1. トップ
  2. 寛一郎、是枝監督最新作『箱の中の羊』撮影エピソード!千鳥・大悟との共演裏話&父・佐藤浩市への思いも

寛一郎、是枝監督最新作『箱の中の羊』撮影エピソード!千鳥・大悟との共演裏話&父・佐藤浩市への思いも

  • 2026.5.29

北野武監督の『首』(2023年)や山中瑶子監督の『ナミビアの砂漠』(2024年)、永井聡監督の『爆弾』(2025年)、河瀬直美監督『たしかにあった幻』(2026年)、 連続テレビ小説『ばけばけ』など話題作への出演で注目を集めてきた寛一郎さん。

是枝裕和監督の最新作『箱の中の羊』では、綾瀬はるかさんとW主演の大悟さん(千鳥)が社長を務める会社の従業員・日高玄を演じている。

亡き息子の姿をしたヒューマノイドを迎え入れた夫婦の物語を描いた本作の撮影エピソードや役柄について、さらに先輩俳優からかけられた“忘れられない言葉”などを語ってくれた。

映画『箱の中の羊』に出演した寛一郎さん 撮影=三橋優美子
映画『箱の中の羊』に出演した寛一郎さん 撮影=三橋優美子

誰でもフラットに接する玄という役柄「彼のように相手に対して忖度なく思ったことを言える人でありたい」

――是枝裕和監督オリジナル脚本の本作への出演が決まったときはどのような心境でしたか?

【寛一郎】まず、是枝監督とご一緒できることがうれしかったです。出演が決まったあと脚本を読んだら、大悟さんの後輩役だったので、そんな貴重な機会はなかなかないなと思い、撮影がすごく楽しみでした。

――大悟さん演じる健介が社長を務める工務店の従業員・玄をどのような人物だと捉えて演じましたか?

【寛一郎】玄は、ヒューマノイドだろうが人間だろうが関係なくフラットに接するので、ある意味楽観的ともいえますし、見方を変えれば無神経にも見える部分を持っている人なのかなと。それは共感性がないとか、人の痛みがわからないということじゃなく、本作における彼の役割は“誰でもフラットに接する人物”だと感じたんです。

とあるシーンで、玄が健介に「それって別に誰も悪くないんじゃないですか」と言うのですが、その言葉は意外と核心を突いているのではないかと。そういう部分を意識しながら演じていました。

【写真】寛一郎さん演じる日高玄と千鳥・大悟さん演じる健介 (C)2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.
【写真】寛一郎さん演じる日高玄と千鳥・大悟さん演じる健介 (C)2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.

――監督とは玄についてどんなお話をされましたか?

【寛一郎】是枝監督は「玄は孤児で、美容師をやっていた過去があるから髪型をコロコロ変える」といった、劇中では描かれていない彼の背景を教えてくださいました。ただ、そこはあまり意識せず、シーンごとの玄の心情を重視しながらやっていましたね。

撮影=三橋優美子
撮影=三橋優美子

――玄のビジュアルに関して、寛一郎さんからアイデアを出された部分もあったのでしょうか。

【寛一郎】最初は金髪で登場しますが、その次はちょっとユニークな髪型がいいなと思ったので、そこは意見を出させてもらいました。そのあとみんなで話し合って決めていったのですが、最終的にリーゼント風の髪型になり、“キャッチーだな”と思いました(笑)。

――玄に共感できる部分はありましたか?

【寛一郎】僕は基本的に演じる役柄の共感できる部分を膨らませて役作りをするので、今回でいえば“玄=僕”でもあるんです。演じていく中で気づいたのは、玄の人に対する接し方や話し方がすごくすてきだということ。

玄は、たとえ相手が傷つくようなことであっても嫌味なく、悪気もなくはっきりと伝えるんです。直球しか投げられない人なのですが、僕はそういう玄が好きだし、彼のように相手に対して忖度なく思ったことを言える人でありたいなと思います。

撮影=三橋優美子
撮影=三橋優美子

是枝組への初参加「何も言われないからこそ緊張しますし、しっかり演じなければと気合いが入る現場でした」

――是枝監督の現場はいかがでしたか?

【寛一郎】あまり演出はされない方だと聞いていたのですが、やはり自由にというか、俳優がどう演じるかを何も言わずにじっくりと見ているという印象でした。監督に「こうしたほうがいいですか?」と聞くのは野暮ですし、とにかく自分が考えてきた芝居を提示することが大事というか。何も言われないからこそ緊張しますし、しっかり演じなければと気合いが入る現場でした。

――玄が勤めている会社の社長・健介を演じた大悟さんとの撮影はいかがでしたか?

【寛一郎】大悟さんと初めて撮影をご一緒した日に、監督から「一度、二人で好きなようにやってみていただけますか」と言われて、大悟さんが「寛一郎に任せるわ」と仰ったんです。“これは試されているな…”と思いながら演じたのがすごく印象に残っています。好きにやるって実はすごく難しいのですが、大悟さんとの掛け合いはとても楽しかったです。

撮影=三橋優美子
撮影=三橋優美子

――大悟さんとは現場でどんな会話をされたのでしょうか?

