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「インフレで現金は目減り→今すぐ不動産を買え」SNSで広がる“発信”に不動産15年プロが物申す

  • 2026.5.24
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年で宅地建物取引士やマンション管理士の資格を持つ西山と申します。SNSや動画メディアでは「インフレで現金は目減りするから今すぐ不動産を買え」「賃貸はもったいない、早く買うほど得」といった発信を目にすることが増えました。将来への不安から、焦りを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし「不動産はインフレに強い」という言葉は、すべての物件にそのまま当てはまるわけではありません。今回は、この言葉の前提を整理したうえで、自宅購入を検討する際の判断軸についてお伝えします。

「インフレに強い」が当てはまるのは一部の物件だけ

国土交通省「不動産価格指数」によると、全国のマンション(区分所有)の指数は2025年10月時点で223.7となり、2010年と比較して2倍以上の水準に達しています。一見すると、不動産はインフレに強いように思えます。

ただし、この上昇は全国平均の話です。首都圏の中心部や都心のタワーマンションが大幅に値上がりした一方、郊外のバス便エリアや地方ニュータウンの築古戸建ては事情が違います。インフレ下でも横ばいから下落傾向にあり、買い手がつきにくい状況も珍しくありません。

「不動産はインフレに強い」という言葉は、立地と需要が伴う一部の物件に当てはまる話であって、どんな物件を買っても通用するわけではないのです。

保有コストがインフレヘッジを相殺するケースも

仮にインフレヘッジを目的として購入したとしても、マンションを保有すると管理費や修繕積立金、固定資産税といったランニングコストが毎年発生します。物件規模にもよりますが、これらの合計は年間数十万円規模に上るのが一般的です。

インフレで現金の価値が年2%程度目減りしたとしても、保有コストがそれを相殺してしまうケースもあります。さらに住宅ローンの金利上昇リスクや将来の修繕一時金、ライフイベントに伴う住み替えコストなど、購入後に向き合う負担は決して小さくありません。

「インフレヘッジ」という単純な目的だけで購入判断を下すと、想定外のコストに直面することがあります。

自宅購入で大切なのは「家族の生活に合うか」

ご自身や家族が暮らす自宅として購入するなら、最も大切なのは「家族の生活に合う物件か」という視点です。インフレヘッジや資産価値の話に引きずられて、実際の生活と合わない物件を選んでしまうと、毎日の暮らしの満足度が大きく下がります。

物件を検討する際は、以下のポイントについて、実際に現地を歩いて確認してください。

  • 通勤・通学の動線
  • スーパーや病院などの生活利便施設
  • 子育て環境

あわせて、自治体のホームページで人口の推移や再開発の計画を見ておくと、10年後の街の姿をイメージしやすくなります。SNSで見かける「今すぐ買え」という強い言葉に焦る前に「家族の暮らしに合う物件なのか」を長期的な視点で検証してみてください。

参考:不動産価格指数(国土交通省)



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士・日商簿記2級などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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