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400万の新車を購入→『住宅ローンとセットにしませんか』銀行の提案でローン組み直すが…半年後、40代夫婦を襲った“重い代償”

  • 2026.8.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!元銀行員のヤドカリです。

住宅ローンの固定期間終了などを機に「毎月の返済額を抑えたい」と焦る人は多いものです。そんな時、他行から返済額が抑えられる魅力的なローンを提案されたら心が動くのではないでしょうか。

しかし、目先の数字だけに囚われると重い代償を払うことに。今回は、おまとめローンを選択したわずか半年後に後戻りできない悲劇に見舞われた夫婦の事例を元銀行員が解説します。

「金利が今より1%ほど上がる」ローンの借り換えに訪れた夫婦

今から約10年前、それは私が銀行に入行して3年目の春でした。

当時、私は個人ローンを担当し、特に住宅ローンの「借り換え提案」に注力していました。配属先は大規模な工業団地に隣接し、従業員の方々の住宅ローン需要が高い一方、他行との金利競争も熾烈な激戦区でした。

ある日、キャンペーンチラシを手に住宅街を訪問営業していた際、工業団地に勤務する40代のご夫婦と出会いました。お話を伺うと、住宅ローンを組んで10年が経過し、固定金利の期間が終了するタイミングでした。

「今借りているA銀行から、金利が今より1%ほど上がると言われて……」

当時の固定金利は2%を切る水準でしたが、ローン残債はまだ3,000万円以上とのこと。そこに「プラス1%」は家計にとって大きな痛手です。借り換えの強いご希望があり、すぐさま当行での事前審査を進めました。

夫婦の選択を変えた“魅力的な住宅ローン”

ところが3日後、ライバルのB銀行が「住宅ローンとセットで、マイカーローンも一つにまとめて組み直しませんか?」と提案してきたことが知らされました。

ご夫婦は子育て真っ最中で、ワンボックスカー400万円を新車のローンで購入したばかりでした。B銀行の提案は、その車の残債も丸ごと住宅ローンに上乗せするというもの。ご夫婦は「これなら毎月の返済額が大幅に安くなる!」とすっかり心を奪われていました。

せっかく先にお声がけしたにも関わらず、突然のライバルの登場に私は焦りました。ファイナンシャルプランナー(FP)の視点から見ると、これは家計にとってリスクの高い選択だと感じ、私は先輩行員と共に、ご夫婦へアドバイスをしました。

「車は通常、7〜10年程度が寿命(耐用年数)とされています。それを残り25年の住宅ローンに組み込めば、車を手放した後も長期間、車の代金だけを払い続けることになります」

「お金を借りる時は、モノを使う期間と返済期間を合わせるのが大原則です。一見すると毎月の支払いが減って得をしたように見えますが、本来なら数年で払い終えるはずの車の代金に25年分の金利が上乗せされるため、最終的な総支払額はかえって割高になってしまいます。さらに、もし途中で車を買い替える事態になれば、古い車と新しい車のローンを二重に支払うことになりますよ」と、図に書き出しながら説明しました。

私はマイカーローンについては単独で借り換えるプラン、もしくは既存のローンのまま当面は契約を残すことを提示し、説得を試みました。しかし、目先の「毎月の返済額が減る」という魅力には勝てず、ご夫婦は最終的にB銀行での肩代わりを選択されたのです。

半年後、夫婦を襲った“住宅ローンの盲点”

それから半年ほどが経った冬のボーナス時期。営業の合間に偶然そのご夫婦とバッタリ再会しました。ご挨拶をすると、奥様が暗い顔で口にしました。

「実は、あのワンボックスカーですが、事故に遭ってしまって。新しく買い替えることになったんです……」

私は言葉を失いました。ご夫婦は「すでに手元にない車の代金」を、これから先も住宅ローンと共に20年以上払い続けなければならないのです。地方での生活において車は手放せないため、新しく買う車のローンもさらに家計へ重くのしかかってきます。「あのアドバイスをもっと真剣に聞いておけばよかった」と悔やむ奥様の姿に、私も胸が締め付けられる思いでした。

「毎月の返済額」ばかりを重視せず“家計に合った返済計画”を

「毎月の返済額」に目を奪われ、ローン期間とモノの寿命を切り離してしまった結果、後戻りできない負担を背負ってしまった事例です。

魅力的な提案を受けた時こそ、一度立ち止まって改めて家計にあった「返済計画」を想像してみてください。


執筆:元バンカー・ヤドカリ

地方銀行に10年以上勤務し、法人融資から個人の資産運用まで「お金の現場」を駆け回った元銀行員。在職中に数多くの専門資格を取得し、現在はM&Aシニアエキスパートおよび2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)の知見を活かし、地域の中小企業の経営支援を行うコンサルタント。企業と個人の両面から「お金のリアル」を見つめてきた経験を活かし、銀行の窓口では決して語られない審査の裏側や、知らなければ損をするリアルな失敗談を発信している。

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