【寛一郎】話しかけると気さくに応じてくださるので、たくさん質問を投げかけていました。広島でロケ撮影をしていたのですが、「休憩中はどんなことを考えていらっしゃるんですか?」と聞いたら「番組で話すネタを考えてんねん」と仰って。

そのときに、どんな場所でもお笑いのことを考えているんだな、かっこいいなと思いました。あと、翔役の桒木里夢くんが天使のように愛らしくて、彼がいると現場の雰囲気が和やかになるんです。だからわりと和気あいあいとした中で、スタッフさん含めみんなでいろいろな話をしていました。

映画『箱の中の羊』の場面写真 (C)2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.
映画『箱の中の羊』の場面写真 (C)2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.

――完成をご覧になった感想をお聞かせいただけますか。

【寛一郎】脚本を読んで、意外とシンプルな物語だなと感じて、映像に関しても“こんな感じになるのかな”と想像してから現場に行っていたんです。ところがいざ完成した本作を観たら、自分の想像を遥かに超えたものになっていたので、さすがだなと思いました。脚本には書かれてない余白の部分もそうですし、編集でシーンをつなげていくと、脚本からは想像もつかなかった映像ができあがるんだなと。是枝マジックじゃないですけど、とてもすてきな作品になっていると感じました。

撮影=三橋優美子
撮影=三橋優美子

先輩・加瀬亮からの言葉のおかげで「あきらめずに前向きに役に挑むことができた」

撮影=三橋優美子
撮影=三橋優美子

――もしも大切な人を失ったとして、その人の姿をしたヒューマノイドに会いたいですか?

【寛一郎】実際にそういう経験をしたことがないので、そのときどう思うかはわかりませんが、仮に今そういう状況に陥ったとしてもヒューマノイドに会いたいとは思わないです。本作で亡くなった息子そっくりなヒューマノイドに健介が後悔する気持ちや懺悔を伝えるシーンがありますが、自分がもしも同じようなことをしても前に進める気がしないというか、過去に執着して依存してしまう気がするんです。

――確かにヒューマノイドに亡くなった人への想いを伝えることで癒やされることもあれば、逆に虚しさを感じることもありそうですよね。

【寛一郎】ヒューマノイドという“箱”に対して何かを言ったとしても、亡くなった本人に伝えられるわけではないので、それなら自分の記憶の中に大事にしまっておきたいというか。とはいえ、実際に大切な人を失って、本当にヒューマノイドが存在する世界だったら速攻で注文しているかもしれないですけど(笑)。

撮影=三橋優美子
撮影=三橋優美子

――話は変わりますが、河瀬直美監督や是枝監督、北野武監督などの巨匠から、若手の奇才・山中瑶子監督まで幅広くお仕事をご一緒されていますが、そういった方々の忘れられない言葉や大切にしている言葉などがあれば教えていただけますか。

【寛一郎】監督ではないのですが、北野武監督の『首』でご一緒した加瀬亮さんの言葉はすごく心に残っています。加瀬さんは織田信長、僕は信長の近習・森蘭丸を演じたのですが、撮影中に役に関して悩んでいたことがあったんです。それを加瀬さんに相談したら、「うだうだ言っていても仕方がないし、そのことで腐ったら全部が台無しになってしまう。森蘭丸という役を受けたのであれば、最後までちゃんとやりきった方がいい」と言ってくださったんです。

当時24、5歳ぐらいで尖っていた自分に対して、加瀬さんがはっきりと伝えてくださったおかげで、あきらめずに前向きに役に挑むことができたので、本当にありがたかったです。

――国内外問わず、いつかお仕事をご一緒してみたい方はいらっしゃいますか?

【寛一郎】役所広司さんは俳優みんなが憧れる存在ですし、共演した方からも「役所さんのことがさらに大好きになった」と聞いているので、いつかご一緒してみたいです。

――これまでお父様の佐藤浩市さんとは何度も共演されていますが、今後また共演の機会があるとしたら、どのような作品を希望しますか?

【寛一郎】これまで父との共演シーンは、あえてですがさらっとしたお芝居しか経験していないので、がっつりと濃いお芝居をしてみたい気持ちはありますね。もっと経験を積んで、いつかそういう機会があったらいいなと思います。

――最後に、お気に入りのSF作品があれば教えていただけますか。

【寛一郎】けっこう前にシーズン3まで鑑賞した『ウエストワールド』がおもしろかったです。西部劇の世界を再現した近未来のテーマパークが舞台のドラマなのですが、人間の欲望を叶えてくれるはずのアンドロイドが反乱を起こすという、どこか『箱の中の羊』ともリンクするような作品です。

『箱の中の羊』に登場するヒューマノイドは『ウエストワールド』のアンドロイドのような過激な要素はないですが(笑)、ヒューマノイドに興味を持った方にはぜひご覧いただきたいです。

撮影=三橋優美子
撮影=三橋優美子
映画『箱の中の羊』のメイン写真 (C)2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.
映画『箱の中の羊』のメイン写真 (C)2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.

取材・文=奥村百恵

◆スタイリスト:石井大

◆ヘア:Tsubasa

◆メイク:村松朋広

(C)2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

元記事で読む
の記事をもっとみる