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築45年団地“最上階”を1500万で購入も「なぜここまで…」入居後の6月、30代夫妻が痛感した“限界”【一級建築士は見た】

  • 2026.6.3
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「リノベの打ち合わせで、断熱性能にもこだわったんです。なのに、6月で早くも部屋がモワッと暑くなって…」

そう話すのは、築45年・3LDK・約62㎡の団地最上階を約1,500万円で購入し、内装フルリノベに約720万円かけたEさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。リフォーム会社との打ち合わせで「壁にも断熱材を入れる」というプランを採用。冬の寒さや夏の暑さに悩まされない住まいを期待していました。

ところが入居後初めて迎えた6月、最上階の自宅は予想以上に蒸し暑くなりました。「リノベでしっかり断熱したつもりだったのに、なぜここまで暑くなるのか分からなかった」と振り返ります。

「専有部の断熱」だけでは限界がある

集合住宅の断熱性能を決めるのは、室内の壁だけではありません。

外気と接する外壁、屋上(最上階の場合は天井)、開口部(窓・玄関)からの熱の出入りが大きく影響します。これらをまとめて「外皮」と呼びますが、築古団地ではこの外皮の断熱が薄かったり、当時の基準でほとんど施されていなかったりすることがあります。

Eさんが行った室内側の断熱は確かに有効ですが、外壁や屋上の断熱が薄いままだと、外からの熱がじわじわと室内に伝わってきます。

最上階は屋上からの熱を受けやすい

団地の最上階に住むEさんが、とくに6月の暑さを感じた理由は、屋上からの熱の影響にあります。

築古団地の屋上には、断熱や遮熱のための層がほとんどない物件もあります。日中の強い日射で屋上のコンクリート表面が高温になると、その熱がコンクリートスラブを通じて最上階の天井に伝わります。高い室温は夕方以降も続き、夜になっても室内がこもったように暑く感じる原因になります。

加えて、築古団地の窓のサッシは単板ガラス(1枚ガラス)とアルミサッシの組み合わせが一般的です。この仕様では、外気の熱や日射が直接室内に伝わってしまいます。サッシ本体は多くの場合「共用部」に該当するため、個人で勝手に交換することはできません。

Eさん夫婦はどう対応したのか

専有部リノベの限界に直面したEさん夫婦は、できる範囲で断熱対策を進めました。

まず、リビングと寝室の窓3か所に内窓(二重サッシ)を追加で設置。約30万円かかりましたが、外気の影響を大きく軽減できました。内窓は既存のサッシの内側に新しい窓枠を追加する工法で、共用部のサッシ本体を交換しなくても断熱性能を高められます。

さらに、最上階の天井に追加の断熱材を施工する工事も実施しました(約25万円)。ここで注意したいのが、施工方法によって管理組合の承認が必要になる点です。天井のコンクリートスラブそのものは共用部にあたるため、スラブに直接手を加える工事はできません。Eさんの場合は、専有部である二重天井のふところ(天井裏の空間)に断熱材を充填する方法を選びました。それでも念のため管理組合に事前に確認し、承認を得てから着工したといいます。

この工事により、屋上からの熱が天井を通じて室内に伝わるのを抑えることができ、6月以降の体感温度が大きく改善されたといいます。

「リノベの段階で『建物全体の断熱性能をどこまで変えられるか』を理解していれば、最初から内窓や天井断熱を組み込んだプランにできた」とEさんは振り返ります。

団地リノベは「外皮」を理解して選ぶ

築古団地のリノベ物件を検討する際は、室内のデザインや設備の刷新だけでなく、建物そのものの断熱性能を理解した上で選ぶことが大切です。とくに以下の点を確認してみてください。

・最上階や角部屋か:外気と接する面が多いほど断熱の影響を受けやすい
・サッシの仕様:単板ガラスか複層ガラスか
・建物全体の断熱改修履歴:外壁・屋上の断熱工事が行われているか
・大規模修繕計画に断熱改修が含まれているか
・内窓や天井断熱の追加施工が可能か(共用部に関わる工事は管理組合の承認が必要)

「団地リノベ」が合う人もいる

ここまで断熱面の限界を中心に紹介してきましたが、団地リノベには大きな魅力もあります。新築マンションでは手の届かない好立地に住める、自分好みのデザインに仕上げられる、コミュニティが形成されている──こうした点に価値を感じる人にとっては、十分な選択肢です。

中間階で、角部屋ではない位置を選んだり、リノベの段階で内窓や天井断熱を計画に組み込んだりすれば、断熱面のデメリットは大きく抑えられます。

専有部の美しさだけで判断せず、「建物全体の性能」まで含めて見ること。それが、6月の暑さに振り回されない団地暮らしの第一歩です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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