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「壊したわけじゃないのに…」賃貸の換気扇を“知人”に直してもらった30代男性→退去立会いで発覚した“痛恨のミス”

  • 2026.5.23
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

賃貸に住んでいて、換気扇やエアコン、水回り設備などが壊れた際に「これくらいなら自分で何とかできそう」「知人に頼めば安く済む」と考えた経験はないでしょうか。特に生活に直結する設備は、不便さを早く解消したくなるものです。

しかし実際の現場では、よかれと思って行った“善意の修理”が、退去時に大きなトラブルへ発展するケースがあります。

今日は、知人に設備修理を依頼したことで、最終的に15万円超の原状回復費用を請求されてしまった30代男性の実例をご紹介します。

「壊したわけじゃないのに、なぜ?」

そう感じた男性でしたが、賃貸では“勝手に直す行為”そのものが問題になる場合があります。

「管理会社へ連絡するのが面倒」で始まったトラブル

これは、私が賃貸管理の現場に携わっていたころの話です。30代男性のAさんは、築浅の分譲賃貸マンションに住んでいました。

ある日、浴室換気扇から異音が発生します。最初は小さな音だったそうですが、徐々に「ブォーッ、ブォーッ」という大きな音に変わり、夜になると気になって眠りづらいほどだったそうです。

ただ、Aさんは仕事が忙しく、管理会社へ連絡するのも面倒だと感じていました。そこで相談したのが、設備関係の仕事をしている知人です。

知人は換気扇を見るなり「これ、部品交換すればすぐ直るよ」と言い、その場で修理を実施。

数時間後には異音も消え、Aさんはほっとしていました。実際、当時のAさんに悪気はまったくなく、むしろ「安く済んで助かった」「わざわざ管理会社を通さなくて正解だった」くらいに感じていたそうです。

しかし、この判断がのちに「15万円超の退去トラブル」へ発展することになります。

退去立会いで発覚した「無断修理」の問題

問題が表面化したのは、退去立会い(退去時に室内状況を確認する作業)のときでした。

管理会社の担当者が浴室設備を確認した際「あれ…これ、純正部品じゃないですね」「もしかしてご自身で交換されました?」と気づいたのです。

さらに確認すると、次のような問題が次々と発覚しました。

  • メーカー指定外の部材が使用されていた
  • 施工履歴が残っていない
  • 誰が修理したか不明
  • 保証対象外になっている可能性がある

担当者はAさんへ「設備不具合は、管理会社指定業者で対応する契約になっています」と説明。Aさんは「え?でも壊れてたから直しただけですよ?」と反論しました。

しかし、賃貸借契約書にはしっかりと以下の条項が記載されていたのです。

「無断工事・無断改造禁止」

特に換気設備や給湯器、エアコンなどは、火災や漏電リスクとも関係するため、管理会社側も非常に慎重になります。結果として管理会社は「安全確認が取れない以上、設備全体交換が必要」と判断。

最終的に、以下の費用などを含め、15万円超の請求になってしまいました。

  • 換気設備交換費
  • 天井復旧工事費
  • 点検費用
  • 管理対応費

Aさんは「親切でやっただけなのに…」とかなりショックを受けていました。

「壊したわけではない」は通用しない現実

実は、こうしたトラブルは決して珍しくありません。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、借主の過失や善管注意義務違反、通常の使用を超える使用による損耗・毀損については、借主負担になる考え方が示されています。

参考:国土交通省|「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

今回のケースでは、借主側が管理会社へ無断で設備修理を行ったことで、施工内容が不明な状態になっていました。その結果「誰が、どのような部品で、どのように修理したのか分からない」となり、管理会社側でも設備保証や安全性の確認ができなくなってしまったのです。

さらに怖いのは、設備保証や火災保険との関係です。例えば、

  • 指定外部品の使用
  • 無資格施工
  • メーカー保証対象外
  • 漏電や火災発生時の責任問題

などにつながる可能性があります。実際、管理会社側から見ると「誰が、どのように工事したか分からない設備」は非常にリスクが高い状態です。

Aさん自身は「数千円で済ませたかった」という感覚だったそうですが、結果的には換気設備交換費や天井復旧費、点検費用などを含め、15万円超の高額な負担となりました。

さらに、退去精算でも揉めたことで、返金予定だった敷金も相殺。引越し直後の新生活資金まで圧迫され「安く済ませたかっただけなのに…」と強く後悔していたそうです。

賃貸設備は“勝手に直す前”の確認が重要

今回のケースで最も重要だったのは「修理する前に管理会社へ連絡する」という一点です。

賃貸設備が故障した際は、まず次を確認してください。

  • 設備は誰の所有物か
  • 貸主負担か借主負担か
  • 指定業者対応が必要か
  • 無断修理禁止条項があるか
  • 火災保険や保証対象設備か

特に築浅物件や分譲賃貸では、メーカー保証や設備保証が残っているケースも多く、勝手な修理が大きな問題につながることがあります。

また「知人だから安心」という考え方も危険です。

設備故障時は、まず管理会社へ写真付きで連絡する。その一手間が、数千円を節約したつもりの判断を、十数万円の高額請求へ変えないための大切なポイントです。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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