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『プラダを着た悪魔2』来日インタビュー! メリル・ストリープ×アン・ハサウェイ、20年後の本音

  • 2026.4.20
(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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『プラダを着た悪魔2』のグローバル・プロモーションツアーで来日したメリル・ストリープとアン・ハサウェイ。ふたり揃っての来日は初めてながら、劇中のミランダとアンディ同様に20年の空白を感じさせない、息の合った姿を披露した。男性優位のハリウッドを生き抜き、第一線で活躍し続けるメリル。彼女の一言一句、逃さぬよう、憧れと尊敬の眼差しで見つめるアン。緊張をほぐすようにメリルが惚けた冗談を言うと、アンはお馴染みのビッグスマイルで声をあげて大爆笑し、その威厳と愛らしさの構図は、校長先生と自慢の卒業生のような師弟関係を思わせた。

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20年の過渡期を、主人公ふたりがどう生き抜いてきたか

ELLE 20年ぶりの続編とは思えない『プラダを着た悪魔2』('26)ですが、20年の変化は実際、どんなところに感じましたか。

メリル(以下、M) 1作目の時はまだスマホがなかったですから、現在のようにみんなが四六時中iPhoneをいじっているような環境は想像もできませんでした。あらゆるビジネスがスマホの誕生で変わったと思います。ファッション、エンタメ業界もジャーナリズムも激変しています。そんな激動の時代をミランダのようなトップにいる人間はどう生き抜いてきたのか。しかも彼女の肩には多くの人の生計がかかっています。今回のミランダは順風満帆というわけにはいきません。2作目の脚本はそういった社会問題も意識して描かれています。実は脚本は2年前に書かれたものなんですけど、今の社会がその通りになってきていて、驚いているんです。作品を見てもらえれば、わかっていただけると思います。

アン(以下、A) 私が最初にアンディを演じた時は彼女がまだ若くて、今日のようなデジタル革命が起きる前のことでした。社会の進化とともに彼女のキャリアが築かれてきたと思うと、感慨深いですね。この20年、いろんなことがありました。どんなことが起きて、生活にどんな影響をもたらしたのか。今こそ、しっかり見つめるべきタイミングなのかなと思います。『Burn Book』という本でデジタルジャーナリストのカ−ラ・スウィッシャ−が書いている見解が実にわかりやすくて、面白いので、おすすめします。これからはAIが活躍します。私たちが今後、AIとどう付き合っていくのかを考えなければなりません。自分の進むべき道だと思っていたら、全然、違っていた。そんな風に人間は何度も同じようなことを繰り返すものなのかもしれません。その点、アンディはどこにいても希望を捨てません。ポジティブ思考で、私の周りになかなかいないタイプです。もしかしたら映画ならではのキャラクターなのかもしれないけれど、今回もやっぱり素敵なキャラクターに描かれています。

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「現場で、メリルはレアキャラだった」――アン・ハサウェイ

ELLE 20年ぶりに共演した、お互いの印象はどうですか。

M アニーは明るくなったと思います。自信に満ち溢れて、全然、私を怖がってくれなくなってしまって(笑)。1作目を撮影し始めた時、周りのみんなとすぐに打ち解けて、噂話などして、和気藹々といい雰囲気だったんです。スタンリー(・トゥッチ)もエミリー(・ブラント)もとてもいい人たちですから、心地いいグループでした。私だって楽しく撮影するのは嫌いじゃないです。でも、そのうちにミランダとして、やりにくさを感じるようになりました。自分のトレーラーに戻って、はたと考え込んでしまった。それで、空き時間はニュースを見るようにして、みんなとは距離を取るようにしました。何せミランダはトップの人間ですから、孤独でいい。私はメソッドアクターではないから、気楽ではなかったけれど、効果はあったと思います。でも、今回は全く違いました。

A 確かに一作目の撮影の時はほとんどの時間をミランダと過ごして、たまにメリルが顔を出すといった感覚でした。メリルはレアキャラだったんです。でも今回はずっとメリルと向き合って、しっかり撮影できたと思います。最高でした。

