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建築家・ウルトラスタジオ向山裕二の自邸はつくりながら住む、半DIYハウス

  • 2026.5.2
TOMOHIKO TAGAWA

昭和の雰囲気を色濃く残す木造の狭小住宅をポップによみがえらせた建築家、向山裕二。自ら「セミプロ・ハウス」と呼ぶ住まいは今もなお未完成。住みながらアップデートを続けている。『エル・デコ』4月号より。

TOMOHIKO TAGAWA(RAISONNE)

手を動かしながら、自分の好みが変化するのを感じる

設計事務所ウルトラスタジオを共同主宰する建築家、向山裕二さん。色や装飾を用いた遊び心ある建築で知られるが、意外にも妻と暮らす自邸は都内にある築40年の住宅だ。大工の助けを借りながらこれを自ら積極的に改修している。

<写真>建築ユニット、ウルトラスタジオの一人である向山裕二の自邸。約半年かけて、ほとんどの施工を自らの手で行った半DIYハウスだ。

TOMOHIKO TAGAWA(RAISONNE)

「リノベーションというよりもDIYによる自由な仕上げに挑戦する家に近いでしょうか。その場で判断を変え、思いつきを試し、実験を面白がれる場です」と向山さんは言う。

<写真>リビングダイニング。既存の床を解体し、以前よりも低く下げ、タイルを張った。外部の壁も同一のタイルで仕上げて連続性を出し、広々とした印象に。

TOMOHIKO TAGAWA(RAISONNE)

通常の設計はシミュレーションを重ね、計画を形にする。引き渡し後に手を加えることはほとんどない。しかし今回は古い建築を改修し、自身が暮らす。あくまで向山さんの裁量で計画が進められる。計画を練り過ぎず、今も住みながらこの家を読み解く。自ら得た気付きを形にし、即興性を重視する。

<写真>これから改修を予定しているキッチン。上部の照明は既存のモールディングを再利用した。

TOMOHIKO TAGAWA(RAISONNE)

「自分たちで手を加えていくための下地の状態まで、仕上げを大工さんにお願いしました。あとは住みながら変えていく。時に妻とは話し合いつつ、思い切った決断ができました。たとえば2階の柱は、自ら緑に塗っています。大工さんには断られましたが、怪しい仕上がりになっても自分でやってみようと」

<写真>2階書斎。緑の柱は自ら塗った。腰壁に乳白のアクリル板を用い、採光を図る。

TOMOHIKO TAGAWA(RAISONNE)

住み始めた時には色もなく、合板も素地のままだった。何より暗く、採光が最初の課題だった。「吹き抜けはパターンを検証しつつ、床に線を引き、光の落ち方を考えながら決めていきました」と向山さん。こうしたプロの視点もあれば、場当たり的なプロセスも楽しむ。図面で色を検証したものの、塗装を終えた箇所との相性を考えて次に塗装する色を変えることも。作業後に予想外のことが起これば、それを解決してアップデートを続ける。現在はキッチンに手を加えたいが、なかなか時間が取れないと向山さん。

<写真>キッチン横のテーブル越しに階段を見る。かつての仕上げや造作を残し、色や構造を見せる現(あらわ)しで大胆に再構築。

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「価値があるほど古いとは言えない住宅ですが、そこから個性を見いだす楽しみがあります。あまり注目されない要素をあえてラフに残すと、むしろ面白みが感じられることも」

仕上げは素人らしさを感じさせるが、考えはプロならでは。だからこそこの家を向山さんは「セミプロ・ハウス」と表現する。

<写真>洗面室。鮮やかなグリーンのタイルを採用。

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「つくりながら、自分の好みが変化するのを感じます。偶発的な出来事、普通であればやらないことを試してみると、なかなかいいと思うこともあって。普段の業務では最もいい考えを形にしようとするので、自己変容をするチャンスは少ない。とてもいい機会になっています」

<写真>主寝室。緑のカーペット、シルバーのカーテンなどを採用。スタンド照明はウルトラスタジオのオリジナルプロダクト。

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<写真>住み手の向山さん。建築ユニット、ウルトラスタジオを主宰。

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<写真>2階から1階を見下ろす。床・壁・天井の一部を解体再構築し、色や素材を含めた、大胆なプランニングで改築。

【建築データ】
設計/向山裕二(ultrastudio.jp)
敷地面積/66.00㎡
構造/木造
延床面積/106.77㎡
1階/41.40㎡ 2階/40.53㎡
3階/24.84㎡
家族構成/夫婦

Hearst Owned

『エル・デコ』2026年4月号



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