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年配女性「息子の代わりにお金を下ろしたい」→よくあるケースだけど…銀行員が対応を断ったワケに「信用してないの?」

  • 2026.6.6
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。くまえり銀行員です。

今日は、窓口で日々向き合っている“グレーな依頼”についてお話ししたいと思います。

銀行というと「ルールが厳しい場所」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。実際、その通りです。
ただ現場では、その“厳しさ”だけでは割り切れない場面が、想像以上に多く存在します。

一見ただのお願い。でも、違和感は突然やってくる

ある日、年配の女性が来店されました。

「息子が忙しいから、代わりにお金を下ろしたいんです」

通帳とキャッシュカード、そして暗証番号のメモ。一見、よくある光景です。

ですが、私はそのとき、ほんの小さな違和感を覚えました。

「ご本人様はいらっしゃらないのですか?」と確認すると、「大丈夫よ、頼まれてるから。早くして」少し強めの口調。焦り。視線の揺れ。

経験上、この“違和感”は見過ごしてはいけないサインです。

本来であれば確認が必要なケース。

本来であれば、第三者による引き出しには厳格な確認が必要です。
しかし現場では、こうしたケースに対して銀行の規約違反ですとストレートに言うことは、基本的にありません

理由はシンプルです。
・お客様を一方的に“疑う”表現になる
・クレームやトラブルに発展するリスクが高い
・本当に正当な代理の場合もある

つまり、「正しさ」だけで押し切ることができないのが現場です。そのため、実際にはこう言い換えます。

・「ご本人様の確認が必要な手続きとなっております」
・「安全確認のため、少しお時間をいただけますか」

遠回しで、曖昧で、もどかしい表現。でもこれが、現場で許されている“限界のライン”です。

内部ルールと現実の板挟み

銀行には明確なルールがあります。
しかし同時に、“現場判断”というグレーゾーンも存在します。例えば今回のケース。
・書類は一応揃っている
・委任状はない
・本人確認はできない
・だが強く拒否すればクレームになる

このとき私たちは、次の3つを同時に考えます。

・不正リスク(詐欺・トラブルの可能性)
・お客様対応(感情面のケア)
・自分自身の責任(判断の正当性)

正解は、ありません。あるのは「よりリスクの低い選択」だけです。

その場で下した判断

私は最終的にこう伝えました。

「本日はお手続きが難しいため、ご本人様に一度ご来店いただくか、お電話で確認を取らせてください」

案の定、お客様は不満そうな表情を浮かべました。「信用してないの?」この一言は、正直きついです。

ですが、それでも引くことはできません。

なぜならここで一度でも“例外”を作ると、それが事故につながる可能性があるからです。

読者の方へ伝えたいこと

銀行の対応が「融通が利かない」と感じる場面は多いと思います。
ですがその裏側には、こうした事情があります。

・家族でも、勝手な引き出しはトラブルの原因になる
・「頼まれた」は証明にならない
・正規の代理手続き(委任状など)が必要
・銀行は“疑っている”のではなく“守っている”
そして何より重要なのは、「手続きが面倒=リスクを防ぐ仕組み」だということです。

もしご家族の代わりにお手続きが必要な場合は、事前に『代理人カード』を作成しておくか、銀行所定の『委任状』をご用意いただくとスムーズです。ご来店前に一度お電話で確認していただくのが最も確実です。

あのとき守ったのは「お金」だけではない

窓口での判断は、毎回が小さな決断の連続です。
表には出ませんが、その裏では常に葛藤があります。

・断ればクレームになる
・通せば事故になるかもしれない
・でも説明できる言葉は限られている

その中で私たちが守っているのは、単なるお金ではありません。その人の生活、関係性、そして“後悔しない未来”です。

「なぜこんなに厳しいのか」

そう感じたとき、ほんの少しだけこの裏側を思い出していただけたら嬉しいです。


ライター:くまえり銀行員
金融機関の窓口業務に携わり、日々さまざまなお客様対応を経験。忙しい日常の中で起こりがちな銀行手続きの行き違いやトラブルを、窓口の内側から見た視点で、読者に寄り添いながら伝えています。「知らなかった」が「なるほど」に変わる瞬間を大切に執筆中


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