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調剤薬局で…客「この薬、半分の量でいいから半額にして」薬剤師「無理です…」→直後、“客の言い分”に思わず絶句…

  • 2026.4.26
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。薬剤師ライターのしもあつです。

調剤薬局のカウンターには、毎日たくさんの患者さんが訪れます。

そのほとんどは穏やかなやり取りで終わりますが、ごくまれに「これは一体どう対応すれば……」とその場で言葉を失う要求に出くわすことがあります。

今回は、20年以上調剤薬局で勤務経験のある私が、実際に受付で絶句したエピソードを2つお伝えしましょう。

単なる愚痴ではなく、現場の薬剤師が何を考え、どう判断して対応したのかまでお話しします。

想像の斜め上をいく要求とは?

理不尽な要求は、意外にも「待ち時間」以外のところで飛んでくることが多い、というのが私の実感です。

ここでは特に印象に残っている2件をご紹介します。

「この薬、半分の量でいいから半額にして」

ある日、降圧薬を受け取りに来た60代の男性Aさん(仮名)から、こう言われました。

「先生は1日1錠って言ったけど、俺は半分に割って飲むから半額にしてくれ。半分しか使わないんだから」

処方箋に記載された薬を勝手に減らして調剤することは調剤行為として成立しません。医師の処方意図を無視することになってしまいます。

それでもAさんは「こっちは客だぞ」と譲りません。私が選んだのは、値段の話から一度離れるという対応でした。

「Aさん、半分で効くなら先生もそう処方されるはずです。今の血圧の数値を見せていただけますか?」

お薬手帳と家庭血圧の記録を見せてもらうと、案の定、目標値に届いていない日が続いていました。「半分で足りている」という自己判断の根拠が崩れることで、通常通り持ち帰っていただくことになりました。

値段の話に見えて、本質はアドヒアランス(服薬遵守)の問題だった――これが現場の判断です。

怒りに怒りで返さず、話の軸を「お金」から「体」にずらしたことが穏便な着地につながりました。

「駐車場代、薬局が払ってよ」

もう一つ忘れられないのがこのケースです。

クリニックでの診察が長引き、提携駐車場の無料時間(60分)を超過した患者さん。精算後にカウンターへ戻ってきて、こう言われました。

「あんたのところで待たされたせいで300円取られた。払って」

待ち時間のほとんどはクリニック側で発生しており、当薬局での調剤は5分ほど。それでも「最後に待たせたのは薬局だから」の一点張りです。

正論で「うちの責任ではありません」と返せば、長年通ってくださる方との関係は一瞬で壊れます。

私が取ったのは、事実は事実として伝えつつ、感情に寄り添う対応でした。

「駐車場代を薬局で負担することはできません。ただ、今日お待たせしてしまったのは申し訳なかったです。次回からは処方箋をFAXで先に送っていただければ、薬局に着いた頃にはお薬を準備しておけますよ」

300円は払わない。でも、次回への具体的な提案を一つ添える。それだけでその方はその後も通い続ける常連さんになってくれました。

現場の薬剤師が大切にしている「判断軸」

理不尽な要求を受けたとき、私が意識しているのは次の3つです。

  • その場で白黒つけようとしない(法令や保険制度に関わる話は即答で断らず、一度受け止める)
  • 怒りの奥にある"本当の困りごと"を探す(お金・不安・孤独であることも多い)
  • 次回につながる提案を一つ添える(「できません」で終わらせない)

薬剤師の仕事は、薬を渡すだけの作業ではありません。カウンター越しに向き合っているのは、体調が悪く、不安を抱えた一人の人間です。そう思えるようになってから、理不尽な言葉も少しずつ「SOSの一種」として聞けるようになりました。


ライター:しもあつ

調剤薬局勤務歴20年超の現役薬剤師。管理薬剤師・マネジメント業務を経験したのち、現在は薬剤師として働きながら医療記事の執筆も行っている。


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