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【ルームツアー】伝統とモダンが交差する、サンフランシスコに誕生した色彩豊かな邸宅

  • 2026.5.6
Laura Resen

インテリアデザイナーが真っさらな空間に挑む際、漠然としたインスピレーションを頼りに進めることもあれば、極めて明確なビジョンが掲げられることもある。サンフランシスコにある4ベッドルームの邸宅を手掛けたレッドモンド・アルドリッチ・デザインのテイラー・シャナハンとクロエ・ワーナーは、後者を選んだ。

「この家のデザインコンセプトは、英国風のフラワープリントやアンティークラグ、そして使い込まれた心地よい空気感をまとった“モダン・コテージ”でした。言い換えれば、表側はエドワーディアン様式で、裏側はガラスボックス。いわば“コテージ・マレット”(前は真面目、後ろは遊び心全開な髪型“マレット”になぞらえた表現)です」とワーナーは語る。若夫婦と2人の子供を持つこの一家が、新居に遊び心を取り入れるのを全くためらわなかったことは、デザイナーの2人にもすぐに伝わった。

2人は、受け継がれたアンティークのコレクションに単に色鮮やかな要素を添えて、折衷的な雰囲気に仕立てたわけではない。家中のあらゆる場所に手を加え、住む人の個性を隅々まで吹き込んだ。「私たちが手掛ける前のこの家は、少々古めかしい印象でした。代々受け継がれてきたアンティーク家具はどれも素晴らしかったけれど、空間に面白みを出すにはモダンな家具をミックスする必要があったんです」とシャナハンは言う。また、多くの壁面を覆っていたダークウォルナットの壁材に遊び心を加えるため、彼女たちは巧みな解決策を用意した。「壁紙やタイル、そして色を、至る所に惜しみなく取り入れました」と彼女は付け加える。

彼女たちの創造性が真に発揮された場所の一つがリビングルームだ。そこでは、壁一面が淡いピンク色に彩られている。ワーナーは語る。「クライアントは私たちを信頼して、壁や造作材を私たちのお気に入りのニュアンスカラー、グリデン社の“ウォーター・チェスナット”で塗ることに快く同意してくれました。これはダスティピンク(くすんだピンクの色味)で、室内の花柄や幾何学模様を見事に調和させるベースとなってくれます」そうした幾何学的な要素の一つが、壁に掛けられたイーサン・クックによる大型のアート作品。その手前には、クライアントが数年前に見つけたヴィンテージのデイベッドが鎮座している。

この邸宅のほとんどの部屋では、シャナハンとワーナーによる巧みな色使いやパターン選びが披露されているが、主寝室では異なるアプローチが取られた。そこを可能な限り心安らぐ聖域にするため、家中でもっとも穏やかな配色を採用している。主寝室に続くバスルームもまた、同様の洗練されたエレガンスをまとい、寝室の自然な延長線のように感じられる。シャナハンは「バスルームは寝室の“良き友”のような存在であってほしかったんです。だから、ゆったりとくつろげる配色をそこまで広げました」と説明する。

最大の変貌を遂げたのは、1階部分だ。リノベーションを施す前、そこは機能的にも審美的にも、これといった使い道のない空間だった。マーティンコビッチ・ミルフォード・アーキテクツがそのレイアウトと背面全体のファサードを再構築した。「最大の目的は、1階とメインフロアをつなぐことでした。あそこには大きな可能性が秘められていたのに、着目されていませんでした」とワーナーは説明する。「現在は広々としたゲストルームとバスルーム、ファミリールーム、土間、そして2台収容可能なガレージという構成です」

4年近くにわたる、いわばデザインという名のメスを入れた大胆な改修を経て、この家はようやく本来のポテンシャルを存分に発揮するようになったとデザイナーたちは語る。「一歩足を踏み入れれば視界が開け、明るい光に包まれるのを感じるはずです」とワーナーは付け加えた。US版「ハウスビューティフル」より。

Laura Resen

リビングルーム

「ここでは、クライアントが受け継いできた家財道具に新しいアイテムをミックスし、空間にチャーミングな魅力と奥行きを持たせました。この光景こそが、クライアントを最もよく象徴していると思います。彼らは柄物を愛し、同時に熱心なコレクターでもあるからです」とシャナハンは説明する。

カーテン/「ジャスパー」
ヴィンテージのアームチェア/クライアント私物
エルアラグ/「サファビア」

Laura Resen

リビングルーム

「アート・コンサルタントを務めたのはキャロライン・ブリンカーホフです。アートが空間に命を吹き込んでくれたと感じているし、彼女の貢献には心から敬意を表します」とシャナハンは語る。

アートワーク/イーサン・クック
コーヒーテーブル/CB2
ラタン製デイベッド/ヴィンテージ

Laura Resen

ファミリールーム

「これはファミリールームから眺めた裏庭の景色です。庭の整備はプロジェクトので進めたものですが、前半の建物部分の設計を進めている段階から、高低差のあるこれら2つの空間をどのようにつなげるべきか、私たちはすでに考え抜いていました」とシャナハンは語る。

