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【豊臣兄弟!】敵対する兄・織田信長(小栗旬)と夫・浅井長政(中島歩)。市(宮﨑あおい)の揺れる思いは…

  • 2026.5.1

【豊臣兄弟!】敵対する兄・織田信長(小栗旬)と夫・浅井長政(中島歩)。市(宮﨑あおい)の揺れる思いは…

2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」。今まであまりスポットライトの当たることのなかった豊臣秀長を主人公に、戦国時代がどう描かれるのか? ここでは、ストーリー展開が楽しみな本ドラマのレビューを隔週でお届けします。今回は、第15回「姉川大合戦」と第16回「覚悟の比叡山」です。

第15回「姉川大合戦」

第14回「絶体絶命!」の最後、夫の浅井長政(ながまさ/中島歩)から離縁を言い渡された市(いち/宮﨑あおい)が、突然、供の者と城の廊下を夜陰に紛れ逃げようとするところから第15回は始まる。え、そうなの?そんなにあっさり市って織田に帰るんだったっけ?と混乱していると、場面が変わって、すべてが寝込んでいる藤吉郎(池松壮亮)の夢であったことがわかった。

いや、歴史でそうではないとわかっているはずなのに、こんな簡単に乗せられてしまうとは……と思いつつ、それぐらい今回のドラマでは、市の揺れる思いが繊細に描かれているということでもあるだろう。兄である織田信長(小栗旬)を大好きで、尊敬しているからこそ兄の命に従って嫁いだものの、嫁した先の夫が実にいい人物で、初めて素直に心を開ける相手であり、可愛い娘にも恵まれた。そんなところへ、夫が兄を裏切って両家は敵となる。そして、自分はそれを兄方へ知らせる行為を取ってしまった。進むも地獄、戻るも地獄だ。

負傷したまま気を失い、京都の宿所で寝込んでいた藤吉郎は、目覚めて付き添いのあさひ(倉沢杏菜)に8日寝ていたと告げられると、飛び起きて岐阜城へ向かう。岐阜城では信長を中心に評定が行われており、明智光秀(みつひで/要潤)が家臣になったと皆に知らされた。光秀は、足利義昭(よしあき/尾上右近)より、「信長の家臣になり信長の動きを知らせるのじゃ」と命じられていたのだ。

信長はその席で、今すぐ小谷城を攻め、浅井を討ち滅ぼすと宣言するが、これに市の身を案じた小一郎(仲野太賀)は、「お市様の身が危のうございます」と言って反対する。しかし、信長は「それがどうした」と言って、小一郎を足蹴にする。柴田勝家(かついえ/山口馬木也)の「離縁をお市様自身が拒まれたのじゃ」との言葉に、小一郎は驚くのだった。

場面はこの岐阜城の評定の場と、小谷城の長政と市の場面をカットバックで見せていく。市と向き合う長政が「それでよいのか」と問いただすと、市は「あなたこそ、私がここに居てもよろしいのですか」と聞き返す。長政は「正直わからん。そなたにとって何が一番の道なのか」。互いに、自分よりも相手がどう思うのかを慮る言葉が続く。

長政は「私はそなたにそばにいてほしい、このままずっと」と言うが、そのとき、家臣の宮部継潤(けいじゅん/ドンペイ)が織田の間者を捕らえたと報告に来る。庭先に連れてこられたその人物は、市に向かい「信長殿は裏切り者を決して許さぬ。たとえお身内とて同じじゃ。織田への忠義を忘れ、身も心も浅井に絡めとられた哀れな女子よ!」と荒々しい言葉で罵るが、思わず身を乗り出そうとする市の手を長政が抑えた。そして、「あの者はそなたを守ろうとしておるのじゃ。無駄にしてはならぬ」と囁くのだった。その場であっという間に刺殺される間者を見て、さらに長政は続ける。「もう後戻りはできぬのじゃ」

場面は再び岐阜城、評定の場面に返ると、信長は「市が浅井を選んだのじゃ。であれば、わしも容赦せぬ」と決意を強くする。それでも小一郎が「お市様のためにも今一度、浅井との和睦の道を」と訴えるも、信長は振り返ることもなく、こう続ける。「今ここで和睦など持ち出せば、浅井に屈したも同じこと。わしの言葉は力をなくし、誰も従う者などいなくなる。夢の終わりじゃ。そうならないためにも、浅井を討つしかない。世に知らしめるのじゃ、我らを裏切った者の末路は地獄であると」

そこへ、藤吉郎が現れる。「そのお役目、このサルめにお任せくだされ」。どう攻めるのかと問われた藤吉郎は、小谷城は近江きっての堅牢な城なので、急いて力で攻めてはことを仕損じる。ここはまず、周囲の根城を一つずつ潰していくと答える。まず浅井方の城である苅安(かりやす)城と長比(たけくらべ)城を調略し寝返らせ、小谷城を守る要となる横山城を攻め落とす。そうすれば、横山城を救うために、浅井勢は必ず小谷城から出てくるはずだ、これがかっこうの餌となっておびき出せる、という計画だった。

