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“クワイエット・ラグジュアリー”を体現したニューヨークのアパートメントへ

  • 2026.3.27
Tim Williams

暗く古びた300㎡のアパートメント。ニューヨークにあるとはいえ、旅好きでエネルギーに満ちた4人家族の住まいとしては、ふさわしくなさそうだ。そこでリノベーションを託されたのは、Huluの人気番組『House of Ali』に出演するトロント拠点のデザイナー、アリー・バッド。トライベッカにあるアパートを、一家のライフスタイルに調和する空間へと変貌させるプロジェクトがスタートした。

「まずは構造部分だけを残して解体しました。そして、ささいなディテールまで徹底的に気を配り、再生することにしたのです」とバッド。今回は、TCブラウン&コーと共にプロジェクトを実行した。

完成したのは、それぞれ4つのベッドルームとバスルーム(うち3室がフルバスルーム)を擁するアパートメント。随所に造作家具が設えられていて、収納に不自由することもない。壁の位置を動かし、ウォークインクローゼットをはじめとする実用的な設備も万全だ。ダイニングとリビングの仕切りには、水蒸気と光の「炎」が揺らめく暖炉を採用。家全体の温かくラグジュアリーな雰囲気づくりに貢献している。

バッドはまた、世界各国から集めてきたアイテムを用いて室内をデコレーションした。リビング用のヴィンテージのイタリア製チェアはシープレザーで張り直し、いつまでも座っていたくなるような心地よさを実現。トラバーチンの天板をのせたテーブルは、ダイニングの主役として強い存在感を放っている。

カラーパレットは、落ち着いたトーンで統一された。ホワイトやブラウンが、かすかなパターンや数々のテクスチャーで引き立てられている。ダイニングでは「ポートラ・ペインツ」の“ブロンディ”で塗られたしっくいのアクセントウォールと、朝食エリアを囲む壁パネル×レンガのコンビネーションが興味深い風景をつくる。ベッドルームには、「フィリップ・ジェフリーズ」の壁紙とニュートラルな幾何学模様のファブリックを張ったベンチを配し、静かなリトリートがここに実現した。

こうしてアップデートされた住まいは、家族のニーズとも見事に合致。彼らの洗練されたライフスタイルを反映した、機能的なオアシスとなった。どんな旅から帰ってきても、滞在先以上に贅沢で穏やかな時間をここでは過ごすことができる。それでは広大な室内を順番に見ていこう。US版「ハウス・ビューティフル」より

Tim Williams

エントランス

スタジオ・ボエムがデザインした彫刻的なキャビネットは、マルチックバーチを素材にしたプライウッドにマッパバールのベニアを合わせ、スチール製のノブが取り付けられている。これが置かれたエントランスは、温かくプレイフルな印象を与える。

<写真>壁用照明/アパレイタス・スタジオ 壁の塗料/「ポートラ・ペインツ」の “ブロンディ(ライムウォッシュ)” 壁のアート/クライアント私物

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リビング

ホワイトオークを使ったカスタムメイドの収納は、エレファンツ・カスタム・ファニチャーによる。ここには、大切にしているオブジェをディスプレイ。ソファをデザインしたのは、クーパー・ブラズ。張り地に用いた「ホリー・ハント」のファブリックが、空間を明るくする。

Tim Williams

水蒸気を利用した暖炉が、リビングとダイニングの仕切りとして機能している。

<写真>窓周り/JNBデザイン Designによるカスタムメイド。 ファブリックは「スレッドカウント」 ラグ/「アート + ルーム」 壁の塗料/「ポートラ・ペインツ」の “ブロンディ(ライムウォッシュ)” コーヒーテーブル/「Monc XIII」

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キッチン

カラカッタ大理石をカウンタートップとバックスプラッシュに採用し、キッチンに耐久性とエレガンスをプラス。ドラマチックな表面が、しっくいを塗ったレンジフードとコントラストをなす。プレシャス・ウッドワーク・インクが手掛けたカスタムメイドの家具により、十分な収納スペースを確保。

<写真>照明/ケリー・ウェアスラー カウンタースツール/トーマス・ヘイス・スタジオ コンロ/「ウルフ」 キャビネットの取っ手/ 「シェイン・フォックス・ハードウェア 水栓/「ウォーターワークス

Tim Williams

朝食用ダイニング

壁パネルにレンガを合わせ、「ポートラ・ペインツ」の“ブロンディ”を塗った空間。親密な一角に、厚みのあるディテールを取り込んだ。壁に合わせた長椅子は、Lf アポストリーによるカスタムメイド。

