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受取人「ごめんなさいー!」時間指定の“代金引換”の荷物を届けると…在宅しているのに渡せなかった“理由”に「頭が下がる思い」

  • 2026.5.16
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さまこんにちは。元宅配員のmiakoです。

注文した荷物が届く日、家にいたはずなのに受け取れなかった。
そんな経験をされた方はいらっしゃいませんか?

在宅していれば必ず受け取れる、というわけではありません。
生活している以上、誰にでも「その瞬間だけはどうしても手が離せない」事情は発生します。

宅配員として働いていた頃、インターホン越しに伝わってくる声や状況から、その家に何が起きているかを察することが何度もありました。

今回は、そんな現場でのエピソードをお届けします。

声だけで状況を察した日

私が担当していたエリアは山間地帯にあり、公共交通機関よりも自家用車が生活の足になる地域でした。
大人の人数だけ車があるほど、車が生活必需品となっている場所です。大人の人数だけ車があるような、車が生活必需品でもある地域です。
そのため、家に車が停まっているかどうかが、在宅を見分けるひとつのポイントにもなっていました。

ある日、16時から18時の時間指定でA様へお届けに向かいました。
荷物は代金引換のものです。

代金引換のお荷物は、確実にお渡しできるよう、事前にお電話をしてからお伺いするようにしていました。
私の場合、前のお客様への配達を終え、車に戻った後に電話をしていました。

時計は16時25分を示していました。
伝票の番号に電話をかけましたが、10回ほどコールしても出る気配がなかったため、電話を切り、直接向かうことにしました。

A様のお宅に着くと一台の車が停まっていて、ご在宅だと思いました。

この時の時刻は16時30分。
A様の家には小さなお子様が二人いたと記憶しています。

ちょうど帰ってきたばかりか、夕飯の支度で忙しい時間かもしれないと思いながら、チャイムを鳴らしました。しかし、反応がありません。

1分ほど待ってもう一度チャイムを鳴らし、声もかけましたが返答がありませんでした。
仕方なく不在票を投函しようとしたその時です。

「はーい!」

慌てたように、インターホンから声がしました。

「すみません、宅配便です」
「あっ!もしかして代引きですか?」
「そうです」
「ごめんなさいー!ちょっと子どもをお風呂に入れてて…」

私自身も主婦だったこともあり、状況は一瞬で頭に入ってきました。
お風呂の後の身支度は、簡単には済ませられません。
子どもたちのお世話もまだあることでしょう。

そんな状況の中、慌ててインターホンまで出てきてくれたことに、ありがたさと申し訳なさが同居しました。

「それでは18時以降に改めてお伺いしてもよろしいですか?」
「その方が助かります!でも寝かしつけもあるので20時までに来てもらえるとありがたいのですが」
「承知しました。ではまた後ほどお伺いいたします」

不在票は投函せず、伝票に時間変更の指示を書き込んで一旦A様宅を後にしました。

小さなお子様がいるお宅の夕方は、食事の支度だけでなく、お風呂や寝かしつけと、次々とこなさなければならないことがあります。
その忙しい時間の中で対応してくださったことに、頭が下がる思いでした。

その後、18時過ぎに改めてお伺いして、無事にお届けすることができました。

お孫さんが橋渡しをしてくれた日

別のお客様のところへ伺った時のことです。

B様のお宅に行くと車があったので在宅だと思い、チャイムを鳴らしました。
しかし返事がありません。
声をかけ、もう一度チャイムを鳴らしても、お返事がありませんでした。

それでも、家のどこかから子どもの声が聞こえます。
見えない位置で窓が開いているかのような、はっきりとした声でした。

しつこいかなと思いながらも、最後にもう一度、とチャイムを鳴らして声をかけた時、砂利の上を歩く足音が近づいてきました。
音の方を見ると、小さな男の子と目が合いました。

