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家族「わざわざ伝える必要はないかと…」デイサービスに来た80代女性。介護士が“次々見つかる内出血”から見抜いた真相

  • 2026.6.7
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

デイサービスで働いていた頃、利用者の手にあった小さな内出血から、思いがけない出来事に気づいたことがありました。

その経験を通して感じたのは、介護において大切なのは情報共有そのものではなく、「何でも相談できる信頼関係」を築くことだということ。
利用者本人や家族との関わりの中で学んだ、信頼関係の大切さについてお話しします。

利用者の身体に見つけた「小さな変化」

これは、わたしが高齢者向けの通所介護施設(デイサービス)で働いていた頃の出来事です。

ある日、利用を始めて間もない80代の女性が施設へ来所されました。

慣れない環境に少し緊張している様子で、表情もどこか硬く見えます。

わたしはいつものように体調確認や血圧測定を行いながら、少しずつコミュニケーションを重ねていました。

その時、利用者の左手の甲に小さな内出血があることに気付きました。

高齢になると皮膚や血管が弱くなり、ちょっとした衝撃でも内出血ができることがあります。そのため、この時は「どこかに手をぶつけたのだろう」くらいに考えていました。

その日利用者は入浴予定だったため、体調に大きな変化がないことを確認し、お風呂へご案内しました。

ところが、入浴前に着替えのお手伝いをしている際に気になることがありました。

左肩と左腰にも内出血が見つかったのです。

ふと左手の甲を見ると、内出血の色味がよく似ています。しかも、どれも身体の左側でした。

「もしかして転倒したのではないだろうか」

そう考えたわたしは、施設の看護師へ報告し、改めて全身の状態を確認してもらいました。

その後、利用者本人にお話を伺うと、

「そういえば昨夜、自宅で転んじゃったの」

と静かに教えてくださいました。

ご家族の言葉から見えてきたこと

転倒した直後は痛みがなくても、時間が経ってから症状が出ることがあります。

そのため看護師と相談し、体調の変化に注意しながら短時間の入浴を行うことになりました。

幸い大きな問題はなく、入浴後も体調は安定していました。

その後、ご家族へ電話で状況をお伝えしたところ、

「昨夜転んだことは知っていました。でも本人も痛がっていなかったし、今朝も元気だったので、わざわざ伝える必要はないと思っていました」

というお話がありました。

わたしはその言葉を聞いて、ご家族を責める気持ちにはなりませんでした。

利用者がデイサービスへ通い始めたばかり、という現状を思い出したためです。

介護サービスを初めて利用する方にとっては、「どんなことを施設へ伝えればよいのか」が分からないことも少なくありません。

「これくらいなら大丈夫だろう」
「わざわざ連絡するほどではないかもしれない」

そう考えるのは、ごく自然なことだと思います。

今回の出来事は、まだお互いをよく知らない時期だったため、気軽に相談できる関係には至っていなかったゆえのものでした。

「こんなことでも相談していいんだ」と思える関係へ

わたしたちが利用者やご家族と関わる中で大切なのは、日々の様子を把握することだけではありません。
困った時や迷った時に、「こんなことでも相談していいんだ」と思ってもらえる関係を築くことです。

それは介護の現場に限らず、わたしたちの普段の生活でも同じなのかもしれません。

相手のことを理解しようとする姿勢や、お互いに話しやすい雰囲気であること。

そんな時人は初めて本音や不安を打ち明けられるものです。

利用者の手にあった小さな内出血は、信頼関係の大切さを改めて考えるきっかけを与えてくれました。


文:けいこ/介護福祉士・Webライター 

介護福祉士として10年以上、デイサービスや入所施設などさまざまな介護現場で経験を積む。現在も介護職として働くかたわら、Webライターとして活動。介護や暮らし、働き方について発信している。二児を育てるワーキングマザー。


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