<写真>ペンダントランプ/「トゥルーイング」 ダイニングテーブル/キャビネット・インクによるカスタムメイド チェア/トーマス・ヘイス・スタジオ、張り地は「スレッドカウント」(バックレスト)と「パヴォーニ」(座面)

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バーコーナー

エレファンツ・カスタム・ファニチャーによる、つや消し真鍮製のビルトイン型キャビネットは、光沢のある白いタイルとのコントラストが秀逸。バッドによると、このタイルは「施工業者の手で割られ、その後、砕けた外観を際立たせるように並べられた」

サイドテーブル/1stDibs 水栓/「コクーン」

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ダイニング

カスタマイズしたしっくい塗りの壁面により、ダイニングに洞窟のような雰囲気が加わった。クロスランド+エモンスによるシャンデリアが、凹凸と呼応する。

<写真>サイドボード/アグネス・スタジオ チェア/スタール+バンド ダイニングテーブル/キャビネット・ファニチャーがカスタマイズしたベースに「インターナショナル・ストーン」によるバス・ストーンのトラバーチンの板を合わせた。

Tim Williams

ベッドルーム

柾目木取りのホワイトオークを用いたキャビネットにより、一体感のある空間に。「フィリップ・ジェフリーズ」の壁材と、 ネイサン・アンソニー・ファニチャーがデザインし、「エリティス」のファブリックを張ったベンチが、ベッドルームを繊細なパターンで包み込む。

<写真>シーリングライト/「サウス・ヒル・ホーム」 壁用照明/アダム・オトルフスキ、1stDibsより ナイトスタンド/キャビネット・インクによるカスタムメイド、ファブリックは「デザイナーズ・ギルド」 ブランケット/「バナナ・リパブリック」 ラグ/「Elte」 テレビ/「サムソン」 ベッド/クーパー・ブロズによるカスタムメイド、張り地は「スレッドカウント」 寝具/クライアント私物

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クローゼット

ドラマチックではかなげなクローゼットは、エレファンツ・カスタム・ファニチャーによるカスタムメイド。「ピエール・フレイ」による森に着想を得た壁紙を張った。

壁紙/「シャーウィン・ウィリアムズ」による“センセーショナル・サンド」 ラグ/「メラー」 スツール/アルノ・デクラーク、1stDibsより 台:/D-ヘイン・スタジオ

Tim Williams

ベッドルーム

「アーティスティック・タイル」のカルカッタ大理石が、表面に洗練されたドラマを生む。壁に塗った「ベンジャミンムーア」の“シャンティイ・レース”により、絶妙なバランスが保たれている。

壁用照明/リンゼイ・アデルマン・スタジオ 水栓、シャワー/「フィルリッチ」 バスタブ/「コーラー」 チェア/「バナナ・リパブリック」 キャビネット/エレファンズ・カスタム・ファニチャー 鏡/カスタムメイド

Q&A

ハウス・ビューティフル(以下、HB):リノベーションの最中に何か大きな問題や驚きはありましたか?
アリ・バッド(以下、AB):今回のクライアントには特定の好みとスタイルがあり、キュレーションすべきアイテムも決まっていました。 海外から家具を取り寄せることもあったので、時間と輸送の問題を考えるのは大変でしたね。それから、家中に暖炉を置きたいというリクエストもいただいたのですが、ガスが通っていなかった。とはいえ、電気式の暖炉があまり好きではないので、過去のプロジェクトで使ったことのある水蒸気式のものを選びました。当初、メインの部屋は、私たちが構想していたデザインとはかなり異なっていました。暖炉を間仕切りとして配置し、ダイニングエリアを奥に移動させることに関しては、かなりの説得が必要でした。

HB:もっとも多くの予算を費やしたのは、どの部分ですか?
AB:室内のあらゆる場所に配置した造作家具や大理石などの石板、それからタイルですね。キッチンの配管も大変でした

HB:どのように節約しましたか? 例えば、DIYは実践しましたか?
AB:DIY? 何のことでしょうか(笑)

HB:記憶に残るディテールはありますか?
AB:今回のチームでは、多くの家具をこの家のためにカスタマイズしました。ダイニングテーブルを例にとると、有機的にカットしたトラバーチンの天板を使い、サイドには彫刻を施しています。まさにこの空間の主役ですね。それから、アパートのどこを見ても、「アーティスティック・タイル」や「バス・ストーン」で調達した石板がデザインに洗練と一貫性をもたらしています。イタリアのヴィンテージチェアに、地元ニューヨークで購入したシープレザーを張ったものも正解でした。

original text : KELLY ALLEN
translation : CHISATO YAMASHITA

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