藤吉郎は、城の調略で時間稼ぎをしている間に長政を説き伏せ、降伏させるのが狙いだった。仲間たちと詳細な戦法について話しているとき、竹中半兵衛(菅田将暉)が、「すでに苅安城と長比城の調略はすませている」と言い出す。「それでは浅井を説き伏せる時がないではないか」と反論する藤吉郎に、半兵衛は冷静にこう言うのだった。「時をかけたとて、浅井様が降伏するとは到底思えませぬ」。すると、藤吉郎はまるで駄々をこねる子どものように、「わしは嫌じゃ!信長様とお市様が争うなどあってはならぬ。そんなの嫌じゃ!」と文句を言ったのだ。小一郎は市だけでも織田に戻るよう説き伏せるために、浅井に使者を送った。

元亀元(1570)年6月19日、織田軍は北近江に向けて進軍を開始した。苅安城、長比城は半兵衛の調略によりあっさりと陥落したため、軍勢はそのまま一気に北へ進み、小谷城と目と鼻の先にある虎御前山(とらごぜんやま)に陣を構えた。信長はまず城下を焼き払うも、浅井久政(ひさまさ/榎木孝明)らは、朝倉の援軍が来るまで安易に動かないことを決めた。一方信長は、動く気配のない浅井勢を見て、横山城へ向けた出陣の命を下したところ、浅井久政や家臣の遠藤直経(なおつね/伊礼彼方)は途端に焦り始める。そこへ朝倉景健(かげたけ/重岡漠)がやってくる。主君である朝倉義景(よしかげ/鶴見辰吾)が来るものとばかり思っていた久政は驚くが、自分では不服か?と問う景建に「いえ、決してそのようなことはござりませぬ」と答えて、「横山城を見捨てるわけにはいかん」と反撃に向かうのだった。

朝倉軍の鉄砲の音が聞こえる段になって、ようやく徳川家康(松下洸平)が到着する。「武田の備えに時間を取られて」と言い訳するも、戦の様子を見るためにわざと遅れてきたことを信長には見破られていた。無言のまま家臣に包囲させ圧力をかける信長に、改めて恐ろしさを感じた家康は土下座して平謝りする。家康は、家臣の石川数正(かずまさ/迫田孝也)に「わしは姿を消す。でなければ織田信長に殺される」と言い残して去っていく。

元亀元(1570)年6月28日早朝、朝倉・浅井軍1万3000とそれを迎え討つ織田・徳川軍2万1000が、姉川を挟んで向かい合う。そして戦いの火蓋は切られた。

地の利を生かした朝倉・浅井軍勢に、織田・徳川軍は次々と崩されていく。ところが、一度姿を消したはずの徳川家康一行が戻ってきて、側面から奇襲攻撃をかけてきた。実は遅参を信長にわびた際に、「一度姿を消して、機を見て相手方の横腹を突け」という命令を受けていたのだ。そしてこれを潮に、戦況は織田・徳川に有利に傾いてくる。

織田・徳川軍は喜びの声を上げるが、夕日に照らされた姉川は一面血の海で、累々と死体が横たわる凄惨な有様になっていた。それを見て藤吉郎、小一郎兄弟は呆然と立ち尽くす。「本当にわしらは勝ったのかのう」と言う藤吉郎に、小一郎は魂が抜かれたかのようにやっと一言漏らす。「わからん。わからんけど、ここは地獄じゃ」

第16回「覚悟の比叡山」

信長の容赦ない攻撃は、いよいよ比叡山に及ぶ。いわゆる「比叡山焼き討ち」である。

姉川の戦いの敗戦で、長政は大事な家臣を多数失った。悲しみに暮れている長政を市は、「殿が悔いていては浮かばれません。その者たちの死を無駄にしてはいけません」と励ます。

勝ったものの気が晴れないのは信長も同じで、そんな信長を力づけようと、藤吉郎、小一郎はじめ家臣全員が、思い思いに横山城の信長のもとを訪れる。そんな面々で信長を囲んで宴が始まる。信長は戦支度が整い次第、すぐに浅井を攻めると意気込み、藤吉郎にこのまま横山城に残り、浅井の家臣である宮部継潤を調略せよと命じる。継潤は横山城と小谷城の間にある宮部城の城主で、ここを調略できれば小谷城までの行く手を阻むものがなくなるという算段だったのだ。しかし、継潤はかつては比叡山の僧でもあった人物で、下手な駆け引きは通用しないため、藤吉郎、小一郎兄弟は方法を考える。

