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『九条の大罪』主演・柳楽優弥で4月2日からNetflixシリーズ世界独占配信! どんな加害者や犯罪者からの依頼も受ける“悪徳弁護士”を描いた『闇金ウシジマくん』著者の最新作【書評】

  • 2026.4.2
九条の大罪 真鍋昌平/小学館
九条の大罪 真鍋昌平/小学館

漫画『九条の大罪』を読む

不条理な世の中をどこまでもグレーに生きる弁護士を描く、あの法とモラルの極限コミックが、Netflixで実写シリーズ化される。その作品とは『九条の大罪』(小学館)。『闇金ウシジマくん』の作者・真鍋昌平による最新作だ。柳楽優弥が主演を務めるドラマは、2026年4月2日からNetflixで世界独占配信予定。だからこそ、ドラマの公開にあわせて、原作のコミックを読んでほしい。特に『ウシジマくん』ファンなら、未読のままなんてもったいない。ここにあるのは、『ウシジマくん』と地続きの世界。怖いのに読んでしまう。嫌なのに、引き込まれる。この「戻れない」感覚を、まずはコミックで味わってほしい。

主人公は、弁護士の九条間人。彼の主な顧客は、半グレ、ヤクザ、前科持ちなど、きな臭い人間で厄介な案件ばかり。ネット上では「悪徳弁護士」と叩かれているが、本人はどこ吹く風。イソ弁の烏丸とともに、依頼人の擁護に努め、依頼人に有利な判決を導くために奔走する。

この物語を読むなら、「弁護士は弱い者を守ってくれる存在」だなんて甘い考えは捨てた方がいい。たとえば、ある時、九条が弁護することになったのは、ひき逃げをした半グレ。その男は、事件当時、飲酒運転をしていた上にスマホでゲームをしていたという。「スピード出して脇見運転してるから轢き殺したなら危険運転致死。求刑は10年。過失運転致死なら執行猶予」と九条が告げると、男は「長い懲役だけは絶対にカンベンしてほしい。轢いた奴、生きててくれねぇかなぁ」と漏らす。それに対し、九条はとんでもないことを口にするのだ――「被害者は死んでたほうがいい」。そして、この半グレに九条はある策を授けて……。

ひき逃げの被害者家族が病院で絶望の悲鳴をあげる頃、加害者は拘置所の布団で気持ちよさそうに寝ている――そんな場面を目の当たりにすれば、誰だって思わず顔をしかめるに違いない。よくある弁護士モノは、主人公の尽力により“正義”が勝つさまが爽快に描かれるが、この作品は違う。九条が従うのは法律。何が正義だとか何が悪だとか、そういうモラルは一切関係ない。だから、九条は“悪”としか思えない依頼人たちを守り、執行猶予をつけたり、量刑を軽くしたりする。……ああ、クズでもなんでも、金を出せば弁護士を雇うことができるし、その弁護士の腕次第でその後の人生はこんなにも変わるのか。

できることなら現実世界では知らないままでいたい日常の暗部と数々の人生転落劇。それらが生々しいディテールで情け容赦なく突きつけられ、私たちの心をえぐっていく。闇社会の描写がリアルすぎやしないか。作者は、この作品を描くためにどれほどの取材を重ねたのだろう。碌でもない奴らに食い物にされる弱き者たちの姿に思わず息を飲む。すべてが作り話であってほしいが、どうしてもそうは思えない。きっとこの物語と同じような出来事は、今の世の中にあふれているに違いない。

引用----

「思想信条がないのが弁護士だ」

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九条の心情はまるで読めない。被害者側についた方が金になるはずなのに、加害者側につき、ビルの屋上でテント暮らし。離婚歴があり、養育費に追われているのに、どこか飄々としている。それでいてとてつもなく優秀だ。碌でもない依頼人の利益をどこまでも徹底して追求する。その得体の知れなさに、いつの間にか目が離せなくなる。そんな男を、柳楽優弥はどう演じるのか。否が応にも、映像化への期待が高まってしまう。

だからこそ、配信前に原作を読んでほしい。ページをめくれば、理不尽さがじわじわと皮膚の内側に染み込んでくる。胸糞悪い。なのに、読む手は止まらない。九条をとりまく世界の底知れなさに、一足先に呑まれれば、ドラマはさらに強く、さらに不穏に心に残るに違いない。

文=アサトーミナミ

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