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保育園児をひとり残して家に誰もいない…機能不全家庭で育った著者が、幼少期からの壮絶な実体験を綴ったコミックエッセイ【書評】

  • 2026.4.11

【漫画】本編を読む

家庭内で起きる暴力やネグレクトなどは表に出にくく、その被害を受ける子どもを救い出すことはとても難しい。『家族、辞めてもいいですか?』(魚田コットン/KADOKAWA)は、著者の魚田コットン氏が機能不全家庭のなかで育ってきた実体験を赤裸々に綴ったコミックエッセイだ。

保育園児のころ、朝起きると誰もいないことがたびたびあったというエピソードから始まる本作。その時点からすでにこの家庭の異常さが表れており、しかもこれは序の口だ。母親は面倒を見ないどころか自分の子どもに対して見下すようなことを平気で言い、父親は滅多に帰ってこないという家庭で育った著者。ある日、父親と母親が言い争いをしたことをきっかけに状況はさらに悪化していく。冷蔵庫には腐った卵が置かれ、家中がゴミだらけになりゴキブリやネズミが出るようになるが、母親はそんなことお構いなし。物心がつくようになったころには、母親とお出かけをするときには父親ではない男性が一緒にいたり、子どもを置いて旅行で何日も家を空けたりするなど、母親はずっと変わることはなかった。

恐ろしいのは、小さい魚田氏にとってはそれが普通の家庭と思っていたことだ。本作の冒頭に描かれているように、魚田氏は母親を完璧な存在として憧れ、崇拝していたとのことで、だから母親は絶対だったと振り返っている。そんな母親から愛情をもらいたいために、反抗することも逃げることもしなかったそうだ。魚田氏が大人になり、そして子どもができたことで、育ってきた家庭がどれだけ異常であったかにようやく気がついたと綴られているのは衝撃的だ。子どもにとって親の影響がいかに大きいものであるかをあらためて思い知らされる。

家庭の内情は他人にとって本当に見えにくいものだが、保育園や学校など周りの大人が気付いてあげられる可能性は決してゼロではない。本書がより多くの人に届き、ひとりでも多く、苦しみを背負う子どもたちへ手を差し伸べられる社会になってほしいと切に願う。

文=nobuo

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