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ダイエット中のジャンクフード動画は食欲を抑制する

  • 2026.4.16
ジャンクフード動画で食欲が満たされる可能性 / Credit:Canva

ダイエット中なのに、つい見てしまう「美味しそうなスイーツ動画」。

見れば見るほど食べたくなる──そう思っていませんか?

ところがイギリスのブリストル大学(University of Bristol)の研究によると、ダイエット中の人は高カロリー食品の動画により強く引きつけられる一方で、視聴後にジャンクフードの摂取量が減る傾向が確認されました。

この研究は2026年3月10日に『Computers in Human Behavior』誌でオンライン公開されました。

目次

  • 「食べ物を我慢する人」はジャンクフード動画を視聴時間が増加するが、視聴後に摂取量が低下する
  • 視覚で「ダイエット中の食欲が満たされる」可能性

「食べ物を我慢する人」はジャンクフード動画を視聴時間が増加するが、視聴後に摂取量が低下する

これまで、食べ物の広告や料理番組の映像は、食欲を刺激して食べ過ぎを招くものと考えられてきました。

特に高カロリー食品の画像や動画は、ダイエット中には避けるべき誘惑だと見なされやすい存在です。

しかし心理学では、人は「食べないようにしよう」と強く意識するほど、かえってその対象を頭に思い浮かべやすくなることが知られています。

今回の研究は、まさにこの逆説的な状態に注目しました。

研究チームは、食欲を抑えようとする人が、実際にはどんな食品コンテンツを見たくなるのか、さらにその視覚的な関わりが本当に食行動に影響するのかを、3つの研究で段階的に調べました。

最初の研究では、参加者にフードブログ風の画面を見せ、健康的な料理動画と不健康な料理動画のどちらをどれだけ見るかを調べました。

ここでは、参加者が現在ダイエット中かどうかも尋ねています。

次の研究では、「ダイエット中かどうか」だけではなく、「食べ物のことを考えないようにしているか」という食欲抑制の傾向も質問紙で測定しました。

参加者は動画を自由にクリックでき、研究者はクリック数と視聴時間を記録しました。

そして3つ目の研究では、実験室で条件を操作し、視覚的な食品コンテンツが摂取行動とどう結びつくかをより直接的に調べました。

参加者の一部には、食べ物のことを考えないようにするよう指示し、別の参加者には自由に考えてよいと伝えます。

その後、健康的(低カロリー)なチョコデザート動画、または不健康(高カロリー)なチョコデザート動画を見せ、最後に出口付近のボウルから小さなチョコレートを好きなだけ取れるようにしました。

さらに、「食べたい気持ちが減ったか」「少し満たされた感じがしたか」といった質問にも答えてもらっています。

その結果、ダイエット中の人や食欲抑制の強い人ほど、不健康な食品コンテンツに強く引き寄せられる傾向がありました。

そして実験室では、食べ物を我慢していた人ほど、高カロリーのチョコ動画をよく見たあとに、実際に食べるチョコの量が少なくなる傾向が確認されました。

より詳細な結果を次項で見てみましょう。

視覚で「ダイエット中の食欲が満たされる」可能性

この研究の鍵になっているのが、「ある感覚で受けた刺激が別の感覚に関わる欲求を弱める現象」です。

今回で言えば、食べ物を「見る」という体験が、「食べたい」という欲求を部分的に満たしている可能性があります。

実験は、ダイエット中の人は、健康的な食品動画よりも不健康な食品動画のほうを多くクリックし、長く見ていました。

しかし非ダイエット群ではその差はほとんど見られませんでした。

また、食欲抑制の傾向が強い人ほど、不健康な食品コンテンツに引き寄せられやすいことも確認されています。

つまり、「我慢している人ほど、むしろ見てしまう」という傾向が、異なる測定方法でも一貫して見られたのです。

実験室の研究ではさらに踏み込んだ結果が得られました。

食べ物を考えないようにしていた参加者は、不健康なチョコ動画をより多く閲覧していました。

そして、その閲覧の度合いが高いほど、「見たことで満たされた感覚」や「食べたい気持ちの低下」が強くなり、それが実際のチョコレート取得量の減少と結びついていました。

この関係は、不健康な食品動画の場合に限って確認され、健康的な食品動画では同じ傾向は見られませんでした。

つまりこの研究は、「食べ物動画=食欲を刺激する」という単純な見方では説明できないことを示しています。

少なくとも、食欲を抑えようとしている状況では、人は食べる代わりに「見る」という形で欲求の一部を処理している可能性があります。

もちろん、この研究には限界もあります。

今回の結果は短期的な実験に基づくものであり、長期的なダイエット効果を直接示したものではありません。

また、参加者の多くは大学生であり、現実のSNS環境とは条件も異なります。

研究者も、今後は長期的な影響や、日常のデジタル環境での検証、さらには仮想現実などの新しい視覚体験で同様の効果が見られるかを調べる必要があると述べています。

それでも今回の研究は、「見てはいけない」とされてきたジャンクフード動画の見方を少し変えるものです。

見ること自体が、状況によっては食欲を乱すのではなく、整える手がかりになる可能性があるのです。

参考文献

Dieters feast their eyes on digital food content to help curb cravings, study shows
https://www.bristol.ac.uk/news/2026/april/dieters-feast-their-eyes-on-digital-food-content-to-curb-cravings-study-shows.html

元論文

Feeding on screens, not on plates: The paradoxical impact of unhealthy food content in digital media
https://doi.org/10.1016/j.chb.2026.108980

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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