ELLE 今回は距離を置かずとも役作りできたということでしょうか。

M 今回のミランダは彼女らしさこそ、失ってはいないけれど、以前ほど堅物ではありません。内面は確実に変化しています。老眼鏡に頼らないと何も見えないですしね(笑)。ミランダは私と同じ76歳だと思っていて、ミランダと同じように企業のトップであるアナ・ウィンターさんも同い年です。彼女は日本でも有名な雑誌を数々、手掛けていますよね。幅広く仕事していて、ご本人はものすごい迫力です。彼女に話を聞いて、上に立つ人間は2歩も3歩も先を見ていなきゃならないんだと学びました。その信念は大切にしています。でも、最初の作品は原作がありましたけど、今回はオリジナルです。だから、アナ・ウィンターさんをそこまで意識しなくていいのかなと思いました。

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ELLE アンディはジャーナリスト志望の女性で、本作には社会的背景も描かれていますが、アンさんは脚本に関して、意見を取り入れてもらうようなところはありましたか。

A ありがたいことにデヴィッド・フランケル監督も脚本家のアライン・ブロッシュ・マッケンナさんもコラボレーション精神に溢れていました。この20年、アンディに何があったのか、進化していく世界で彼女がどう生き残ってきたのかなど、とことん話し合うことができました。自分がどれほど台本に貢献できたかはわかりませんが、最初の頃、書かれていた台詞を「アンディはこうは言わないような気がする」と言ったら、その後の台本では削られていました。ほとんどは見事に描かれていたので、私は喜んで演じることに集中していましたけど。

M それって、どんな台詞なの?

A 炎上するかもしれないので、後ほどこっそり教えます(笑)。

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ELLE ミランダやアンディ、エミリーの関係性も前作とは違っていますが、女性の敵は女性などと言われることもある中で、ふたりは女性同士の友情、絆とはどのようなものだと思いますか。

M 私は同性の友だちがいないと、生きていけないです。心から頼りにしています。6人グループで、18歳の時にヴァッサー大学で出会いました。ひとりは飛び級だったから、16歳だったけど。今でも年に2回は誰かの家に行って、数日、一緒に過ごしています。精神科医、人権の弁護士、主婦、ERの看護師をしている友だちは夜勤をして、4人の子どもをひとりで育てあげました。みんな性格も違うし、育ってきた環境も違うけれど、大好きです。残念ながら、刑務所で精神科医をしていた友だちは亡くなってしまったのですが、一緒にいるとあっという間に昔の自分に戻れる関係性です。私たちは本音で話せる仲だから、かなり手厳しいこともお互いにズバズバ指摘します。全員、負けず嫌いですしね。でも、親友ってそういうものじゃないかなって思うんです。

「女性同士、競わなくていい。皆が自分らしくいればいい。機は熟したのだから」――アン・ハサウェイ

A 『オーシャンズ8』(’18)に参加した時のことですが、クランクインした日は全員一緒のシーンだったんです。ヘアメイクのためにトレーラーに行ったら、そこに憧れの女優たちがずらりと並んでいて、みんな思い思いにヘアメイクをしている様子は壮観でした。その時、思い切り、のびのびしている自分に気付きました。これまでに関わってきた撮影の男女比とは明らかに違って、「そうか。男子は普段、こんな気分なんだ」と知りました。それがハリウッドなんです。彼らがメインで、女子はそうじゃない。でも、今は少しずつとはいえ、女性の場所が増えてきています。オリヴィア・ワイルドが「女性同士、仲良くできるはずなのに競わせるなんて、なんて上手いやり口なの」って言っていたけれど、私たちは誰も競わなくていい、皆が自分らしくいればいいんです。そこは本来、私たちの場所です。機は熟しました。すべて、うまくいくはずです。

M 『ソフィーの選択』(’82)で初めて日本に来た時、記者は全員、男性でした。逆にお茶を汲んでいたのはみんな女性でした。それが今ではどうでしょう? 今回、取材に来てくれるジャーナリストはほとんどが女性です。時代は変わっています。すごくいいことです。私は女性史博物館(National Women’s History Museum, NWHM)の理事をしているんですけど、女性で初めて役職に就いた軍人の方が「男性って女性に指示されるのが嫌いですよね」って言っていました。それが全てを物語っています。でも、どんどん良くなっています。みんなで頑張りましょう。

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「後悔はあまりせず、楽観的に。人生は短いですから」――メリル・ストリープ

ELLE 働く女性のバイブルと言われている『プラダを着た悪魔』('06)ですが、この20年を振り返ってみて、自分のキャリアのためにしていて、よかったことはありますか。

