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ヴィンテージ家具で木の温もりをプラスした、35平米ワンルームの空間づくり。

  • 2026.4.18

都会の中心で自然を感じる。

玄関からの眺め。グレーのファブリックチェアは、グレーテ・ヤルクが手がけた一脚。食事もお茶も寛ぐのもここで。
ベッドの脇をワークスペースに。椅子はハンス・J・ウェグナーのPP502スウィヴェルチェア。

玄関ドアを開けた瞬間、3mを超える天井の高さと、それに合わせた窓の大きさに驚かされた。正面の窓の向こうは、一面、通りを挟んだ向かいの緑だけ。東京の代々木公園付近は、所々こんなふうに生い茂る緑を残した場所が点在し、その緑を借景として上手に取り込む部屋が少なくない。家主の小玉千陽さんは、賃貸物件を探すなか、この部屋に出合い、迷いなく入居を決めた。
「エリアや駅との距離、バス・トイレが別といった一般的な条件で探していました。でもこの開放的な空間を見て、条件が折り合わなくても住みたいと虜になってしまって」

狭さは、眺めや間取りで克服でき、開放感がいかに五感に作用するか、思い知らされたという。

間仕切りを兼ねた、備え付けのクローゼットを挟んで、縦長のスペースを玄関に対して奥を寝室、玄関側をリビングダイニングとして使う。クローゼットは大容量だが、上部が天井に届かないので圧迫感はなく、むしろいいアクセントになっている。

既に二度、契約を更新。部屋との付き合いが長くなるにつれ、自然の移ろいの中に日常があるということを強く意識するようになったとか。
「窓が大きいと、外の世界との距離が縮まって。日ごと、日の差し込み方が異なること。同じ野鳥がいくつもの声色を持つこと。夏は、秋に近づくにつれセミの鳴き声が移ろうこと。知っていたはずで忘れていたあれこれに、今さら気が付いて。何でもない毎日が愛おしくなりました」

無垢材の床の足触りがいいと思ったら、DIYで張ったものだそう。
「はめ込み式で敷ける〈toolbox〉の床材です。要所、丸鋸でカット。部屋への愛着が深まりました」

ヴィンテージ家具も集め始めた。
「スペースに限りがある分、妥協ができなくて。木の家具を中心にひとつずつ増やしています。スタイリッシュなものが好きだったのに、そうではない私の一面をこの家が教えてくれました」

窓は天井まであるが、上下別々にブラインドが付けられているので、遮光の塩梅を操作しやすい。「ベッドにこぼれる光と、一期一会の影がきれいなんです」
台所道具やグラスは吊るして収納。コンクリートブロックとステンレス仕様のオープンキッチンに立ち、部屋を眺めながら料理をするのが楽しいそうだ。
ハンス・J・ウェグナーの椅子3脚は、左から、FH1936、CH24、CH23。「座って、眺めて、時おり話しかけて。家での私を知る椅子は家族のようなもの」
モノトーンを基調としたモダンなワンルームにDIYや家具で木の温もりをプラスして今の雰囲気に。洗面スペースには天窓が。
出典 andpremium.jp
小玉千陽アートディレクター・デザイナー

デザイン事務所〈ium inc.〉代表。ブランド設計を軸に、WEBサイトやグラフィックを手がける。好きな家具を集めたオフィス兼撮影スタジオ事業も。

photo : Yuka Uesawa edit & text : Marika Nakashima

 

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