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『LAST CALL / ラストコール』が大反響! スターキャバ嬢に学ぶ“人間力”の高め方

  • 2026.5.1
Jessica Dean / Getty Images

次世代キャバ嬢を発掘するYouTube番組『LAST CALL』が平均再生200万回超、ショートも含めた総再生数は月間3億回超という大反響ぶりで一大旋風を巻き起こしている。毎回ひとりの女性が挑戦者として登場し、整形費用1000万円を得る権利を求めキャバ嬢を目指す、前例のないオーディション番組。まさに賛否両論、議論白熱。視聴した人とこのシリーズの話題になるとさまざまな意見がぶつかる。

整形のプロフェッショナルたちが挑戦者をかこみ「このアゴをこうすればもっとよくなる」などと彼らの美意識が優先されてしまう描写は個人的には受け入れがたい。しかし、意を決し出演する挑戦者を審査する日本のトップ・オブ・トップのキャバ嬢のアドバイスや指摘は、さまざまな学びと刺激に満ちている。とくに、大阪・北新地を席巻する「進撃のノア」(CLUB REIMS・31歳)と、その背中を追いかける「るな」(CLUB NILS・29歳)の発言や、厳しくもあたたかな目線からは、令和においての人との接し方や他者を諭す際の正解例にあふれている。彼女たちの発言やメッセージから学ぶ、人としてのスキルとは?

指摘したら同じ分量を褒める「プラマイゼロ式」

第3回目の挑戦者は28歳、無職、プラスサイズの福田さん。キャバ嬢は痩せていなければならない、という厳密なルールは存在しないが、スターを目指す上で90kgという福田さんの体型は需要が少ないらしい。その事実を理由にビシバシと叱咤が飛び交う。本人いわく、太ったり働けない理由は親にあるという。そんな中、進撃のノアは「ここに来ていることだけで、第一歩だと思ってて」と切り出す。その上で両親を理由にしていることを含め、「体重を1回でも落としたことはあるのかな?」と、深層心理へと問いかけるのである。さらに「高い服をたくさん着るよりも、(キャバ嬢において)痩せた体って安い服でも綺麗に見えるから、そういう一面を見てみたい」と締めくくる。その瞬間、福田さんにも、視聴している側にもサッと霧が晴れる感覚がうまれる。

キャバクラ特有の価値観において容姿端麗とされつつどこかネジが外れた暴走列車的な挑戦者、はろーあにーさん(第7回)に対しても、進撃のノアはこう発言している。「キャバクラには向いてないのかな。どっちかというと不向き」としながら、「性格がめちゃくちゃ良すぎるので、それがバレてるっていうのがキャバクラに向かないなっていう。本当に性格がいいです」と、虚勢を張りまくって過激なキャラと化していた彼女の根幹にある心根の良さを見抜き、寄り添った。そのとき、暴れ馬と化したはろーあにーさんが一瞬“素”になるのが衝撃だ。その絶妙な表情の変化をぜひ目撃してほしい。

進撃のノアのインスタグラムはフォロワー65万人超。

この番組では、審査員であるスターキャバ嬢12〜14名のうち9名以上が「合格」を出せば1000万円(の美容整形費用)獲得となる。第8回目、進撃のノアの愛弟子・るなは挑戦者に「不合格」を突きつけながらも、「わざわざ1000万っていうお金をかけて整形もしなくていいし、そこにすがらなくて良くて。それだったら、なんか一生懸命自分でできることを頑張ってほしいなっていう気持ちも込めて。ここで頼ってしまったら、あなたはずっと頼っていっちゃう人生になるんじゃないのかなって」と語った。これまで幾度と壁を乗り越えてこなかった挑戦者のゆなさんは涙を流す。るなは同い年という共通点とともに寄り添いながらも、真摯に彼女の努力不足を指摘したのである。

対人関係において他者に何かを指摘したり、負の言葉を投げかけるタイミングは少なからずやってくる。部下へ物事を教える際にも必要だろう。親しい友人関係においても節目、節目で本音を伝えるべきシーンは訪れる。その際に、必ずいい部分にもフォーカスし、プラスとマイナスをぶつけてフラットな「0」地点にするのはひとつのテクニックかもしれない。計算してやることではないかもしれないけれど、心に留めておいて損はしないだろう。

天空を舞う鳥のごとく。「バードアイ式」で客観性を育てる

かつては銀座のクラブが水商売においてのトップとされてきた印象だが、コロナ禍以降はキャバクラの勢いが上昇中だ。SNS等を駆使してインフルエンス力を身につけたキャバ嬢が増加し、以前よりも大きな金額を動かすビジネスへと変化を遂げている。初回の冒頭シーンでは司会者のローランド(元トップホストで現在は実業家)が「億女の方は何人くらいいますか?」と審査員たちに質問。14名中5名が挙手。ある一定期間で1億円を単独で売り上げるキャバ嬢を「億女」と呼ぶことが解説されている。「CLUB REIMS」のHIMEKAは2023年に3日間で5億円を売り上げたことを明かし、「VENET TOKYO ROPPONGI」のれみれみはたった1回のシャンパンタワーがひとりの客による1億円のタワーだったと激白した。価値観崩壊である。