ヴィンテージのコーヒーテーブル/ウィリー・リッツォ
エリアラグ/フォート・ストリート・スタジオ
木製アームチェア/クライアント私物

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キッチン

「設計を進める段階から、アイランドキッチンのカウンターを主役に据えようと決めていました。それが、他の場所に採用したソープストーンのカウンターとも見事に調和すると考えたからです。プロジェクトの初期から、このヴィオラ大理石のサンプルを手元に置いていました。そして、いざ石板を確保する段階になったとき、まさにイメージ通りの大理石を見つけることができたのです」とシャナハン。

スツール/「ムート」
ペンダントライト/「ランバート&フィルス」

Laura Resen

朝食コーナー

「メインフロアにある、キッチンの奥に設けられた朝食コーナーです。階段の手すりに沿って降りていくと、下の階のファミリールームやゲスト用バスルーム、そして土間へとつながっています」とワーナーは説明する。

“チューリップテーブル”/デザイン・ウィズイン・リーチ
チェア/クライアント私物

Laura Resen

ダイニングルーム

「このプロジェクトで見つけたお気に入りの一つが、ダイニングチェアのセットです。手頃な価格の家具や雑貨を扱う量販店ワールドマーケットで偶然見つけたものなのですが、2脚セットで販売されていて、私たちは在庫をすべて買い占めてしまったかもしれません。というのも、それ以来一度も見かけていませんし、私自身ずっと探し続けているのですから」とワーナー。

壁紙/「ピエール・フレイ」
ヴィンテージのシャンデリア/「スティルノボ」
テーブル/スタジオ・イルゼ

Laura Resen

ベッドルーム

「壁の一部を凹ませたベッド背面のデザインは、壁の裏側を通る換気ダクトを避けるための工夫から生まれたものです。それぞれのクライアントに、上下に収納が付いた専用のサイドテーブルを用意し、ベッドを包み込むような小さな空間を作るという楽しいアイデアを思いついたのですが、これが実に見事にハマりました」とシャナハンは言う。

壁紙/「ポーター・テレオ」
カーテン/「サンドラ・ジョーダン」
ベッド/カスタムオーダー

Laura Resen

ベッドルーム

ソファ/「ジョン・デリアン」
アート/キクオ・サイトウ

Laura Resen

キッズルーム

「子供っぽい雰囲気が先行しないよう配慮しました。実際には、娘さんが成長しても使い続けられるような空間を目指したのです。そのため、ピンクにグリーンを組み合わせることで奥行きを意識し、甘くなりすぎないように調整しました」とワーナーは説明する。

ペイント/「ベンジャミンムーア」の“ティッシュピンク”
小型ソファ、Xベースのスツール/デザイナーが以前のプロジェクトで使用した私物
ヘッドボード/セリーナ&リリー

Laura Resen

ゲストルーム

ワーナーは、「ツインベッド、テーブルランプ、そしてサイドテーブルはすべてクライアントが所有していたものです。彼らが受け継いできた調度品を、文字通り最後の一つまで使い切ったのではないかと思っています。壁は『ファロー&ボール』の“カードルーム・グリーン”で塗装しました。空間に情緒的で落ち着いた雰囲気と、潔いシンプルさをもたらしてくれる素晴らしい色です」と話す。

ツインベッド、テーブルランプ、サイドテーブル/クライアント私物
壁のペイント/「ファロー&ボール」の“カードルーム・グリーン”

Laura Resen

バスルーム

「空間全体に黒の六角形タイルで花柄のディテールを散りばめた、オリジナルの床タイルレイアウトをデザインしました。これが、白を基調とした空間の淡いトーンを完璧なバランスで引き締めてくれています」とシャナハン。

壁付け照明/アパラタス
ミラー/ポッタリーバーン

Q&A

Q:コストを抑えるための工夫や、DIY、あるいは独自のアイデアで解決した部分はありますか?できるだけ詳しく教えてください。

テイラー・シャナハン:クライアントがもともと所有していたアイテムを数多く活用しました。彼らはとても素晴らしいセンスをお持ちだったので、作業はスムーズでしたね。玄関のコンソールテーブルや茶色のレザーラウンジチェアなど、代々受け継がれてきた家財道具がたくさんあったので、私たちはそれらを今の空間でより輝かせるための新しい方法を見つけただけなのです。

Q:プロジェクトの規模はどの程度のものでしたか?

クロエ・ワーナー: 家全体をリノベーションする大規模なものでしたが、非常に理にかなった、落ち着いたプロセスで進められました。マーティンコヴィッチ・ミルフォード・アーキテクツによる設計の後に私たちが加わり、時間をかけて各スペースをデザインしていったのです。この家はもともとの造りがしっかりしていましたが、家族にとってより使い勝手の良い空間にする必要がありました。

Q:このプロジェクトはどのようなきっかけで始まったのですか?

クロエ・ワーナー: 実は、クライアントが私たちの手がけていた別の現場の横を通りかかった際、そこに掲げていた看板を気に入ってくださったのが始まりです。彼女と私は、フォントやグラフィック、音楽、カクテル、食事、そして建築やインテリアに至るまで、美意識のほとんどが完璧と言っていいほど一致していました。私たちの事務所がこれまで手がけた中でも、最高に自然体で、素晴らしいプロジェクトの一つです。彼女から連絡をいただいてからは、驚くほどトントン拍子に話が進んでいきました。

original text : Jessica Cherner

>>US版『House Beautiful』のオリジナル記事はこちら

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