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「イケア」で最も自由な「IKEA PSコレクション」とは? キーパーソンに聞く、9年ぶりの復活

  • 2026.5.13
IKEA

1995年の誕生以来、「イケア」の中でも、ひときわ自由な実験の場として位置づけられてきた「IKEA PSコレクション」が、9年ぶりに復活する。革新的なデザインで数々の名作を生み出してきたこのシリーズは、なぜ特別な存在であり続けているのか。12人のデザイナーを率いる本コレクションのクリエイティブリーダー、マリア・オブライアンと、デザイナーのレックス・ポット、ミカエル・アクセルソンに、再始動に込めた思いを聞いた。

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「IKEA PS」は「未来を試す実験の場」

「IKEA PSコレクション」は、「イケア」の中でも特異な位置づけにある。単なる新作発表の場ではなく、これからのデザインの方向性を探るための“実験の場”だ。

クリエイティブリーダーのマリア・オブライアンは、その役割をこう説明する。

「デザインの方向性やフォルムのあり方など、私たちが次にどこへ向かうのかを探るためのコレクションです。通常のプロジェクトよりもはるかに自由度が高く、デザイナーが大胆にアイデアを広げることができます」

その自由度こそが、「IKEA PS」の本質でもある。「イケア」の中にありながら、既存の枠組みにとらわれず、新しい試みを許容する場。だからこそ、ここから次のスタンダードが生まれてきた。では、なぜ今このタイミングでの復活なのか。

「過去のコレクションを振り返る中で見えてきたのは、常に北欧デザインの最前線に立ち続けてきたということでした。トレンドに追随するのではなく、自分たちの解釈で更新していく。その姿勢が重要だと考えています」

今回のテーマである“遊びごころのある機能性”も、そうした姿勢から導き出された。

「今は少し不安の多い時代ですよね。だからこそ、機能だけじゃなくて、ちょっと楽しくなるような要素も必要だと思うんです。シンプルであることは、削ぎ落とすことではなく、重要なのは、その中に遊び心や意外性を宿らせること。思わず触れてみたくなる、ちょっと試してみたくなる、そんなデザインを意識しています」

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遊び心と機能性をどう両立するか

では、その“遊び心”はどのようにプロダクトに落とし込まれているのか。今回のコレクションに参加したデザイナーのレックス・ポットは、遊びと機能の関係についてこう語る。

「遊びと機能って、どちらかを選ぶものではないと思っています。動かして使うそのプロセス自体が楽しくて、それがそのまま機能にもなっているんです」

レックスが手掛けた照明“フロアアップライト”は、その象徴的な例だ。アップライトにもスポットライトにも読書灯にもなる。形を変えることで用途が変わり、空間の印象までも変化する。可変性そのものが機能となり、同時に体験としての楽しさを生んでいる。

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「ひとつでいくつもの役割を持てるものが、今の暮らしには合っていると思います。実はこのライトはすでに家で使っているんです。発売されたら、ストアに走って、いくつか買い足したいですね(笑)」

デザインが自分の暮らしに自然に入り込むかどうか。その視点が、プロダクトのリアリティを支えている。そうした柔軟さは、空間にも余白をもたらし「インテリアに“呼吸するスペース”を与えてくれます」とレックスは言う。

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素材と構造から考える、新しいデザイン

デザイナーのミカエル・アクセルソンのアプローチは、さらに根源的だ。彼はインフレータブル家具の過去の失敗をもとに、素材そのものに立ち返った。今回は金属フレームと空気の構造を組み合わせることで、安定性と快適性を両立している。

「これまでのプロジェクトがなぜ失敗したのかを徹底的に見直しました。インフレータブル家具は、使う素材をぐっと減らせますし、フラットパックで届けられるのも大きなポイントです。空気って、とても『イケア』らしい素材だと思うんです。誰もが持っているものを価値に変える、それが大事だと思っています」




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ミカエルが試行錯誤を重ねたプロトタイプは、自宅でもテストされたという。

「子どもたちは必ず想定外の使い方をするんです(笑)。椅子の上で跳ねたりもするので、安全性についていろいろ気づかされました。また、家には犬と猫もいるのですが、今回はあえて猫がソファを引っ掻くことを期待していたんです(笑)。でも実際にはびくともしませんでした。他の場所でテストした際もずっと引っ掻いていたのですが、問題なく耐えられました。家で試すと、本当に必要なことが見えてきますね」

現実の生活の中での検証が、プロダクトの完成度を引き上げていく。



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「IKEA PS」が示すこれから

今回の「IKEA PSコレクション」に共通するのは、“触れてみたくなる”という直感的な魅力だ。見た目だけでなく、使うことで初めて発見がある。そうした体験が、プロダクトに奥行きを与えている。

そしてもうひとつ重要なのが、手に取りやすさである。デザインの革新性と、価格の現実性。その両立こそが、「イケア」らしさを支えている。

最後に、このコレクションを通して届けたい価値について尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「見た瞬間に、ちょっと試してみたくなる。その感覚を大事にしています。すべてのプロダクトに、何かしらの“気づき”や“発見”があります。見て、触って、少し驚いてもらえたらうれしいですね」とマリアは言う。

レックスもまた、プロダクトと人との関係性に触れる。「使う人との関係の中で、プロダクトは完成していくものだと思っています」

そしてミカエルは、もう一つの重要な要素を挙げる。「ちゃんと手に取りやすい価格であることも大事にしています」

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「IKEA PSコレクション」は単なる限定コレクションはなく、常にこれからの暮らしを提案してきたコレクションだ。12人のデザイナーによる約40点のプロダクトには、その思想がさまざまなかたちで反映されている。5月28日(木)より発売される、遊びごころと機能性が共存するラインナップを、ぜひ手に取って体感してみてほしい。

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