M 振り返ることが多すぎて、もはや時間が足りないです。現在、2歳から6歳まで、6人の孫がいて、ものすごく忙しいんです。幼い子は手がかかるし、一瞬も目が離せないので、集中していると、どっと疲れます(笑)。4人、子どもがいるのですが、どうやって育てたのか、もはや覚えていません。でも、みんな無事に素晴らしい人間に育って、一安心です。私自身、後悔はあまりしないようにしているんです。もちろんあることはあるんですけど、間違いを犯したとしても反省こそすれ、楽観的でいること。人生は短いですから。それが私の答えです。

A 私も近い考えです。後悔を引きずったりすることはないですね。どうしてそうなったのか、原因を自分で確認したら、後はもう前向きに進んでいくようにしています。この20年、忘れないようにしてきたのは若い頃に母がくれたアドバイスです。「幸運は自分がしっかり準備していた時に機会に恵まれるというふたつの出会いがもたらしてくれるもの」。才能ある監督とお仕事ができて、私は超ラッキーだと思います。もちろん、役者陣も秀逸なのはいうまでもありません(笑)。チャンスがやってきた時、自分の力を精一杯発揮できるよう、常に心がけています。

ELLE ふたりが仕事をする上でモチベーションにしていることはどんなことですか。

M 今、作品選びが大変楽しいんですよね。子どもたちは全員独立して、家族を養う必要もないですから、自分の裁量で決められます。第一に考えるのは世の中のためになるかどうかですね。文化、芸術に貢献できるかどうか。そうじゃないと判断したら、やりません。一見、お気楽な映画でも、伝えたいメッセージがなければ、やる意味がありません。今回は映画史上、最もニューヨークをハイヒールで走りまくる女性、アンディが見られます。ミランダも走ります(笑)。面白い脚本でなければ、参加しませんでした。孫との時間を割いてまでやるべきなのかどうか。それが今の私の判断基準です。

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A 毎回、全力を尽くして臨むしかないと考えています。役者として成功できる人はほんの一握り。しかも、何十年も続けられるなんて、本当に奇跡的な確率です。誰がどうなるかなんて、誰にもわからない。私だって、いつ、消えてしまうかわかりません。そんな時に「やっぱり。彼女、いい加減だったものね」なんて、一切、言われたくない。自分がコントロールできない理由なら諦めもつくけれど、努力は自分次第です。休む時は休んで、仕事には全身全霊を注ぎ込む。そして、今回のように一度組んだ人たちから再びオファーされたら、こんなにうれしいことはありません。それが私のモチベーションです。

Interview & Text : AKI TAKAYAMA

PROFILE
MERYL STREEP メリル・ストリープ

1949年6月22日米国ニュージャージー州出身。名門のヴァッサー大学で演劇を学び卒業後、イェール大学演劇大学院で演劇を専攻し、1975年に修士号(MFA)を取得。70年代に舞台とテレビでキャリアをスタート。1979年『クレイマー、クレイマー』でアカデミー助演女優賞を受賞し一躍脚光を浴びる。1982年『ソフィーの選択』でアカデミー主演女優賞を受賞し、その圧倒的な演技力で“現代最高の女優”との評価を確立。『プラダを着た悪魔』をはじめ、『マンマ・ミーア!』『ジュリー&ジュリア』『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』『ビッグ・リトル・ライズ』など数々の話題作で幅広い役柄を演じ続けている。

ANNE HATHAWAY アン・ハサウェイ

1982年11月12日米国ニューヨーク州出身。1999年にテレビシリーズでデビューし、2001年『プリティ・プリンセス』で映画初主演を果たす。2006年『プラダを着た悪魔』で世界的な知名度を獲得。2012年『レ・ミゼラブル』でアカデミー助演女優賞を受賞し、実力派としての地位を確立。『ブロークバック・マウンテン』『ダークナイト ライジング』『マイ・インターン』『オーシャンズ8』『WeCrashed ~スタートアップ狂騒曲~』など多彩なジャンルで活躍し、華やかさと親しみやすさを兼ね備えた存在感で人気を集めている。

映画『プラダを着た悪魔2』は20世紀スタジオ(ウォルト・ディズニー・ジャパン)にて5月1日(金)より日米同時公開。(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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