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「出勤したら倒産」の次に選んだ郵便局は、先輩が全員“電話を無視する”異様な職場だった【作者に聞く】

  • 2026.4.15
コールの稀人_P01 送達ねこ(@jinjanosandou)
コールの稀人_P01 送達ねこ(@jinjanosandou)

郵便局のコールセンターに入った新人・山田さん(仮名)が体験した実話である。それまで勤めていた会社が「出勤したら倒産していた」という衝撃の経験をした彼女は、今度こそ長く働ける場所を求めて、安定の象徴ともいえる郵便局を選んだ。しかし、そこで待ち受けていたのは、単なる事務作業では片付けられない不可解な日常だった。

コールの稀人_P02 送達ねこ(@jinjanosandou)
コールの稀人_P02 送達ねこ(@jinjanosandou)
コールの稀人_P03 送達ねこ(@jinjanosandou)
コールの稀人_P03 送達ねこ(@jinjanosandou)
コールセンターの先輩たちは優しそうな人たちばかりだったが…? 送達ねこ(@jinjanosandou)
コールセンターの先輩たちは優しそうな人たちばかりだったが…? 送達ねこ(@jinjanosandou)

優しそうな先輩たちが「絶対に電話を取らない」違和感

初出勤の日、山田さんを待っていたのは穏やかな雰囲気の先輩たちだった。「助かるわ。近ごろ入るそばから人が辞めちゃって」という言葉に一抹の不安を覚えたものの、山田さんは再出発を誓う。しかし、業務が始まるとすぐに異様な光景を目の当たりにする。事務所に電話が鳴り響いても、先輩たちは一向に受話器を取ろうとしないのだ。

結局、入ったばかりの山田さんばかりが電話対応に追われることになる。慣れない業務のなか、クレームやトラブルが相次ぎ、心身ともに疲弊していく山田さん。あるとき、良かれと思って対応したことが大きなミスに繋がってしまい、彼女の心はついに限界を迎えた。

絶望の淵で聞こえた「大丈夫、出るよ」という囁き

「なんでみんな、3コール以内に出ないの?」。体調を崩した山田さんを心配するそぶりは見せるものの、やはり電話を取る気配はない先輩たち。イメージとはかけ離れた過酷な仕事内容と、職場で孤立していく恐怖。電話の着信音を聞くだけで震えが止まらない「電話恐怖症」に陥った山田さんは、ついに辞職を決意する。

その矢先、不思議な出来事が起こった。鳴り続ける電話を前に、絶望のどん底にいた彼女の耳元で、「山田さん。大丈夫、出るよ」と背後から声が聞こえたのだ。事務所には彼女と、いつものように電話を無視する先輩たちしかいないはずだった。この声の主は一体誰だったのか。

極限状態で現れる導き手「サードマン」の存在

本作「コールの稀人」の作者であり、現役の郵便局員でもある送達ねこさんに話を聞いた。作中で描かれる理不尽な状況について、送達ねこさんは「新人さんにとって、お客様を助けたいという善意が、社内の制約によって悪手となってしまう壁がある」と分析する。

タイトルにある「稀人」とは、民俗学で「他界から来訪する超越的な存在」を指す。送達ねこさんは、読者から寄せられたある意見に注目したという。「2001年のアメリカ同時多発テロ事件の生還者などの証言にもある『サードマン現象』です。人が極限状況に陥ったとき、生存の危機を脱するために現れる導き手のような存在。山田さんの状況も、まさに多大なストレスが生んだ潜在的な適応能力だったのかもしれません」

送達ねこさんが手がけるシリーズ「郵便屋が集めた奇談」では、同僚の配達員たちが体験した“現場ならでは”の不可解な話が描かれている。日本のどこかの町で、今日もお届け物の影に怪異が潜んでいるのかもしれない。

取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)

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