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駅員「明確なルール違反です」始発から『座席を確保』するために“不審な動きをする乗客”→定期券没収のケースも

  • 2026.5.18
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

今回は、私が駅員時代に体験した「お客さまの不審な挙動」をご紹介します。うっかりルール違反をしている方もいるかもしれないので、ぜひ確認してみてください。

終点到着、しかし…

列車が終点に到着すると、お客さまはみんな列車を降ります。途中駅での停車と違って降りそこなう心配がないからか、終点では譲り合いながら余裕を持って降りる方が多い印象です。終点まで居眠りしてしまった経験のある方もいるでしょう。

終点に着いた列車は車庫に入ったり回送になったりしますが、折り返して別の行き先の列車として運転する場合もあります。ホームで折り返しの列車を待っていたお客さまには、車内のお客さまが降りるのを待ってからご乗車いただきますが、まれに列車から降りない方がいます。

その理由はいくつか考えられるでしょう。たとえば眠っていたり音楽を聴いていたりして、終点に着いたと気づいていないケース。

あるいは隣の駅から反対方向の列車に乗るつもりが間違えて乗ってしまったため折り返そうとしているケース。そして、始発駅から列車に乗るためにわざと隣の駅から乗ってきたケースです。

なぜ逆戻りを?

1駅分の逆戻りをあえて行う理由はなんでしょうか。このようなケースは、乗車人員の多い都心部に多いと感じます。乗客の多い路線は始発駅を出発する時点ですでに混雑しており、2駅目から乗っても座席に座れない状態になっていることが多いのです。

そこであえて逆方向の列車に乗って終点に行き、自分以外の乗客が降りて折り返し列車の乗客が乗り込んでくるまでの間に自分の席を確保してしまおう、というわけです。

ホームから見ていると、下車していないお客さまはすぐに見分けられます。ホームで待っていたお客さまが列車に乗るよりも早く座席に座っているのはよく目立つためです。駅員だけでなくほかのお客さまにも一目瞭然なようで、ご意見にもつながっています。

実は明確なルール違反

「こっちがずっと待っていたのに、折り返す前から列車に乗っているなんてズルい!」

と感じる方も多いでしょう。もしかすると、乗っている方々は

「いいライフハックを見つけたぞ。この駅ではどうせ降りないんだし、降りる駅のきっぷはちゃんと買ってあるから問題ないもんね」

と考えているのかもしれません。

しかし、これは「ズルい」「ズルくない」どころの問題ではなく、明確なきっぷのルール違反です。基本的に、きっぷは乗車する経路通りに買わなければならず、また、1枚のきっぷで重複する区間を通ることはできません。

もし、どうしても始発駅まで戻りたいなら乗車駅から始発駅までのきっぷと、始発駅から下車駅までのきっぷの2枚が必要です。また、折り返し列車に継続して乗車する場合も、マナーとして一度ホームに降りたほうがいいでしょう。

不正乗車のペナルティ

不正乗車が判明し、かつ悪質と判断されたときにはペナルティがあります。支払われていない区間の正規運賃をいただいたうえ、追加でその2倍の増運賃をいただくというものです。つまりは、3倍の運賃を支払っていただくことになります。

定期券で日常的にこの不正乗車を行っていれば、定期券の没収などさらに厳しい制裁がある場合もあります。

厳密にはさまざまな例外もありますが、原則としてきっぷは経路ごとに運賃が異なります。そのため、仮に乗車駅と下車駅が同じでも利用する経路に合ったきっぷを買う必要があるのです。

これは鉄道会社の収入を確保するためでもあり、正規にきっぷを買っているお客さまの利益を守るためでもあります。駅員の立場からしても、ルールに明文化されているため「この利用方法は違反です」と案内しやすかった記憶があります。

間違えたときも一度改札口へ

JRをはじめとする多くの鉄道会社には、行き先を間違えて乗車してしまった際に、駅員に申告して認められれば元の駅まで戻ることができる『無賃送還』などの特例ルールが用意されている場合があります。

ただし、間違えて乗車したと気づいたあとに「まあ、無賃送還のルールがあるしな」と自己判断で折り返し列車の車内にとどまってはいけません。ほかのお客さまから見れば「あいつ、不正乗車をしているぞ!」と思われてしまいます。

無賃送還はあくまで駅員がお客さまの乗り間違いを確認したあとに「では、次の列車に乗っていいですよ」と適用するものです。乗り間違えたときは列車を降りて改札口の係員に申告してください。


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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