兄弟は、姉川の戦いで命を落とした家来たちの供養をするため、村の寺で読経していた継潤のもとを百姓に扮して訪ねるが、相手にあっさりと身分を見破られてしまう。藤吉郎は単刀直入に、継潤に「織田の味方についてほしい」と願い出たところ、「織田は嫌いだが、戦に出てこなかった朝倉義景のことはもっと信用していない」という答えが返ってきた。そして、「お主たちの子を養子にくれたら織田につく」と条件を出してきた。藤吉郎も小一郎も「自分たちには子がいない」と言うと、「では近いお身内の子で構わない」と言うのである。そう言われて思い当たるのは、兄弟の姉・とも(宮澤エマ)の長男で4歳の万丸(よろずまる)しかいなかった。ともは当然、激怒するのだった。

そのような中、信長の家臣の森可成(よしなり/水橋研二)が、宇佐山(うさやま)城で討ち死にしたとの報が入る。比叡山延暦寺と手を結んだ朝倉が、城に急襲を仕掛けたのだった。信長はすぐさま出陣し、比叡山を取り囲んだものの、延暦寺に立てこもった朝倉・浅井軍と膠着状態になり、2カ月そのままで時が過ぎていった。

家では、ともの説得を小一郎が続けていたが、全くいい返事をもらえずにいた。そのとき、藤吉郎が帰ってきて、織田と朝倉・浅井の和睦が成立したと言ってきた。これならば養子の話も立ち消えだと思って喜ぶ一同だったが、世の中はそんなに甘くなかった。信長は和睦などする気は一切なかったのだ。

信長は延暦寺に書状を送り、従わないときは女子どもに至るまで皆殺しにしろと光秀に命じた。光秀が答えに詰まっていると、藤吉郎が「殿、そのお役目、このサルにお任せくだされ」と助け船を出す。結局、「ならばお前ら二人でやれ。ただし、しくじればお前ら二人の命はないものと思えよ」と厳命される。

延暦寺には逃げただけの者がたくさんいる。せめてその者たちだけでも逃がそうと思ったと打ち明ける藤吉郎に、小一郎は「それは殿の命に背くことじゃぞ。兄者にできるのか」と心配する。すべての問いに「わからん」と答える藤吉郎だったが、最後にこう言うのだった。「ひとつだけわかっておるのは、わしが侍になったのは、こんなことをするためではない、などと申してみても、やはり殿に逆らうことなどできぬ。だから今回はわしを助けんでいいぞ。その代わりお前は……」と言って、姉・ともの説得を今一度頼むのだった。二人のその会話を聞いてしまったともの夫・弥助(上川周作)は、自分たちも覚悟を決めないといけないと思い直す。

一方、比叡山ではその日がやってくる。次々と僧や民を手にかけていく信長の一行。藤吉郎が寺の敷地内に入ると、小屋に逃げ込んだ女と子どもたちが身を寄せ合って震えていた。それを逃す藤吉郎。しかし、本堂には火がつけられ、中から光秀が出てきた。本堂には無数の僧や女たち、子どもたちの死体が横たわっていた。

小一郎は小一郎で、ともの説得を重ねていた。「わしらは守られる側から守る側になったのじゃ。一人でも多くの者が助かる道を選ばなければなりませぬ。人質などなくても、みんな楽しく生きていける世をいつか作って見せまする。万丸のことはずっと見守り続けまする」

光秀はこのたびの功績を信長にたたえられ、近江の坂本に城を築くことを許されたが、足利義昭に激怒される。信長が自分たちを疑っているのでこうするしかなかったと言う光秀に、「お前を織田に送ったのは間違いだった。わしのもとに帰ってまいれ」と言うも、光秀は着々と自身の城を築いていくのだった。

一方、藤吉郎の延暦寺での言動も信長には見破られていて、「切腹せよ」と命じられる。そのとき、宮部継潤が入ってきて、臣下になりたいと告げる。藤吉郎、小一郎兄弟が身内の子を差し出してくれたこと、藤吉郎が救った中には知った者が大勢いるから、その者たちと生きていきたいとも話して、信長の憤りをとりなした。

いよいよ物語は前半のクライマックスに差し掛かってきた。今回印象的だったのは信長の「夢の終わりじゃ」という言葉だ。とにかく「天下一統」は信長の悲願の「夢」なのだ。それを成し遂げるために手段を選ばないのだが、その陰で泣く者たちは、女であり、子どもであり、力なき民であり、だ。「こんなことをするために侍になったのではない」と言う藤吉郎・小一郎兄弟が、この凄惨な現実と向き合って、どう理想を痩せさせないで純粋な心を持ち続けていくのか。ますます苛烈をきわめる戦の中にあって、二人が成長する姿を楽しみにしたい。

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