「バァバー!だれか来たー!」

私と目が合ったことで驚いたのか、男の子は玄関から裏の方へ走って行きました。
すると今度は、「えー?なにー?」と話をする女性の声が足音とともに近づいてきました。

「こんにちは、宅配便ですー」

声をかけると、家の角から60代くらいの女性が先ほどの男の子と一緒に顔を出しました。
二人とも、両手に土がついています。

「え?あら、ごめんなさい!庭に居て気づかなかったわ。うちに荷物?」
「はい。〇〇様宛のお届け物です」
「パパのだ!」
「そうね。でも…どうしましょう。今、庭でお花植えてたから手が泥まみれなの。そこに置いといてくださる?手を洗ったらすぐ入れるから」
「かしこまりました」

お客様の了承を得て、荷物を置いてその場を後にしました。

チャイムは家の中で鳴り響きますが、屋外にいると聞こえにくいものです。
お孫さんが気づいて知らせてくれなければ、在宅でも不在票を入れるところでした。作業に夢中になっている時や、お子様やお孫さんの相手をしている時は、

音や声を聞き逃してしまうこともあります。

この日は、お孫さんのおかげで無事にお届けできました。

テレビの音が聞こえるのに、返事がない。そのわけは

またある日、C様のお宅へ伺った時のことです。
日中は80代くらいのおじいさまがお留守番をされているお宅でした。

普段は庭で作業をされているのですが、この日は着いた瞬間から、玄関の隣の部屋でテレビの音が聞こえました。
早速チャイムを鳴らしましたが、お返事がありません。

声をかけても反応がありませんでした。
窓は網戸になっていて、テレビの音がしっかりと漏れ聞こえます。

お天気キャスターが明日の天気を伝えています。CMに入り、一瞬無音になったタイミングで大きく声をかけてみましたが、それでもお返事は返ってきませんでした。

仕方なく不在票を投函して、一旦持ち戻りました。

夕方、C様のご家族様から電話がかかってきました。

「昼間来てもらったけど、おじいちゃんいなかったかしら?」
「いえ、多分いらしたと思うのですが、お返事いただけませんでしたので、不在票を入れさせていただきました」
「ごめんなさいね。もしかしたらおじいちゃん、テレビ見ながら寝ちゃってたかも。最近耳も遠くなり始めててね。二度手間かけさせてしまって申し訳ないけれど、この後ならいつでも大丈夫なので再配達お願いします」

事情を聞いて、納得しました。
眠っていたのであれば、いくら声をかけても気づかないのも当然です。

むしろ、起こしてしまわずに済んでよかったとさえ思いました。

手を止めて受け取ってくれることへの、感謝

在宅であっても、チャイムが鳴っていても、すぐに対応できない状況は誰にでも起こりえます。

お風呂、庭仕事、うたた寝。
それぞれに、その瞬間の事情があります。

そのため、対面でお届けした際にはなるべく「お忙しいところありがとうございました」とお伝えして帰るようにしていました。

荷物を受け取っていただいて初めて、宅配員の仕事は完了します。
受け取るためには、それまでの作業の手を止めていただかなければなりません。

荷物が届いたら受け取るのは当たり前のことかもしれませんが、お客様の貴重な時間をいただいて仕事ができていると、いつも感じていました。

「お忙しいところ…」とお伝えすると、わずかに笑顔になってくださるお客様もいらっしゃいました。
これは「ありがとう」と言っていただくのと同じくらい、嬉しい瞬間でした。

置き配でのお届けが増えた昨今では、直接お顔を見てお届けする機会が以前に比べて減っています。
お客様にとっても宅配員にとっても、置き配はある意味で楽になりました。

しかし、荷物は人の手でなければ運べません。

インターホン越しのわずかなやりとりでも、声のトーンや言葉から伝わってくることはたくさんあります。

お客様と宅配員の間にある、そんな小さな交流が、これからも大切にされていく宅配の現場であってほしいと願っています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた"宅配のリアル"を、経験者ならではの視点で綴っています。 荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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