ちょっといいかも」くらいの感覚だともたないんですよね。なので、「これは絶対にいい!」「これを言いたい!」っていう、なんでこれをやるのかというものが必要で、私の作り方だと今のところそれはオリジナル作品になってますね。ただ、原作ものでも運命だと思ったらやる可能性はあります。

K 僕は今回映画を製作するうえで、なるべくクリエイターの意思を尊重して融通のきくような作り方をするには、やっぱり多くの人が製作に入りすぎないほうがいいのではないかと思って、製作委員会を立てなかったんです。でもさっきMEGUMIさんと話していて、「そういう方法もあるのか!」と目から鱗だったので、もっと勉強しないといけないと思いました。

M 私は今回製作委員会を立ててはいるのですが、1割の人にだけ払えばいいような仕組みを作っています。プロデューサーを始めて6年目なんですが、年がら年中お金を集めてきて、だんだんコツをつかんできまして、半永久的に映画製作できる資金調達の方法を取得しつつあります。雑誌を作ったり、お店をやったりして得てきた自分の経験が役立っているのか、日本映画界でこの方法をやっている人はあまりいないと思います。企画も作ってお金も集めたら一番強いと思うので、そうなりたい。日本の俳優たちの間でも製作に興味がある人はたくさんいるけれど、やり方がわからないって人も多いから、いつかシェアしていきたいです。

K 僕も俳優仲間でプロデュースをやりたいっていう話は聞きますね。MEGUMIさん、講演会とかやってくださいよ(笑)。最前列でメモ取ります。サークルとか作ってもいいかもしれない。

M いいですね、作りましょうよ。じゃあ賀来くん、調整してもらっていいですか?

K 僕が?(笑)

M さっき、社交していきたい、これからはやらないとって言ってましたよね(笑)。苦手なことをやってみようと。私がやっちゃったら変わらない。

K 確かに。ちょっとがんばります!

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MEGUMI/1981年、岡山県生まれ。『台風家族』『ひとよ』(共に2019年)の演技により、第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。2023年よりBABEL LABELにプロデューサーとして所属。2024年からはカンヌ国際映画祭、ウディネ・ファーイースト映画祭、ヴェネチア国際映画祭などで映画関係者を対象としたパーティーやセミナーによる交流イベント「JAPANESE NIGHT」を主宰している。

賀来賢人/1989年、東京都生まれ。2007年に『神童』で俳優デビュー以来、映画、ドラマ、舞台で活躍。2024年にNetflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』で主演とプロデュースを務め、この作品をきっかけに監督のデイヴ・ボイルとパートナーシップを結び、共同の製作会社「SIGNAL181」を設立。今年、ハリウッドのトップスターを擁するLAを拠点とする大手エンターテインメント・マネジメント会社「Artists First」と俳優、プロデューサーとして契約。

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© 2026 FUJIKO Film Partners

『FUJIKO』

1970-80年代の静岡、シングルマザーとなった富士子は世の中の理不尽や時代の荒波にもまれながらも、自分らしい生き方を求め、ロックンロールのような波乱万丈の人生を疾走する。5月、イタリアの「ウディネ・ファーイースト映画祭」で最高賞と観客賞を受賞。6月5日より、TOHOシネマズ日比谷ほかにて上映中。

© 2025 Signal181, Inc. All rights reserved.

『Never After Dark/ネバーアフターダーク』

霊媒師一家に生まれた愛里(穂志もえか)と、ある事件によって霊となった姉・美玖(稲垣来泉)。怪事件を解決して回る姉妹のもとに、屋敷の亡霊を祓ってほしいという依頼が舞い込むが、あるおぞましい秘密が待っていた・・・。新感覚ホラーで、3月の「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」ミッドナイター部門で、観客賞受賞。6月5日より、全国公開中。

photo CHISATO HIKITA styling KUMI SAITO(megumi), ARATA KOBAYASHI(kento kaku) hair&makeup MARIKO ADACHI(megumi), TATSUYA NISHIOKA(kento kaku) editor&text KANAKO TAKAHASHI

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