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ニューヨークからソウルへ──「シャネル」2026年 メティエダール コレクションが描く都市のエレガンス

  • 2026.5.29
© CHANEL © ADAGP, PARIS, 2026 © SUCCESSION PICASSO 2026

2025年12月、ニューヨーク・マンハッタンの旧バワリー駅で発表された「シャネル」2026年 メティエダール コレクション。そのレプリカショーが、2026年5月26日(火)、韓国・ソウルで開催された。

ソウルは、「シャネル」にとってたびたび新たな創造性を引き出してきた特別な都市だ。2015年にはカール・ラガーフェルドが東大門デザインプラザでクルーズ コレクションを発表し、2018年には“パリ-ニューヨーク” メティエダール コレクションのレプリカショーも開催。そして2026年、メゾンは再びこの街に舞い戻った。

© CHANEL © ADAGP, PARIS, 2026

マチュー・ブレイジーによる初のメティエダール コレクション レプリカショーの舞台に選ばれたのは、6月に開館を控えた「ポンピドゥー・センター・ハンファ」。漢江を望む汝矣島の新たなアート空間には、ピカソやジョルジュ・ブラックらキュビズムの巨匠たちの作品が並び、その間を縫うようにモデルたちが姿を現す。アートとファッション、過去と現在が交錯するその空間は、まるでひとつのインスタレーションに迷い込んだかのような没入感を生み出していた。

© Chanel © Succession Picasso 2026

ニューヨークの旧バワリー駅で発表されたオリジナルショーでは、列車やホームを舞台に、都市を行き交う人々のリアルなムードを描き出した。ソウルでは、会場中央のエスカレーターからモデルたちが次々と登場し、街のリズムに自然と溶け込むようにランウェイを進む。学生やビジネスウーマン、母親など、多様な女性像を着想源にした今季のコレクションは、日常的なワードローブにメゾンのサヴォアフェールを織り込みながら、リアルとファンタジーの境界を曖昧にしていく。

© CHANEL

そのムードを象徴していたのが、ショーの幕開けを飾ったニットのルックだ。ゴールドジップを利かせたリラックス感のあるスタイリングに、ジャケットを無造作にバッグに掛けたアティチュード。力の抜けたエレガンス──都市をしなやかに生きる現代の女性像を映し出すようなスタートだった。

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“メンズライク”と“フェミニン”の絶妙なバランスも、コレクションを特徴づけるキーワードのひとつ。なかでも印象的だったのが、随所に登場したオーバーサイズのシャツだ。レッド×ホワイトのランバージャックシャツには、ジュエルボタンや裾に縫い込まれたチェーンなど、「シャネル」ならではのコードがさりげなく潜み、メンズライクなシルエットに洗練されたニュアンスを添えていた。

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ブラックとホワイトを基調にしたシグネチャールックに加え、ブルーやイエロー、レッドといった大胆なカラーパレットも存在感を放つ。スーパーヒーローやシネマの世界観を思わせるピースに加え、“I ♡ NY”のスパンコールTシャツや自由の女神のモチーフ、オイスター型のミノディエールなど、ニューヨークへのオマージュを随所にちりばめながら、都市に交差する個性豊かな女性像をプレイフルに描き出していた。

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軽やかで日常的なムードの裏側には、「le19M」に集うアトリエの卓越した技巧が息づいている。特に印象的だったのが、ガブリエル・シャネル本人のヴィンテージ写真から着想を得たレオパードルック。「ルサージュ」との協業によって制作されたファブリックには13種類もの糸が織り込まれ、まるで毛並みのような立体感を生み出していた。チャンキーブーツやオーバーサイズバッグを合わせることで、ヴィンテージの空気感を現代的なバランスに引き寄せる。てんとう虫の刺しゅうを自由に付け替えられるオーガンザスーツや、花びらを一枚ずつ手作業であしらったカメリアのドレスなど、クチュール的技巧に遊び心を掛け合わせたルックも目を引いた。

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1920年代の社交界を思わせるアールデコ調のドレスも登場。深いVネックのドレスには、“aimer pour vivre”の文字がトロンプルイユのネックレスとして刺しゅうされ、リアルなジュエリーと幻想的に重なり合う。「アトリエ モンテックス」による精緻な刺しゅうが、コレクション終盤にメティエダール コレクションならではのサヴォアフェールを印象づけた。

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会場には、「シャネル」のグローバルアンバサダーを務めるBLACKPINKのジェニーをはじめ、G-DRAGON、イ・ジョンジェ、パク・ソジュン、キム・ゴウン、コ・ユンジョン、ちゃんみな、LE SSERAFIMのカズハ、グイ・ルンメイら、アジアのカルチャーシーンを象徴するセレブリティたちが来場。ティルダ・スウィントンやマリオン・コティヤールらメゾンを代表する顔ぶれも姿を見せ、ショーはさらなる高揚感に包まれた。

熱気冷めやらぬまま続いたアフターパーティーでは、ジェニーがステージにサプライズで登場。新曲を初披露したほか、『Like Jennie』や『Dracula』などのヒット曲をパフォーマンスし、ソウルの夜を華やかに締めくくった。

ジェニー © CHANEL
ジェニーとペギー・グー © CHANEL

都市の日常とメゾンのサヴォアフェール。そのふたつを軽やかに交差させながら、「シャネル」は今回、“今を生きる女性”のリアリティを描き出した。クラフトとカルチャー、エレガンスとストリート──その境界を自在に横断した今回のメティエダール コレクションは、ソウルという都市のエネルギーと響き合いながら、鮮やかな余韻を残した。

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