そんな、華やかできらびやかなキャバ嬢。しかし、実際は過酷な職業だ。「キャバクラという場所で働いてきて、騙されるような場面がたくさんあった」とるなは語り(第8回)、基本的には今も他者に対して疑心暗鬼であるという。同回でセクハラが日常茶飯事であることを明かしたゆいぴす(LIRIC TOKYO ROPPONGI)は、かつて鬱と診断されながらも店に立ち、「自分がどれだけ病んでいようが、お客様を笑わせなきゃいけない。自分の傷を売りにしているうちは、本当の意味で夜の世界で輝くことはできないと思います」(第2回)と挑戦者に本音を打ち明けている。これらの発言からも想像できる通り、蝶として崇められながらも、どこかツールのように扱われる場面もあるキャバクラでの業務。それに対しての対価、と割り切り、威風堂々と等身大の姿で戦うスターキャバ嬢たちには高濃度の客観性が備わっている。

無駄遣いをしない質素な暮らしにも注目が集まる、るなのインスタグラム。

第12回目の挑戦者、帰国子女でインテリアデザイナーの月城さんに対して、「キャバクラに来るお客さんって見栄張りたい、見下したい人が多い。自分より高学歴だと受けが良くないのかも」(POSEIDON CLUB SHINJUKU・ねおまる)、「キャバ嬢が憧れるような肩書き(職業)がたくさんあって、(キャバ嬢に)なる必要がない」(JUNGLE TOKYO・ヤマトリノ)と、さっぱりした思想が連打される通り、彼女たちは強い主観を持ちながらも、ほかの世界へと視野を広げた視点を備えている。そして、キーパーソンとなる“るな”は、「私はここの席に座るまでに、すごく泣いて、すごくしんどい思いをして、一生懸命頑張ってきた」と自らの職業の過酷な現状を説明しながら、月城さんが目指す起業へのプロセスにわざわざ水商売を選ばなくてもいいのでは? とアドバイスをする。そこには「なめんなよ」というプライドも見え隠れする。

審査員の中にはスターキャバ嬢であることである種“プリンセス化”し、筆者の感覚においてやや他者を下の位置に見ているのではないかと思わせる人もいるけれど、それとは逆に、るなのように自分以外の職業やさまざまな状況に対してフラットな視点を持ち、自らの職業のデメリットと向き合い、それを言語化できる能力は素晴らしい。これを気にしておくだけで、さまざまな職業の方々と話すときにそれぞれのチャームを発見することができそうだ。結果、客観性を育てていくことにもなる。ちなみにるなは元保育士だ。

善は伝染する。広がっていく「ポジティブ波動」

初回に比べ、回を重ねるごとに陰気なムードが払拭されてきた『LAST CALL』。審査員たちは手もとのスマートフォンで本音をツイートできるシステムがあり、そこで挑戦者に対して救いようのないコメントが続くこともあった(動画アップ時に挑戦者は知ることとなる。残酷だ)。しかし、前出の進撃のノアによる母性と諭す力、るなの等身大の寄り添い力が変化をもたらしている。

第2回目の挑戦者、全身ブラック、漆黒のおかっぱヘアの葉山さんに対してあっすん(BAR GURI)は、「負のオーラがすごい」「髪型とか格好がもう、ほぼ幽霊みたい」と追い詰め、「四捨五入したら幽霊」とトドメを刺す。そんな逃げ場をなくした葉山さんに対して、進撃のノアは「私は逆に心を打たれました」と発言。続けて「可愛くなったら、内面から自信が出ると思うから、そういう表情をぜひ鏡で見てほしい」と、整形した造形ではなく、それをきっかけに滲み湧くコンフィデンスこそ美しいという考えを述べた。かつてセックスワーカーとして風俗店に所属し、そこで暴力を受け監禁までされた挑戦者にとって、その価値観はきっと救いの手であっただろう。

誰かが場を険悪にしたら、同じ話題だったとしても真逆の切り口で景色を一転させる。するとその心地よさは伝染し、ポジティブな雰囲気が構築されていく。実際、『LAST CALL』の辛口陣たちは救いの手を差し伸べる発言も増え、まさに“叱咤激励”の黄金バランスが完成しつつある。それは初回から順に視聴していると一目瞭然だ。前向きな言葉はポジティブな波動となり、居心地のいい環境を作っていく。で、先日さっそく実践してみた。とある同業者が息をするようにこっそりと他人を悪く言うので、「でもあの人はめちゃくちゃ親切ですよね」と補足し、さらに、愛犬との朝の散歩の詳細を語り、その場の邪気を自分なりに払ってみた。意識的にやったことはなかったが、理詰めでやるのもなかなかいい。ちなみに、体の内側には進撃のノアを召喚していた。

――と、3つの観点で『LAST CALL』を分析した。「歯が100本抜けるくらいしんどいことだってある」(第14回)とるながユーモアを交えながら吐露するように、想像を絶するほどストイックなキャバクラシーン。美容整形をかけたオーディションという前代未聞の仕立てではあるけれど、そこには、他者にどう心を寄せていくかの工夫が垣間見られ、非常に学びは多い。まずは北新地のレジェンド、進撃のノアと、2026年2月に見事“億女”となり、今後伝説を作っていくであろうるなに着目して視聴するのもおすすめだ。

『LAST CALL / ラストコール』
毎週日曜21時よりYouTubeにて配信中

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