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80代女性の意識障害での救急搬送…5月に自宅で倒れた理由とは…?救急隊員が警告する『夏本番前の盲点』

  • 2026.5.17
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。ライターのとしです。

熱中症と聞くと、真夏の屋外で起きるものという印象があるかもしれません。

ただ、実際の救急現場では、5月や6月の室内でも熱中症が疑われるケースがあります。

まだ暑さに体が慣れていない時期に起きた、高齢女性の救急要請でした。

娘さんが自宅で倒れている母親を発見

今回の要請は、80代女性の意識障害によるものでした。

女性は一人暮らし。通報したのは、自宅を訪れた娘さんです。

家に入ると、母親が居室内で倒れていたとのことでした。

呼びかけても反応がはっきりしない。
意識ももうろうとしている。

驚いた娘さんが、すぐに救急要請をした流れです。

その日はまだ5月中旬で夏本番ではありませんでした。ただ、気温と湿度が高く、じっとしていても蒸し暑さを感じる日でした。

暑さに慣れていない時期は、真夏ほどの気温でなくても体調を崩すことがあります。

締め切られた部屋にこもっていた熱

現場に到着すると、家は締め切られていました。

窓は開いておらず、空気の流れもほとんどありません。

居室内に入った瞬間、かなり暑い。

外の気温以上に、部屋の中に熱がこもっている印象でした。

さらに気になったのが、女性の服装です。

暑い室内にもかかわらず、比較的厚着をしていました。

高齢の方は、若い人よりも暑さを感じにくいことがあります。

「まだ夏ではないから大丈夫」と思い、服装や室温の調整が遅れることもあるんです。

女性に接触すると、体温はかなり高い状態でした。

皮膚も熱く、体の中に熱がこもっているような感覚がありました。

意識状態がはっきりしない危険な状態

女性は呼びかけに反応はあるものの、受け答えははっきりしません。

自分の状態を説明できる様子ではなく、意識はもうろうとしていました。

血圧や脈拍などを確認しながら、全身状態を観察します。

室内の暑さ。厚着。体温の高さ。そして意識状態。

これらを合わせて考えると、熱中症の疑いが強い状況でした。

熱中症は、軽いめまいやだるさだけで終わるとは限りません。
体温が高くなり、意識に影響が出ることもあります。

娘さんが訪問していなければ、発見が遅れていたかもしれません。

一人暮らしの高齢者では、そこが大きな怖さでもあります。

熱中症疑いとして医療機関へ搬送

女性の状態から、現場で様子を見るだけでは危険だと判断しました。

熱中症疑いとして、医療機関へ搬送することになります。

搬送中も、意識状態や呼吸、脈拍などを継続して確認しました。

呼びかけへの反応がはっきりしない状態は続いていましたが、搬送中に大きく状態が崩れることはありませんでした。

医療機関に到着後は、現場の状況や室内環境、発見時の様子、バイタル、服装、体温の高さなどを伝えました。

無事に引き継ぐことができ、娘さんも少し安心した様子でした。

まだ夏本番ではない。家の中にいる。外で激しく動いていたわけでもない。

それでも、条件が重なると熱中症は起こります。

夏本番前でも室内の暑さには注意が必要

この現場で強く感じたのは、熱中症は気温だけで決まらないということでした。

室温、湿度、風通し、服装、年齢、体調。

いくつもの条件が重なることで、室内でも危険な状態になります。

特に高齢者は、暑さやのどの渇きを感じにくい場合があります。まだ大丈夫、と冷房を使うことに抵抗があったり、厚着のまま過ごしていたりすることも珍しくありません。

5月や6月は、体が暑さに慣れていない時期です。

湿度が高く、部屋を締め切った状態が続けば、体に熱がこもります。

一人暮らしの場合、周囲が気づいた時には状態が悪くなっていることもあります。

暑さが本格化する前から、室温や湿度、服装をこまめに確認する。

離れて暮らす家族がいる場合は、電話や訪問の時に部屋の暑さも気にかける。その小さな確認が、大きな差になると感じた現場でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。

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